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セレボのニコ生対応4系統HDMIスイッチャー『LiveWedge』に触ってきた

2013年11月15日 07時00分更新

Cerevo『LiveWedge』

 プロ用放送機器の国際展示会『Inter BEE』に合わせて、セレボが発表した新しい生放送配信機材『LiveWedge』。実機での動作デモ展示をしていると聞いて、千葉県・海浜幕張のInterBEE会場内のブースにお邪魔してきた。

Cerevo『LiveWedge』

 ご存知のようにセレボは、Ustreamやニコニコ生放送といったライブ配信を専用ハード単体でこなせるLive配信機材の開発・販売で名をあげてきた家電ベンチャー。週アス編集部でも一部の生中継には同社の『Liveshell』を使っている。
 専用ハードが良いのは、安定していて落ちにくいことだ。PCでの配信は自由度がある半面、接続機器によっては不安定になったり(たとえばUSBウェブカムの複数接続など)、環境次第では長時間の配信で再起動が必要になったりすることがある。特に、“落ちる”ことが許されない企業運営の生放送では、安定配信が担保できるだけでも大きな意味がある。

 セレボでは 『LiveWedge』を“ライブ配信機能搭載ビデオスイッチャー”と表現しているが、要するに4系統スイッチャー機能内蔵のオールインワンLive配信環境だ。オールインワン、という部分がとても重要。
 ブースの展示機は設計試作だったが、一部の機能は実際に触って試すことができた。リリース文のビジュアルを見て期待していたとおり、アプリでiPadを配信操作卓化してしまうアプローチは操作性が良さそうで、なかなか好印象だった。この実装方法は、本体価格を無駄に高価にせず済むという点でも合理的だ。

Cerevo『LiveWedge』
左がLiveWedge本体。右がアプリで操作卓化されたiPad。iPadとの通信に使う内蔵無線LANは2.5GHz帯のほか5GHz帯にも対応しているので、2.5GHz帯が飽和しているような大規模イベントなどでも比較的安定して繋げられそう。
Cerevo『LiveWedge』
あくまで試作機なので、表面処理やボタンの質感などについては、製品版ではより質感が向上するとのこと。液晶画面が磨りガラスっぽく見えるのも、実際にはクリアになる。
Cerevo『LiveWedge』
端子部分を覗き込んでみたところ。コンパクトなボディにHDMI端子がアウトプット含めて6本も繋がっている。左端はSDカードスロット。ここに保存した動画や静止画を読み込んだり、映像を1080p/30pで記録することもできる。右端はオーディオ入力のライン。ミキサーを使う場合はここに接続することになる。

 スイッチャー部分に関しては、

・4系統のHDMI信号をスイッチ可能
・15種類ののワイプパターンをプリセットして選択実行可能
・切り替えは画面上のスライダーに触ってブレンド具合やスピードを調整
・SDカードに保存した画像や動画素材の読み込みに対応
・PinP対応
・動画や静止画のクロマキー合成対応
・各HDMI音声+RCA音声の5系統オーディオミキサー内蔵

 というもので、コンパクト機材で実施する生放送には十分な機能が備わっている。テロップ挿入機能には現状対応していないとのことだったが、“文字以外を緑色等にした画像”を用意してクロマキー合成すれば、実質的には目的に近いことはできる。ちなみに、すべての操作はLiveWedgeの液晶画面+ジョグダイヤルでも行えるそうだ。

Cerevo『LiveWedge』
映像スイッチャーモードの画面。カットの切り替えは映像のライブサムネイルをタップすることで切り替えられるが、誤操作防止のため指2本タップで行うようになっている。この辺は配信側のニーズをよくわかってると感じる部分。
Cerevo『LiveWedge』
こちらはオーディオミキサーモード。HDMIの4系統の音声のほか、RCAでアナログ入力した音声もミックスできる。

 アプリの動作安定性などは発売時点のバージョンを見るまでわからないものの、切り替え操作や現時点でも使えるワイプ操作などはコマ落ちやディレイ(カタログ値では0.0〜0.1秒)もなく、実際の配信で使ってみたいと期待させる仕上がりだった。
 生放送部分の配信機能については、Liveshell Pro相当のものが入っていて、できることも基本的に同じ。実績のある画質なので、この点が安心というのは大きい。配信対応サービスはニコニコ生放送、Ustream、YouTube Liveなどの主要なものに対応している。

 ざっくり10万円のコストで持ち運べる本格的なライブ配信卓が手に入るというのは、正直かなりお手ごろだ。iPadとLiveWedge、そして複数台のカメラがあれば即席の生放送スタジオがいきなり作れてしまう。シンプルなシステムなので、配信前の機材チェックに要する準備時間も少なくて済むだろうし、操作が簡単になることで専門知識がない人でもチャレンジできるようにもなる。

 LiveWedgeはすでに先行予約が始まっており、ブースのスタッフに聞いたところで、「1月中に発売したい」と語っていた。
 展示会は今回のInterBEEを皮切りに、年始には北米の家電ショー『International CES』にも出展し、より完成度の高まったアプリを披露するとのこと。
 InterBEEは11月15日(金)まで。実機を触ったり質問したいという人はブースへ足を運ぼう。

●関連リンク
LiveWedge製品紹介ページ
InterBEE2013

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