震災以降、その活躍を目にする機会が多い自衛隊。活動時に彼等は何を食べているのか? 調べてみるとそこには“ミリメシ(ミリタリーめし)”の存在が!
さらにネットでリサーチしてみると、武蔵富装というメーカーが取り扱っているという情報を入手。今回はここを取材することに。
ということで、千代田区神田にある武蔵富装さんに到着。
通された会議室には、モエモエなパッケージのミリメシたちがディスプレイ!?
「自衛隊の皆さんもずいぶんゆる~い感じのものを食べてるんですなぁ」と思ったら、これは一般の方でも購入できる市販品みたいです。
まずは、開発課長栄養士の太田直人さんと執行役員開発部長の庄子彰さんから、色々とお話を伺います。
さっそく、武蔵富装の歴史から。会社設立は平成7年、当初は自衛隊用の衣料品を手がけていたそうですが、平成16年の自衛隊法一部改正により、食品分野に参入。戦闘糧食の開発研究を開始したとのこと。
そして数々の採用試験をクリアし、平成20年より陸上自衛隊の戦闘糧食として正式採用。平成24年までの5年間で約327万食の戦闘糧食を納入したそうです。
ここでミズグチさんが、先ほどから出てきている聞き慣れない言葉“戦闘糧食”について質問。
これについては、庄子さんが回答「軍隊や自衛隊が戦闘行動中及び演習中に満足な調理の時間がない場合に補給する食糧で、いかなる状況下でも調理が簡単で必要なカロリー(1食1000キロカロリー程度)と、栄養バランスが確保でき、かつ保存性が高いことが要求される食事のことです」とのことです。
つまり、この戦闘糧食こそが“ミリメシ”なんだそうです。しかし高カロリーな食品なんですね。そしてさらにナベコさんも質問。
なるほど、過酷な自衛隊員にはこれぐらい高カロリーな食事はむしろ必要不可欠なんですね。
お次はミリメシ開発について聞いてみると、開発スキームは以下のような流れとのこと。
①献立の提案及び書類審査
とくにカロリー計算、栄養バランス。
②提案された献立の隊員による
実食の試食試験。
③地上200mからのダンボール梱包の
ままでの落下傘をつけた投下試験。
④-30度で24時間保冷後、150cmの高さから
コンクリートに落下させる低温耐久性試験。
⑤使用環境以下での
長期に渡る保存試験の実施
どれもそれなりに厳しい感じがしますが、なんといっても最大の難関は、⑤の保存試験なんだそうです。
寒さに耐え、暑さにも動じないタフな食料、それがミリメシなんですね。ちなみに自衛隊では、3年保存タイプの戦闘糧食は、1年目に補給基地、2年目に駐屯地に保存され、3年目に賞味期限の迫ったものから順番に訓練や有事の際に使用しているのだそうです。
ミリメシのことをある程度知ったところで、いよいよ試食タイム。まず出てきたのがこちら、『戦闘糧食II型 あつあつ防災ミリメシセット』(3350円/賞味期限3年)です。
こちらは一般人でも買える市販品で、防災用の非常食みたいな感じですが、中身は自衛隊に納入しているものと同じだそうです。
気になるメニューは、自衛隊隊員を対象に行なったアンケート結果ベスト3のウインナーカレー、すき焼きハンバーグ、中華風カルビだそうです。
パッケージには“あつあつセット”と書いてありますが、もちろん常温でも食べられるそうです。しかし、せっかくなのでここは“あつあつ“で試食してみることに。ここで登場したのが、サバイバルヒーター(発熱材)。
これを専用の袋の底に置き、ミリメシのおかずとご飯を入れて、コップ一杯の水を加えると……。
袋内は一気に加熱、袋上部からは蒸気が噴射!
これにはミズグチさんもこんなこと言い出す始末……。
しばし待つこと20分。しっかり温まったところで袋から出してお皿に盛り、ミリメシの完成です。
試食してみた3人の感想はというと……。
ミズグチ:「ハンバーグがスゲェ柔らかい! ていうかオレ、これよりまずいメシ出す店しってるわ!」
アカザー:「カレーもうめぇ! 特にこのメシがうめぇ!真空パック系のご飯によくある、あの苦手な匂いがしねぇ!」
ナベコ:「中華風カルビはピリ辛でビールに合いそうな味ですね~」
ちょっと余計なことも言ってますが、どれも美味しいようです。
お次はこちらの『戦闘糧食II型 防災丸かじりミリメシセット』(3360円/賞味期限3年)の試食です。
こちらの試食レビューは、わざわざこの取材のために昼食を抜いてきたナベコさんのモグモグレビューをどうぞ。
って、どれも酒のつまみのようなレビューですが、ミズグチさんやアカザーさんが食べても同じような感想が。
その理由は……。
ちなみに試食したふたつの防災セット『戦闘糧食II型 あつあつ防災ミリメシセット』(写真上)と、『戦闘糧食II型 防災丸かじりミリメシセット』(写真下)は、武蔵富装の二枚看板のようで、某カップ麺の“赤いなんとか”と“緑のなんとか”のような存在なんだそうです。
最近では、ギフト用としても喜ばれているようで、購入者さんからこんなメールも。
そして、そんな話を聞いちゃうとついやりたくなっちゃうカオスチームは、先ほど食べた“2枚看板”を購入。この日から編集部に常備して、3年後賞味期限が切れる頃に“ミリメシパーティー”を開く予定だそうです。
●武蔵富装(外部リンク)
自衛隊を影で支える戦闘糧食こと“ミリメシ”の試食レポートは、週刊アスキー12/24・31号(12月10日発売)の『カオスだもんね!PLUS』をチェック!
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