今回は、これからの季節にお世話になることが多い、使い捨てカイロの取材だそうです。向かったのはホカロンを販売するロッテの中央研究所です。
なんでもホカロンは年間4億個を売り上げる、超ベストセラー商品とのこと。
埼玉県武蔵浦和にあるロッテ中央研究所に到着。案内された会議室には、開発研究部の研究者である、成瀬さん、河口さん、三浦さんの姿が。
そして、テーブルの上にはホカロンの関連商品がずらり。
まずはいちばんスタンダードなホカロンから見ていくことに。
そうそう、ホカロンといえばこのパッケージ。発売当時と変わらぬデザイン!と思ったら、実は細かいところが色々と変わっているとのこと。さらに中身については、1978年2月の発売以来、毎年改良を加えているとのことで、ベストセラーゆえの陰の努力を感じました。
そもそもカイロは、日本特有の文化だそう。日本は着物文化のため、大きく開いた襟元や袖口から冷たい空気が入ってしまい、それを補うために、懐に入れて暖めるカイロ(懐炉)が産まれたようです。
携帯カイロの原点は“温石”という火鉢で暖めた石を布でくるんだもの。江戸時代まではこれが主流で、明治時代に入ると“カイロ灰”が使われるようになり、さらに大正時代には“ベンジンカイロ”が登場。カイロも時代に合わせて進化してきたようです。
そして、昭和53年(1978年)にロッテが使い捨てカイロ『ホカロン』を発売!
取り扱いの簡便性、使い捨てという手軽さ、100円という低価格と三拍子そろった携帯カイロの登場に、発売当初は生産が間に合わないほどの大ヒットだったらしいです。
ただ、発売当初はホカロンのしくみが理解できなかった消費者も多く、ふりかけと勘違いしてご飯にかけたり、壊れたヒーターの代わりに水温を上げようと水槽に入れた人もいたりと、多くのビックリエピソードがあったみたいです。
ここでアカザーさんがホカロンの開発秘話について質問。
しかし、これはロッテがお菓子メーカーだから生まれた都市伝説だったようです。
成瀬さん曰く「鉄粉を酸化させて発熱させるホカロン誕生のルーツをあえてあげるならば、1950年ごろに朝鮮戦争で戦っていた、アメリカ軍の水筒を使ったカイロですね」とのこと。
と、ここでその仕組みを実験していただけることに。まずは、川口さんが取りだした鉄粉をカップ入れ、その後に水を投入し攪拌。
攪拌後、ものの数分で温度計の数値は75℃を超えました! これぞ化学反応というすさまじい発熱です!
「しかし、コレでは高温になりすぎですし、反応が終わればすぐに冷めてしまいます。そこで、コレの登場です」と、三浦さんがホカロンの袋を取り出し、袋の裏に青のサインペンで着色。
すぐにそれをふきとると、そこにはインクが残った青い点が。
実はこの青い点は空気穴。この穴の大きさと位置や数により、科学反応に必要な空気の量を調整。そうすることで、ひいては温度や発熱時間を調整するのだそうです。
また、最良の穴のサイズと数が決まれば、あとはもう安泰かと思いきや、そう簡単な話ではないようです。鉄粉の産地が違っただけで科学反応に違いがあり、さらに開発室と工場の環境などでも微妙に異なるとのことで、その配合には毎年調整が必要なのだそうです。
また、その冬に発売する製品のサンプルは夏場にチェックするそうで、そのチェックも大変みたいです。
そんな開発スタッフの努力もあって、現在のスタンダードタイプは開封して、20分以内に40℃以上になり、53℃から64℃の間で20時間維持しているのだそうです。
ということで、そんな苦労の結晶である今年のホカロンを開封! 開封後、いつもの癖なのか、袋を振るアカザーさん。が、今どきのホカロンは振らなくても大丈夫なのだそうです。
成瀬さん曰く「1984年以降は、水と鉄分を工場でベストの状態で混合させて袋に詰めているんで、振らなくていいんですよ」とのこと。でも、シャクライもついつい振っちゃうんですよね。
ちなみに、すべてのホカロンは工場で原材料を混合させてパッケージに密封。その後、パッケージ内の空気を使いつくして反応がストップしている状態です。なので、封を切り空気が入ることで科学反応が再びはじまり、暖かくなるという仕組み。
これを応用した裏技として、使用中のホカロンをジップロックなどに入れておくことで、一時的にホカロンの反応を止めることができ、少しの間なら保存すること可能とのこと。
ホカロンの暖かさの仕組みを理解した二人は、最後に新製品の靴の中敷きタイプ『ホカロン 貼らない靴用快適パッド』を使用し、その暖かさを実感しつつ帰路へ。
アカザーさんはその暖かさに「この冬の屋外ラジコン大会にも使えるぜ!」とご機嫌だったそうです。
●ロッテ健康産業(外部リンク)
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