スマートフォンの進化が鈍化しているという論調の記事が増えています。そのようななかLGエレクトロニクスの『LG G2』は、本体側面からボタン・スイッチを廃し、背面中央に配置するなど、Androidスマートフォンとしては新たなハードウェアデザインを提案しました。またソフトウェア的にも「Learning from You」というメッセージどおり、ユーザー目線に立った多くの新規UIや機能を採用しています。
今回、まだ日本での発売について正式に発表されていないLG G2を、比較的長く試用する機会を得ましたので、これまで発表・報道されてきた新機能を振り返りつつ、あまり知られていない細かな改良点までご紹介していきます。もちろんベンチマークも実施しましたよ!
●ボタンを背面に配置したことによるメリット
前述のとおりLG G2は、本体側面から電源と音量ボタンを廃止し、本体背面中央に配置しました。「片手で持っているときに自然に指が伸びる位置に電源と音量ボタンを置いた」とLGでは説明しています。
側面にボタンがないことで薄型化を実現 |
カメラとボタン部が独自のデザインアクセントに |
本体側面に電源と音量ボタンを配置する必要がなくなったことで、8.9ミリという薄型化と、さらにそのうえでラウンドフォルムが可能となりました。これにより美しい曲線を描くボディーと、大柄な5.2インチスマートフォンとは思えないほどの握りやすさを実現することに成功しています。
側面ボタンがないことから可能になった狭額縁設計 |
LG G2の大きなセールスポイントである、わずか2.65ミリという狭額縁設計“Near Zero Bezel”も、側面にボタンがないことから可能になったものです。LG G2の背面を見ているときは優美なボディーに確かな存在を感じますが、ディスプレー面を見ているときは5.2インチFull HD IPS Displayの高輝度も相まって、まるで“映像”を直接上下から指でつまんでいるかのような、ボディーの存在を忘れてしまう錯覚すら感じるほどです。
●画面2回タップによるディスプレーオンオフが快適!
LG G2の電源ボタンが背面に配置されることが決まったときに、ほぼ同時に考案されたであろう機能が“KnockOn”。これは画面を2回タップするとディスプレーが表示される新機能です。
卓上に置いていても素早くディスプレーオン |
LG G2を卓上に置いているときは電源ボタンが隠れているわけですが、そのままの状態で画面を2回タップするだけですぐスクリーンが表示されます。わざわざ手に持ち、背面の電源ボタンを押す必要がないわけですね。
この“KnockOn”は静電容量方式のタッチパネルを利用しているため、バッグのなかに入れているときに突起物などが2回接触したとしてもディスプレーが点くことはありません。指で2回タップしなければディスプレーが点くことはないわけですね。ちなみにディスプレーオフはアイコン、ボタン、ウィジェットなどがない壁紙部分を、2回タップすることで可能です。
メール着信→画面2回タップでディスプレーオン→メールを確認→画面2回タップでディスプレーオフ……の流れは、実際に試して見ると実にスムーズで快適でした。
●よく使うアプリを出し入れ可能なSlide Aside
Androidスマートフォンはホームボタン長押しなどで、これまで使用したアプリのサムネイルが一覧表示され、それらアプリに切り替えることができます。この機能と併用して便利に使えるのが、マルチタスク的アプリ切り替え機能の“Slide Aside”です。
3本指のスワイプでアプリを出し入れ |
収納済みアプリは重なって表示される |
アプリ使用中に3本指で左にスワイプすれば、そのアプリが画面左に収納され、逆に画面外から3本指で右にスワイプすれば収納済みのアプリ一覧が表示されます。Slide Asideで収納できるアプリは3つまでですが、Android標準のアプリ切り替え機能と違い、どんなにたくさんのアプリの起動・終了を繰り返しても、Alide Asideに収納したアプリは保持されます。いつでもすぐにそれまでの作業に戻れるというメリットがあるわけです。
●ウインドー表示可能なQスライドアプリが増加
マルチタスクの流れで紹介したいのが、新たに追加されたQスライドアプリです。
Qスライドアプリが総数9本に増量 |
本来全画面表示が基本のAndroidのスクリーンにウインドー表示可能なQスライドアプリは、LGスマートフォンの売りのひとつですが、LG G2ではこれまでの動画、インターネット、カレンダー、電卓に加え、新たに電話、メッセージ、Eメール、メモ、ファイルマネージャーが追加されて総数9本となりました。実行可能なQスライドアプリの数はこれまでと変わらず2本なのが残念ですが、種類、数ともにさらに充実させてほしいところです。個人的にはTwitter、Facebook、LINEのQスライドアプリがぜひほしいですね。
●カメラは解像感高く、撮影モードも充実
音声でシャッターが切れるなど、もともとカメラ機能に力を入れているLGスマートフォンですが、LG G2は光学手ぶれ補正を採用するなど、これまで以上にカメラ機能に力を入れています。
2軸の光学手ぶれ補正は効果大 |
前述のとおり音声でシャッターを切れるLGスマートフォンでは、片手で端末を持って撮影する機会も多いですが、その際に手ぶれを起こしてしまう可能性が高まります。しかし2軸の光学手ぶれ補正機能を搭載したLG G2では、片手でホールドしているときの細かな手ぶれをかなりのレベルで無効化してくれます。夜景や暗所を撮影する際に、シャッター速度が遅くなったときにも非常に有効に働いてくれるでしょう。
自然な色合いで解像感も高い |
※撮影画像を横1000ドットにリサイズ |
センサーは1300万画素とスマートフォンに搭載されるものとしては最高クラスで、その解像感の高さは上のサンプル写真のとおり十二分すぎるレベルです。絵作りとしても、被写体の解像感はしっかり残しつつ、暗い部分には不自然なノイズも乗っていないので、等倍で細部を鑑賞する機会が多い人にも満足いくものではないでしょうか。
流行りの撮影モードを多数搭載 |
また、背景の人を消す“ショット&クリア”、被写体と撮影者を同時に写す“デュアルカメラ”、多重露光効果を得られる“タイムキャッチシャッター”などの流行りの撮影モードを貪欲に採り入れてきているのもユーザーとしては嬉しいところです。
●Snapdragon 800のパフォーマンスは?
LG G2は現在スマホ用最高クラスのCPU『Snapdragon 800』(2.26GHz、クアッドコア)を搭載しています。いまのスマートフォンは処理性能だけで語ることができないレベルに来ている感はありますが、最後に恒例のベンチマークを実施してみましょう。
『AnTuTu Benchmark』 |
トータルスコア:30994 |
『Quadrant Standard Edition』 |
トータルスコア:18319 |
『3DMark』 |
Ice Storm:Maxed out!(計測不可)、Ice Storm Extreme:10493、Ice Storm Unlimited:15448 |
『MOBILE GPUMARK』 |
トータルスコア:116055 |
以前この記事で、『GALAXY S4 SC-04E』、『Xperia Z Ultra』で計測した結果と比較してみましょう(上では『3DMark』と『MOBILE GPUMARK』は参考値として掲載)。
GALAXY S4 SC-04E | Xperia Z Ultra | LG G2 | |
AnTuTu Benchmark | 22892 | 30971 | 30994 |
Quadrant Standard Edition | 12076 | 16466 | 18319 |
今回のベンチマークテストでは、同じく『Snapdragon 800』(2.2GHz、クアッドコア)を搭載するXperia Z Ultraをわずかながら上回るウルトラなスコアを記録しました。LG G2が実用上十二分すぎるほどのパフォーマンスを備えていることはわかりましたが、また改めてほかの最新端末を揃えたうえでベンチマークを実施したいと思います。
●日本発売はいつか?
日本発売熱望! |
背面にボタンを配置するという意欲的なハードウェアデザインを提案しつつ、カメラ機能やユーザーインターフェースまでていねいに作り込んできた『LG G2』。まだLGエレクトロニクスからは日本で発売するかどうか、どこのキャリアからリリースされるかについてアナウンスがありませんが、同社のフラッグシップモデルが日本でも登場することを楽しみに待ちましょう!
●関連サイト
製品公式サイト
(2013年9月18日17時16分追記)“KnockOn”機能について誤った記載がありました。お詫びし訂正いたします。
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