今週のテーマは「おバカ映画」。季節感も流行りものとも無関係ですが、たまにはこういうのもいいのではないかと。三宅編集長代理は「バーニング・ブライト」を、諸富デスクは「ムカデ人間」を選びました。
バーニング・ブライト |
これは大当たり。前から予告編を観て、「これなら行ける!」と目をつけていたんだけど、内容がおバカなのか、観た自分がおバカなのか……まぁ両方ですね。レビューがひとつも無いあたりから、みなさんの危険を避ける能力はピカイチのようです。
これはホラージャンルに登録されていて、内容説明はソリッド・シチュエーション。かわいいトラから、出演者が勝手に逃げ回る映画です。
遺産目当ての義理の父が、年頃の娘と自閉症の姉弟を引き取る。続いて遺産を使って、なぜかサーカス団からシベリアタイガーを買う。このトラがめちゃくちゃかわいい。ちゃんと調教された映画用のトラだから、目に野性味がなくて、迫力ゼロ。
そこで、サーカス団の人が、「こいつは馬の背中をへし折り喰らいついた」的な逸話を披露し、効果音でヤケクソなトラの鳴き声と檻への体当たり音などで一生懸命ヤバさをアピールする。出演者も「キャットじゃない、ルシファー(悪魔)だ」とか真顔で言ったりするのが最高だ(その横のトラがすごくかわいい)。
たまたまとんでもない台風がきて、家のドアやガラスに板を張る。で、家にトラを放つ。そう、姉弟を殺すために、わざわざ台風を待って、トラ買うという算段なわけですよ。まわりくどすぎて、逆に読めません。あとは、出られない家の中でトラ(ちっこい)と姉弟のかくれんぼが一時間続く。
どうもこの製作者は「エイリアン」シリーズが好きなようで、トラ=エイリアン、姉=リプリーの構成で、似たようなカットが頻繁に出てくる。隠れながらのぴちぴちパンツのシーン(一作目)とか、相対して絶望的な表情にフラッシュとか(一作目)、ダクトから汗がスローで落ちる(三作目ではトーチ)とか、台風の風音がLV-426(二作目)など、エイリアン好きにはそこそこ楽しめるところが悔しい。
この姉は安全な場所に逃げると、すぐ別の部屋へ移動して、勝手にトラ(もふもふ)に出会ってパニックになる。狭い家だから、4つくらいの部屋を何回何回も移動して、執拗にトラ(大人しくてかわいい)を攻撃するのだ。ガスコンロで火をつけたり、肉に睡眠薬を混ぜたり、大人げない。
予想では、自閉症の弟が鍵で、何らかの能力や、「ルシファー(目がクリクリ)」と疎通したりするのかと思うのだが、単に姉を逃げにくくする役割でびっくり。義理の父はそれ相応のラストなんだけど、そこを横目に姉弟はドア一枚隔てて万感の思いで遠くを見つめる。おい、今までドア隔ててあんなにビビっていたのに、今こそ後ろにいるんですけど! とマジ突っ込みしたら負けなんでしょうね。
序盤のトラ(毛並みがすごくいい)の受け渡しと運搬、台風で予定が狂うあたりが「ジュラシック・パーク」、後半の脱出が「エイリアン」という有様で、そこそこ楽しめちゃいました。唯一頭に来たのが、ズボンを履き替えるシーン。履き替えてからろうそくつけるんですよ。逆だバカバカ、よく見えないだろ、と。
AmazonにはDVDしか取り扱いがないので、HD版が観られるiTunesは貴重だったりするが、人を恨まない人だけが観るようにお願いします。(三宅)
バーニング・ブライト
HD版レンタル:500円、SD版レンタル:400円
ムカデ人間 |
まあバカでした。僕が人生で見てきた映画の中でもトップクラスのバカ映画です。バカ映画にはいいバカ映画と悪いバカ映画(つまり駄作)2種類がありますが、この作品は限りなく後者に近いです。でもくだらなすぎて笑えるというか、よくこんな映画に予算ついたなという意味では、尊敬に値します。
いま調べてみたら、なんとこの作品トリロジーなんですね。すなわち3部作。そこそこヒットしてないと第3部までは作れないと思うんですが、世の中には結構なバカ映画市場があるんでしょうか……。1作目を見た僕が言うのもなんですが、関係者もファンも正気とは思えません。でもそう思えるってことは、ある種至高のバカ映画なのかもしれません。
さて本作。あまり説明する必要もないです。タイトルとパッケージ画像がほぼすべてです。3人の人間を「繋いで」ムカデ人間なるものを作るという、ただそれだけの映画です。主人公は、当然のようにマッド・サイエンティスト(医者)。なんていうか、バカ映画はバカ映画なりにリアリティを追求すべきだと思うんですが、この作品は結構テキトーです。
面白かった点・目についた点といえば、主人公の医者の顔が怖ろしい点(これでだいぶ点数を稼いでいます)、医者の家が小洒落ていてロケシーンなんかは結構きれいに撮っている点、被害者の1人が日本人という点くらいでしょうか。
まあ騙されたと思って見てください。僕の勘では、だいたい8〜9割くらいの人が「見なきゃよかった」と思うはずです。でもね、ハズレ映画にも意味はあるんです。その後見る普通レベルの映画がすごくよくできているように見えるというね。
ムカデ人間(字幕版)
HD版レンタル:300円、SD版レンタル:200円
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