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LINEだからできるプラットフォームの拡大がみえたLINEカンファレンス2013

2013年08月22日 16時00分更新

 サービス開始から2年強で2億ユーザーを突破したLINE。昨年、プラットフォーム化に踏み切り、ゲームや占い、マンガなどのコンテンツを矢継ぎ早に投入している。その中からは『LINE POP』や『LINE Birzzle』のようなLINEを象徴する大ヒットするアプリも生まれ、破竹の勢いは今も続いている。LINE社が開催したイベント“Hello, Friends in Tokyo 2013”では、プラットフォーム化以降、LINEが挙げてきた実績が次々と紹介された。

Hello, Friends in Tokyo 2013

↑左からLINEの舛田淳執行役員、森川亮代表取締役社長、出澤剛取締役。

 ゲームを含む、LINE関連アプリを同社は「LINE Family Apps(ファミリーアプリ)」と呼んでおり、このダウンロード数がトータルで2億9000万。タイムラインも月間で7300万ユーザーに利用され、舛田淳執行役員も「タイムラインだけでも日本トップクラスのアクティブユーザー」と自信をのぞかせる。LINEがプラットフォーム化に踏み切ったのは、「ひとつのビジネスモデルでは脆弱になってしまう」(舛田氏)ためだ。舛田氏によると、LINEのビジネスモデルは4つからなる。

「ひとつ目がLINEアプリ内での(スタンプなどの)販売。2つ目がファミリーアプリ内でのアイテム課金。もうひとつが、企業の皆様にLINEをプラットフォームとして使っていただき、収益を得るモデル(広告)。最後が、持っているキャラクターのライセンス事業」

Hello, Friends in Tokyo 2013
Hello, Friends in Tokyo 2013

↑LINE Family Appsの累計ダウンロード数は2億9000万に。ゲーム以外のアプリも、好調なものが多い。

 こうした実績を挙げられたのも、基盤としてのメッセージアプリが成長を続けているからこそだ。森川亮代表取締役によると、LINEのユーザー数は全世界で2億3000万人を超え、「今も1時間に6万3000人ずつ増えている」という。結果として、1日のメッセージ数は70億通、送受信されるスタンプの数は10億通と膨大なトラフィックを生み出している。途中から投入された音声通話機能も、「912%伸びている」(森川氏)と好調だ。

Hello, Friends in Tokyo 2013

↑LINEのユーザー数は7月に2億を突破した。

Hello, Friends in Tokyo 2013
Hello, Friends in Tokyo 2013

↑メッセージ数、スタンプ数も順調に伸びている。

 LINEの特徴のひとつで、代表的な収益源でもあるスタンプは、月間10億円の売上を記録している。これが12ヵ月続いたと仮定した年間の売上高は120億円。規模で言うと、「フィーチャーフォン(従来型携帯電話)のデコメ市場は228億円あったが、この半分を超える市場」(舛田氏)だ。フィーチャーフォンの主要機能であったメールが、スマートフォンの増加と共にLINEに置き換わりつつあるが、そこで流通するコンテンツもデコメからスタンプへと変化したというわけだ。この変化を、舛田氏は次のように説明する。

「フィーチャーフォンにはiモードに代表されるポータルがあり、そこからコンテンツやサービスを入手していた。スマートフォンでは、コミュニケーションこそがすべてをリードする。今は占い、ゲーム、マンガを提供させていただいているが、これをさらに加速し、スマートフォン時代のゲートウェイになる。ゲートウェイ構想はさらに進めていき、10億人規模のグローバルプラットフォームを目指したい」

Hello, Friends in Tokyo 2013

↑スタンプは、フィーチャーフォン向けコンテンツとして人気の高かったデコメの半分を超える市場規模になった。

Hello, Friends in Tokyo 2013

↑スマートフォンのコンテンツやサービスのゲートウェイになる。これがLINEの構想だ。

 このゲートウェイ構想を進める上で、新たに投入されるのが、“Video calls”、“LINE Music”、“LINE MALL”の3つだ。詳細はそれぞれのサービスイン前後で明らかにされる予定だが、Hello, Friends in Tokyo 2013ではその一端が明らかにされた。

 Video callsは、その名のとおり、いわゆるテレビ電話の機能。メッセージ、音声に加え、映像を観ながらの通話もできるようになる。「ビデオ通話はWiFiだけでなく、3G環境でも安心してコミュニケーションを取れる」(舛田氏)といい、通信環境に合わせた最適化もされているようだ。iPhoneのFaceTimeや、Androidのハングアウトに近いが、プラットフォームに左右されないのもLINEならではの強みと言えるだろう。

Hello, Friends in Tokyo 2013

↑テレビ電話機能に対応。3Gでも通話ができるよう、技術的な工夫が施されているようだ。

“LINE Music”は、LINE上で音楽を聞くサービスで、「別アプリではなく、本体の基本機能として音楽を追加する」(舛田氏)という形になる。「友達と一緒に音楽を聞いたり、音楽を通じてコミュニケーションを楽しんでいただくこと」(舛田氏)がコンセプトだ。ただし、提供形態や料金については「ビジネスモデルも含めて、改めてお話しする」(舛田氏)といい、現時点での詳細は不明。ダウンロード型、ストリーミング型のどちらになるのかも、明かされていない。

Hello, Friends in Tokyo 2013

↑LINEの基本機能として提供される“LINE Music”。

 最後の“LINE MALL”は、「ユーザーベースとリアルグラフ、スマートフォンを活かしたコマース」(舛田氏)が特徴となる。イベントでのコメントや質疑応答からは、従来のようなB2Cだけでなく、ユーザーどうしが直接物を売買するC2Cも含めた形を想定されていることがうかがえる。ショッピングサービスとオークションを掛け合わせたような形態になり、そこにLINEのコミュニケーションを絡めたサービスになりそうだ。

Hello, Friends in Tokyo 2013

↑“LINE MALL”は、ショップが並ぶだけでなく、ユーザーどうしの取引が可能になるという。

 このように、全世界でユーザー数を伸ばし、プラットフォーム化を通じて収益化も実りつつあるLINEだが、日本国内では伸びが鈍化しているという指摘もある。これに対して、森川氏は「国内ではスマートフォンユーザーの90%以上の方が使っている。(そのため、数の伸びより)もっともっと安心安全に使うことも求められている。新しい価値を提供しながらも、守りの部分は提供していきたい」とコメントしている。その一環として、LINEはドコモと提携。高齢者用の“らくらくスマートフォン”向けにアプリを提供する。

「最近は家族の利用が広がっていて、たとえばお孫さんとおじいちゃん、おばあちゃんのやり取りがある。文字は打てないが、スタンプなら送れたり、写真を共有できたりもする。既読が出ると家族も安心できる。数も大事だが、使い方も多様化している」(森川氏)

 海外ではユーザー数を伸ばしながら、ひと足先に規模の面では飽和しつつある国内では、コミュニケーションの質を高め、ユーザーの多様化に対応し競合に勝ち抜いていく。この2つの車輪が上手く回っていけば、「ユーザーファーストを第一に、世界中の人たちのベースとなるようなインフラを目指していきたい」(森川氏)という目標もかなえられるのかもしれない。

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