少し先の未来をおいしく体感できる『未来レストラン』が、六本木のレストラン『eggcellent』にて3月27日に行なわれました。リクルートテクノロジーズが主催したもので、iBeacon、スマートグラス、AR、Kinectなどのテクノロジーを飲食の場に応用した実証実験です。
○○レストランというと失恋レストランが真っ先に浮かんできますが、未来のレストランには最新技術とおいしい料理、それとステキな恋があるはずと、私ナベコが行ってまいりました。
■iBeaconでオーダー、会計まで
店内ではiOSの機能“iBeacon”を利用して、iPhoneなどiOS端末からメニューのオーダーなどができます。この卵形の置き物は実はBeaconで、レストランの各テーブルに置かれています。
テーブルに着席すると、Beaconから発する電波により専用アプリがテーブル番号を特定。iBeaconというと、プッシュ通知する機能、というイメージがある人が多いと思いますが、今回は席の特定にiBeaconを利用。Beaconの電波の距離をNearに設定しているので、ちょうどテーブルに着席すると認識されます。
アプリの画面からメニューの注文などができます。テーブル番号が認識されているので、ちゃんと自分の席に運んできてもらえます。複数人でも同時認識可能。さらにアプリ上で会計手続きまでするスタイルを展示していました。この場合アプリに事前にクレジット情報を登録しておく必要がありますが、これならテーブルに着席したまま、自分の端末だけでお会計まで済ますことができます。
iBeaconをすでに飲食店で導入している事例(関連記事)は決済までではないでいですが、すでにあり、そう遠くない未来に実現可能であると思います。実用に当たっては、セキュリティーの問題や、ほかのテーブルで誤って認識されないような調整がクリアになる必要がありそうです。
■スマートグラスで見つめるだけでオーダー
こちらは当イベント用のスマートグラス。
このイラストがポイントになっています。スマートグラスを装着してこちらのイラストを見ると、グラスから見える映像には、タマゴ型がメニュー表のように見えます。
少しわかりにくいですが、ユーザーの目にはこちらのタブレットのようにメニュー表が映っています。この、ARメニューの気になる料理を凝視すると、それだけで選択、注文まで進むことができるのです。店員さんを呼び出すなどのもコマンドもあります。店員さんが持っている端末から、お客さんが見ている映像を確認することができるので、お客は気になるメニューを選んだ上で、厨房にいる店員さんと内蔵マイク、イヤホンで視線を確認しながら会話することもできます。これなら離れた場所でもお客さんの視線がわかるコミュニケーションが取れますね。
■ジェスチャーで女神さまを降臨させる
お次はKinectを利用したこちら。卓上に設置されたのはKinectと映写機。これでなにをするかと言うと……。
みんなで手を上げます!
Kinectを利用して飲食店で欠かせない、“店員さんを呼び出す”ことをエンターテイメントにしようというもの。動作をKinectが読み取っているので、今回は4人で手を上げるのが動作が店員さんを呼ぶジェスチャー。
こちらはプロジェクターで天井に映写している映像。ジェスチャーが認識されると雲が徐々に集まってきて……。
女神さま降臨。そして、女神さまという設定の店員さんと「ご注文は何にしますか?」と会話してメニューを注文できます。
呼び出しのジェスチャーやアクションはアイデア次第なので、例えば、メニューごとにジェスチャーが決まっていたり、ちょっと恥ずかしいポーズをしないと店員さんを呼べないなど、いろいろなパターンがあるとおもしろそうですね。結婚式の二次会など余興で盛り上がりそう。現在の技術で即導入可能なはずなので、ぜひ取り入れる実店舗が表われて欲しいものです。
■メニューを工房に渡すように注文
タブレットで飲食店のメニューを注文できるのは珍しくないのですが、こちらでは店内のガラスに投影された映像と連携して、メニューを工房に渡すような感覚で注文することができます。タブレットで確認できるメニュー表はイベント会場のレストラン『eggcellent』にちなんで、タマゴにメニューが描かれたデザインになっています。
選んだメニューが自分のものだとわかるようにサインを書きいれます。サインを書いたメニューのタマゴを、タブレット上でスワイプしてポーンと上部に投げます。
店内ガラス面に投影された映像に反映。こちらは、奥側が実際に厨房になっているのですが、料理工房のレーンが流れていくような動画になっています。こちらにタブレットから投げた料理が反映。矢印で差しているのが、タブレットで私が注文した料理。あたかも、タブレットで決めたメニューを工房のレーンに乗せた感じになります。メニューは順番にレーンに乗って流れていくので「私のオーダー通ってないんじゃないのか?」という不安もなくなりますね。着席するテーブルが決まっていないパーティー会場などでぜひ取り入れて欲しいです。
■店員さんの顔が近くに感じるプロジェクションマッピング
こちらは顔の輪郭認証の技術を応用したプロジェクションマッピング。まずは店員さんの顔を認証。
マネキンに店員さんの顔を投影すれば、顔のプロジェクションマッピングができます。「いらっしゃいませ」と、これで遠隔地にいても「顔が見える」接客ができます。ちょっと怖いけど。
■ローソクを動かしてオーダー
最後に、わたしが一番気にったのはローソクを利用したこちらの光の演出。テーブルにはロマンチックな光が照射されていますが、この光がローソクの場所によって変化します。
テーブルの上部にWiiリモコンが設置。赤外線でローソクの位置を識別。卓上のある場所に置いたらメニューを表示するなど設定ができます。
写真のように、テーブルに映し出されたメニュー上でローソクを動かして、詳細情報を表示させたりすることが可能。ローソクは飲食店のムードづくりに重要なアイテムなので、それを使って卓上でメニューを選択できるのは画期的な発想です。個人的な考えなのですが、オプションとしてお客さんが事前に映像などを設定できるといいですよね。こんなステキな光が溢れるお店でオリジナル映像を照射されつつプロポーズされたい! そして、ローソクを動かしてイエス・ノー答えるとか……ロマンチックだろうな(妄想)。
さて、未来レストランどうだったでしょうか。すぐ近くに実用化されるのではないかと言うサービスもあり、飲食店の今後が見えるようでした。私は最新技術とおいしい料理をたっぷり堪能。ステキな恋は今回は巡り会えなかったけど、本当に未来のレストランにはきっと!
●関連サイト
リクルートテクノロジーズ
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