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新Nexus7でiPad mini逆襲なるか? タブレット満足度条件(石川温氏寄稿)

2013年08月26日 22時00分更新

これからのタブレットにおける必須条件とは?(石川温氏寄稿)

 日経パソコンが“スマートフォン・タブレット満足度ランキング”を発表した。“総合満足度”では、スマートフォン部門が『iPhone5』、タブレット部門が『iPad mini』がトップ。スマートフォン部門では『iPhone4/4S』が3位、タブレットではiPadのRetinaディスプレイ搭載機種が2位につけるなど、全体的にアップル製品の評価が高いことが明らかになった。

 iPhone、iPadとも、アップルが市場を作ってきたパイオニアだという点が大きいだろう。また、単にユーザーインターフェイスの使いやすさだけでなく、サービスも一体となって初心者でもとっつきやすい環境を実現しているという点がユーザーの支持を集めている。まさにアップル自身がOSと製品、さらにはサービスを組み合わせた“垂直統合型”であるという点が、他社を寄せ付けない理由と言える。

 また、ユーザーが増えれば増えるほど、周辺機器も充実し、アプリやサービスもiPhone版が優先的に開発される。スマートフォンやタブレット単体だけでなく、周辺のエコシステムとともに成長してきたことにより、ユーザーからすれば「持っていて楽しい」という状況が長いこと維持されることで、満足度がどんどん上がっていくのだろう。

 ただ、気になるのが、今度予定されている『iOS7』だ。

 これまで継続していたユーザーインターフェースが変更され、デザインテイスト的にも大きく変わる。ここでさらにユーザーの満足度を上げられるか、それともユーザーにそっぽを向かれるかは興味深いところだ。

 スマートフォン部門で面白いのが2位の『HTC J』と4位の『ELUGA』だ。

 『HTC J』は、KDDIと協力し、日本のユーザーに好まれる仕様や機能を盛り込んだことが評価されたのだろう。この点は、HTCというグローバルメーカーとしてのブランド力と、KDDIのローカライズ力の融合が見事にユーザーに受け入れられたと見るべきだろう。

 特に、グローバルメーカーとして圧倒的な地位に立つサムスン電子『GALAXY』、ソニー『Xpeira』よりも評価が高いという点は注目に値する。

 さらに、驚いてしまったのがパナソニック『ELUGA』が4位につけているという点だ。

 パナソニックと言えば、スマートフォンに大きく出遅れ、他社に何周も引き離されている状態で、ようやくELUGAという独自ブランドをひっさげてきて参入したばかりのメーカーという印象が強い。実際、日本でもELUGAブランドは認知されているとは言いがたく、また、パナソニックがELUGAブランドで社運をかけて参入した欧州市場も、あっさりと撤退をしてしまった。ELUGAという無名ブランドがなぜ4位につけたのか、一般的には理解しがたいかも知れない。

 しかし、実際にELUGAスマホを触ってみると、大画面時代に適応しようと、片手で操作できるユーザーインターフェースにこだわっているのがよくわかる。日本市場、特に首都圏では電車通勤者が多く、つり革を持ってスマホを操作するため“片手で操作”できることが重要だ。そういったユーザーニーズをきっちりと押さえている点が評価されているのだろう。今回の調査期間には販売されていなかったが、 最新モデル『ELUGA P』は、ケータイユーザーが乗り換えても困らないように徹底的にユーザーインターフェースにこだわるなど、日本のユーザーの気持ちをとらえているのが特徴だ。

 ブランド力はいまひとつだが、こうした地道な努力がユーザーの満足度につながったのだろう。パナソニックはこの冬商戦は新製品投入を見送り、スマートフォン事業の継続が危うい感もある。しかし、過去の製品はユーザーに支持されているだけに、今後もぜひよい製品を投入し続けてもらいたいものだ。

 タブレット部門では3位にNTTドコモ『dtab』、4位にグーグル『Nexus7』がつけている。1位のiPad miniもそうだが、やはりユーザーの心理として「タブレットは欲しいが、価格が高い」という意識があり、そこに投入された比較的安いタブレットに飛びつき、実際に使ってみて、コストパフォーマンスが高かったことから、総合満足度もあがったのだろう。

 Nexus7に関しては、28日から日本でも高解像度の液晶が搭載された新型Nexus7が発売となる。1920×1200ドットのディスプレーで、日本でも2万7800円(16GB版)で発売されるとかなりインパクトは大きそうだ。2万円台でWUXGAとなると、当然、iPad miniもRetinaに対応しないことには太刀打ちできなくなるかも知れない。

 一方、日本メーカーもタブレットをいくつか出しているが、やはりNexus7の価格競争力に対抗するのは難しい。

 今後、タブレットの世界においては“WUXGAクラスの高解像度”、“低価格”、“7インチ程度の持ち運びしやすいサイズ感”というのが、ユーザーの満足度を満たす上での必須条件になってくるだろう。

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