Windows 8.1の一般発売日となる10月18日、日本マイクロソフトは都内でWindows 8.1のプレス向け発表会を開催しました(関連記事)。
発表会には日本マイクロソフト関係者だけでなく、多数のOEMメーカーから代表者が集結。10月に各社から相次いで発表された秋冬モデルだけでなく、国内未発表の製品も披露することで、発売記念のお祭りムードを盛り上げました。
■Windows 8.1発売でイベントをするのは日本だけ
今回のイベントで興味深いのは、昨年のWindows 8の発売時とは異なり、世界中で日本だけがこのような発売記念イベントを行っているという点です。米国をはじめとする海外では公式なイベントは予定されておらず、静かにWindows 8.1の発売日を迎えることになるとのこと。
その理由として、Windows 8.1は完全な新製品ではなく、サービスパックのようなアップデートに近いものと米国本社は位置付けている、という背景があるそうです。
↑プレスイベントに登壇した日本マイクロソフトの樋口泰行社長。 |
しかし日本では多数のOEMメーカーが存在することもあり、何とかして盛り上げていきたい一心で、日本独自のイベントを企画するに至ったとのこと。樋口社長も、「海外でなぜ盛り上げるためのイベントをやらないのか、逆にこちらが聞きたいくらい」と疑問をあらわにしていました。
実際にWindows 8.1におけるサポートライフサイクルの扱いなどを見ると、マイクロソフト社内的にWindows 8.1はサービスパック扱いとなっています。しかしWindows 8.1は、同社が始めた"ラピッドリリース"初の成果物です。まずはWindows 8.1の登場を歓迎したいという心情には、筆者もまったくの同感です。
■ICONIA W4をはじめ、デルやレノボの国内未発表タブレットが登場
Windows 8.1はさまざまな形状のデバイスをターゲットとしていますが、その中でも最も注目度が高いカテゴリが"小型タブレット"です。
エイサーのICONIA W4は、世界初の8インチクラスWindows 8タブレットとして有名なICONIA W3の後継モデル。海外では10月17日に発表済みで、日本でも11月の発表を予定しています。
↑エイサーの『ICONIA W4』。前モデルW3より軽くなり、片手でラクに持てる。 |
注目したいのは、ICONIA W3の弱点をことごとく解消している点。約500gだった重量は85gほど軽くなり約415gに。本体も1mm近く薄型化しています。その一方でスペックは大幅アップ。最新Atom Bay Trail-Tを搭載し、1280×800ドットの液晶は鮮やかで見やすいIPSパネルに変更。microSDカードスロットはmicroSDXCに対応し、要望の多かったmicroUSB経由での充電にも対応するなど、性能と使い勝手が向上しています。
その上で、海外での価格は32GB版が329.99ドルからとお手頃。しかし日本ではOffice Home and Business 2013を搭載することもあり、やや価格は高くなる見込みとのこと。11月の正式発表を待ちたいところです。
ほかにも国内未発表の小型タブレットとして、デルのVenue 8 ProやレノボのMiix2とみられる製品がステージ上で披露されました。いずれも海外で発表されたBay Trail-T搭載8インチタブレットとみられており、近日中に日本での発表が期待されます。
↑デルの『Venue 8 Pro』とみられるタブレット。米国ではレッドとブラックが発表されており、299.99ドル(約2万9279円)で本日10月18日より発売開始。 |
↑レノボの『Miix2』とみられるタブレット。350gと軽量。6月のCOMPUTEX TAIPEI 2013で、ほぼ同じ外観のプロトタイプが披露されていた。 |
LTE対応モデルとして注目したいのが、シャープのMebius Pad。CEATEC JAPAN 2013にも展示されたもので、11月発表予定、2014年1月以降発売予定となっています。Wi-Fiモデルはなく、NTTドコモのXiに対応したLTEモデルのみ。基本は法人ユーザーをターゲットとしつつ、個人向けの販売も計画しているとのこと。
↑2014年1月以降発売予定の10インチタブレット『Mebius Pad』。2560×1600ドットのIGZO液晶をひっさげて"Mebius"ブランドの復活が期待される。 |
この点をNTTドコモに確認したところ、「冬モデルとして発表会に出ていない以上、ドコモショップで取り扱う予定はないが、一般の家電量販店での販売はあり得る」とのこと。シャープとしては、さまざまな販売チャネルを模索している最中とのことです。
■Surfaceはどこへ行った?
このように発表会の会場には14社ものOEMメーカーから最新デバイスが出展され、会場は"ミニ展示会"の様相を呈していました。その一方で、発表会でまったく姿を見かけなかったのがマイクロソフトのSurfaceシリーズです。
Windows本部の本部長としておなじみの藤本恭史氏によるWindows 8.1のデモにおいても、使われていたPCはVAIO Duo 13でした。
↑Windows 8.1の新機能を紹介する日本マイクロソフトの藤本恭史氏。 |
↑藤本氏が操作していたPCはVAIO Duo 13だった。 |
海外では10月22日発売されるSurface 2ですが、日本マイクロソフトは近いうちに、日本国内でもSurface 2を発表する(関連記事)とみられています。筆者としては、Surface 2とSurface Pro 2を両手に持った樋口社長が華々しく登場するシーンを期待していたのですが、発表会中で言及されることは一切ありませんでした。
それに付随して、Windows RTについてもほとんど触れられることなく終了しました。一般の量販店でVivo Tab RTを発売していたASUSに確認したところ、すでに出荷を終了しており、流通上の在庫のみになったとのこと。展示会場にSurfaceシリーズがない以上、Windows RTの存在感もゼロに近い状態となっていました。
その背景には、「Surfaceを売りたい、しかしOEMメーカーとの関係も維持したい」という、マイクロソフトの苦しい社内事情が垣間見えます。すでに海外では複数のOEMメーカーの幹部が、マイクロソフトがPCハードウエア市場に進出することを牽制するメッセージを発しています。一方、日本では"和をもって貴しとなす"の精神からか、Surfaceに触れないことでOEMメーカーとの間に波風を立てまいとする努力が感じられます。
日本マイクロソフトはOEMメーカーとの関係について、「たしかにSurfaceは発売したが、OEMメーカーとの関係は良好。その証拠に、これだけのメーカーが発表会に集まってくれた」(日本マイクロソフト広報)と強気です。果たして今後も"良好"な関係が続くのかどうか、まずは日本マイクロソフトがどのようにしてSurface 2を発表するのか、注目したいところです。
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