CES2014で発表された『New ThinkPad X1 Carbon』。何より目を引くのが、新たに5段配列になったキーボードだ。打鍵感はもちろん今までどおり良好なもの。ThinkPadユーザーも間違いなく納得する、こだわりぬかれたつくりとなっている。タッチ対応液晶モデルでも、重量は従来の非タッチモデルとほぼ変わらない約1.3キロ。解像度は14インチで2560×1440ドットを誇り、ThinkPadファンならずとも注目の製品といえるだろう。
ただ、この新しいThinkPad X1 Carbonのキーボードには、非常に大きな試みが加えられている。一般的なノートではファンクションキーが並んでいる6列目の物理キーを廃し、打鍵感のないタッチセンサー式のソフトウェアキーボード“アクティブキーボード”を採用しているのだ。この使い勝手に不安を感じるユーザーも多いのではないだろうか。
筆者の場合、ファイルのリネームにF2キー、英字の文字変換にF10キーを多用していることもあり、一部のファンクションキーは欠かせないものになっている。ただ全部使っているかといえば、もちろんノーだ。また、輝度調整などの用途に“Fn”キーと同時押しして使う機会が多いキーもある。
なぜこのキーボードを採用したのか、またこの大きな変更による不安はないのか、直接レノボブースで話を聞いた。
このソフトウェアキーは、ファンクションキー配列の状態と、ボリューム調整や輝度調整などの状態(最近ではこちらを標準にしている製品も多い)とを、スイッチによって切り替えられる。また、『Skype』では音量調整やカメラの切り替え、ブラウザーでは“戻る”、“進む”などと、アプリケーションによってさまざまに役割を割り当てられるという。
説明員によれば、まず、「今後すべてのThinkPad製品がこのアクティブキーボードをすぐに採用するわけではない」という。プログラマーなどによく使われている製品群ではそのままとのことだ。レノボでは、このアクティブキーボードの採用についてユーザーに直接話を聞いたところ、ファンクションキーに対して2つの回答の傾向が得られたという。ひとつはファンクションを押すよりも反応が好評だったこと。もうひとつはキーボードでファンクションとその組み合わせによる操作が多くのユーザーが複雑で好きではなかったこと。それを解決するため、アクティブキーボードの採用に踏み切ったという。
もちろん大事なのはキーボード。ただ、時代が変われば役割も変わってくる。スクロールキーなどは0.01%の人しか使っていないとの調査結果が出たため、廃止に踏み切ったという。
最後に「ThinkPad X1 Carbonだからこそ、新しい使い方の提案へチャレンジしないと意味がない。チャレンジしなくては“革新”は起こらない」との言葉を残してくれた。果たして、この決断は吉となるのか、それは第3世代のThinkPad X1 Carbonの登場で明らかになるのかもしれない。
New ThinkPad X1 Carbonには、ほかにもさまざななこだわりがある。打鍵感のあるタッチパッド“クリックパッド”もそのひとつ。
今回、キーボードに使われているものとまったく同じパンタグラフが4つ、ゴムのドームが5つ使われているという。それによって、クリックパッドもキーボードと同じ打鍵のフィーリングになっている。さらに、たとえ端っこであろうとどの場所を押しても水平にクリックできる。これもユーザーのフィードバックにより改良が行なわれた。
さらにファンだ。4.5ミリのスペースに収めるため、真ん中にシャフトが入っているものではなく、HDDに使われているものと同じようなベアリングタイプのファンを特別に作成した。また“ほこり”がたまらないよう静電気が発生しないような処理がされているという。
ファンは空気が通るところであり、ここに静電気が発生すれば、ほこりのたまりやすい場所となる。たとえば、ここに1年ぶんのほこりがたまれば、熱気がこもってしまいシャットダウンしてしまうこともある。そこで、レノボは各国からタイプの違うほこりを集めて顕微鏡で検視して研究。静電気を避けるサーキット(電気回路)を取り付けている。3年ぶんのほこりをシミュレートしてみたところ、まったく付かなかったという。ほこりがPCの故障率の上位にあることから、ここにも余念がない。
ケーブル1本でUSB周辺機器からディスプレー、有線LAN、電源ケーブルなどまでをつなげられるドッキングステーション『ThinkPad OneLink Dock』の上位モデル『ThinkPad OneLink Dock Pro』も登場。
DisplayLinkを使わず、ダイレクトにディスプレー出力ができるようになっているのが強化点だ。もちろんNew ThinkPad X1 Carbonは、このOneLinkに対応。
そのほかのユニークな機能としては、搭載カメラで指のジェスチャーを認識し、ミュートなどを行なえる機能、180度開いたときに相手側にPCの表示を向ける機能なども。その際もマウス操作は逆にならずに自分側からの操作と同じように動かせるので違和感なく操作できる。
また、同時に発表されたフルHD解像度の8インチWindows8.1タブレット『ThinkPad 8』だが、こちらはビジネス向けのソリューションとしても提供される。何万台というコーポレートモデルとしての提供も可能としている。
気になるのは4G版モデルだが、ローンチの段階ではWiFiモデルのみで、3G版を含めてセルラー版は数ヵ月あとになるという。提供はAT&Tとベライゾンだが、どう提供されるかは未定で、ここで購入したものがSIMロックありかなしかも現段階では不明だ。
と、ここまで書いておきながら両製品とも米国内での話であり、日本での発売については明言がまだない。ただ期待して良いんですよね? きっと。
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レノボ
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