先日は、新型Mac Proの温度をサーモグラフで検証したり(関連記事)、Windowsをインストールした際の性能を評価したが(関連記事)、新型Mac Proのコア数の違いによる性能差にまで完全に踏み込むことができなかった。そこで、6/8/12コアの3モデルでベンチマークを実施。8 コアや12コア版のポテンシャルを丸裸にする。
コア数が増えるほど 得手、不得手な処理が明確に
コア数の異なるMac Pro3モデルの性能を比較してみると、ベンチマークアプリ「CINEBENCH R15」やビデオ編集アプリ「Final Cut Pro X」では、予想どおり8コアと12コア版のパワーが6コア版を大きく上回った。しかし、その一方で写真編集アプリ「Aperture」はほぼ横並び、QuickTimeを使ったH.264変換などでは6コア版が最も高速という結果も得られた。
CINEBENCH R15 CPUスコア
全コア使用時と1コア使用時ではスコアの順位が逆転する点に注目。1コアだけ使う時は、6コアが最も高クロックで動作するためだ。CG作成のような全コアをフル回転させる状況でないと、12コアの性能は生かせない。
Final Cut Pro X(4Kレンダリング)
CPUの全コアを7〜8割まで使うテストなので、コア数が多いほど処理時間が短縮され、 12コアは強烈なパワーを発揮。テストには1分12秒の2060pプロジェクトを使用した が、長い作品なら、待ち時間の差はさらに開くだろう。
Aperture 3(RAW画像読み込み/TIFF16ビット書き出し)
100枚のRAW画像をライブラリーに追加する時間と、16ビットのTIFF画像に書き出す時間を比較。SSDのトップスピードがいちばん速く、コア数の少ない(ブースト時のクロックの高い)8コア版が最もいい成績を残したが、どのモデルも性能に大差はない。
この結果を理解するカギとなるのは、各処理におけるCPUの「活用状況」だ。最新Mac Proに搭載されているXeonのクロック周波数は、「ターボブースト」によって、6コア版(Xeon E5-1650 c2)および8コア版(同E5-1680 v2)では最高3.9GHz、12コア版(同E5-2697 v2)のみ3.5GHzまで上がる仕様。だが、フォルダー複製やH.264変換では多数のコアに処理が分散されてしまい、クロックが上がりきらないことが多々あった。ブースト時のクロックが同じはずの6コアと8コアで、6コアのほうが好成績を出しているのは、コア数が多いほど負荷が分散しすぎてブーストクロックが上がらないからだ。
Mac ProはCPUやGPUに糸目をつけず、クリエイティブワークを快適に処理するための製品ではあるが、CPUのコア数が多くなるほど性能を生かせる処理が少なくなる。3DCG作成や動画編集主体なら8コアや12コア版を選ぶ価値は十分にあるが、CPU負荷の低い単純なRAW現像やフォトレタッチなどでは劇的な効果は望めない。むしろCPUは6コア程度に抑え、そのぶんをメモリーやストレージ、あるいはモニターの強化に回したほうがコストパフォーマンスがよくなるだろう。
【テストに使ったマシンのスペック】
6コア:メモリー16GB/SSD 256GB/デュアルAMD FirePro D500
8コア:メモリー32GB/SSD 512GB/デュアルAMD FirePro D700
12コア:メモリー32GB/SSD 512GB/デュアルAMD FirePro D700
さらに詳細なベンチマーク結果は、MacPeople4月号(2月28日発売)に掲載中。特集ラインアップは、Mac生誕30周年特集、2014年知っておきたい最新テクノロジー解説、Googleサービス使いこなし術、MacやiPhone/iOSのトラブル解決技など、250ページの大容量でお届けします。
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