お気に入りの多色ボールペンの軸下半分を付け替えて、書き味バツグンのスマホタッチペンにできる製品「SMART-TIP」の開発元、福島製作所の方をお招きして取材しました。タッチペンをもう1本持つのではなく、愛用の多色ペンにタッチペン機能を追加できる点が画期的なアイデア製品。もちろん通常通りペンとしても使え、ペン先を引っ込めればタッチペンとして使える。この便利さに一目惚れして速攻買いした人も少なくないと思います。
ペン先を付け替えて使う「SMART-TIP」
Bic多機能ペンはペンとのセット売り。パイロットの「フリクションボール3」、三菱鉛筆の「ジェットストリーム3色ボールペン」、ゼブラの「スラリ4C」といった市販の3色ボールペンに対応。
この覆面軍団は、MacPeople編集部内にあるとかないとか言われている闇の組織、神楽坂iPhone倶楽部。覆面軍団4人組がいつも通りのゆるゆるトークを繰り広げています(前回の記事)。まずは座談会メンバーをご紹介しましょう。
えんじマスク:NISSHI(以下:N)某デジタル関連部署に所属。音楽や動画をいっぱい入れたいので、iPhone5では64GBを選択。普段は黒マスク着用だが諸事情により予備のえんじマスク着用
緑マスク:CURRY(以下:C)某サイトのライターで、当クラブリーダー。カレーが大好き。iPhoneは3G/3GS/4/5を所有
青マスク:TOSHIRO(以下:T)某書籍編集部に所属。スパッと言い切るが、興味のないことには無関心。iPhone5の黒を所有
キャットマスク:HIROMING(以下:H)某パソコン週刊誌から異動してきた、某Mac誌の女子編集者。iPhone5とXperia Zの2台持ち
市販ボールペンの軸を付け替えてタッチ対応させるって新しい!
H:今回ぜひ取り上げたいモノがあるんですよっ!!
N:おっ、またずいぶん前のめりで。
C:何でしょう?
H:7月に発売された「SMART-TIP(スマートティップ)」というタッチペンを使ってるんですが、これがすごいんです!
C:タッチペンってきちんと反応しなくて、ストレスがたまることが多くないですか?
H:ただのタッチペンじゃないんです! 市販のボールペンのカバーを付け替えてタッチペンにできるんです。だからボールペンとタッチペンが1本にまとまるし、かなりスベスベで感度もいいんです。
C:へー、すごいアイデア商品!
T:俺もiPadの「7notes」で手書きしてるから興味あるな。
H:じゃあ先月の防水加工に続き、大人の社会見学シリーズ第2弾として取材しましょう。決まり!
――後日
C:今日はUNUS PRODUCT SERVICE.さんをお招きしました。会社名は福島製作所で、お名前も福島さん。実は家族経営の工場だったり?
福島製作所(以降:福):そうなんです。兄がデザイナーで、親父が社長。そして僕の後輩が1人という計4 人でやっています。
N:町工場発のプロダクトだ!
C:福島さんのご担当は?
福:営業と製造です。普段は作業服なんですよ。SMART-TIPは僕と後輩で組み立て/検品/梱包をやってます。
C:わー、めちゃめちゃ大変そう……。
究極の滑らかさを求めて専用の合成ゴム素材を開発
H:数あるタッチペンと比べても非常に滑らかで反応がいいのにはビックリです。
福:反応を重視している製品なので、例えば、保護フィルムを5枚ぐらい重ねても、きちんと使えるんですよ。
C、T、N、H:5枚!
福:耐久性にもこだわっています。先端の柔らかいゴム部分は、筆箱にがさつに入れたり、極端な例だと洗濯機で洗ったりしても破けないほど強いんです。
T:使ってるうちに先端が摩耗するタッチペンもあるよね?
福:繊維タイプだとそうですね。静電式タッチパネルは画面に微弱な電気を流し、指やタッチペンなど導電物質で触ることで位置を感知してるんです。繊維タイプは銀を練り込んで電気を通していて、銀がはがれると反応が悪化します。
T:SMART-TIPは定期的に交換しなくてもいいんだ。便利かも。
福:このゴムは、SMART-TIPの前に出した「SMART-CAP」というキャップ型スタイラスを作ったときに自社開発しました。
C:町工場が素材をゼロから自社開発しちゃったんですか?
福:大変でしたよ。当時、スマートフォン向けのタッチペンは太いものばかりでした。調べたら、使われているシリコンゴムを細くすると反応が落ちるのが理由でした。
N:それはなんでですか?
福:シリコンゴムって油分が多いんです。フライドポテトを食べながらiPhoneを触ると反応が落ちるように、タッチパネルは油との相性がよくない。それにゴムはもともと電気を通さないので、カーボンを練り込んで通電性を確保しています。先端を細くすると油の影響もあって反応が悪くなるんです。そんなことを既存のさまざまなゴムで試した結果、素材から作れば実現できるんじゃないかと。
H:タッチパネルって、iPhoneとAndroid端末では感度の具合が違って、タッチペンも片方に合わせるともう片方がうまく動かなかったりという話も聞きますが……。
福:それはタッチパネルの厚さで電気の通り方が変わるからです。うちのは普通の4倍の電気を通すので、問題ないです。
C:4倍! どんな素材なんですか?
福:詳しくは言えませんが、ゴムの素材が10あったら、その中の5つを混ぜ合わせたらいい感じになったという。
C:ざっくりですね(笑)。
福:塗装してないのも特徴です。ゴムはもともと滑らない素材ですよね。ほかのタッチペンは表面を膜で覆うことでサラサラにしていますが、そうすると通電性が落ちる。じゃあ塗装以外でやってやろうと模索して、素材だけで滑るようにしました。
知識ゼロから始めた開発で世界展開も視野に
C:ガッツがすごく伝わってきて楽しい! そもそもなぜタッチペンなんですか?
福:弊社は金属やゴム、樹脂の加工を専門にやってるんですが、先を見たとき、いまの受け仕事が減っていくことが想像できました。だから、自社開発で何か新しいものを作ろうと。最初はネクタイピンとかを考えてたんですが、競合が多く、いくらいい商品を作っても埋もれてしまう。
T:だからスマホという。
福:3年前当時は各社がスマートフォンに本腰を入れ始めた時期でした。タッチペンについては無知で、めちゃくちゃ勉強しました。最初は、感圧式のニンテンドーDSのペンで静電式のiPhoneの画面をたたいたり(笑)。
導電させるための金属製の軸と、柔らかいゴム製の先端部を取り付ける。ペン先を引っ込めればタッチペン、ペンをノックすれば通常どおり筆記できる |
H:そこからなんですね!
C:福島さん自身もガジェットが好きだったりするんですか?
福:はい。高校時代に欧州に留学していて、日本と違う珍しいものを買いあさりました。例えば、USB綿棒あたため器とか。
N:何に使うんですか、それ(笑)。
福:SMART-CAPやSMART-TIPは海外のニーズも高く、今度は英国のAmazonで販売を始めようと計画しています。
C:すごいな。町工場から世界に進出って超サクセスストーリー。
福:アイデアは尽きないです。靴や傘など、昔から使われていて形が変わらないものってありますよね。そこにプラスアルファできる製品を提供できたらと考えています。
H:これからも面白いスマホ向け製品をお待ちしてます!
●UNUS PRODUCT SERVICE.(外部リンク)
公式サイト
公式Facebook
神楽坂iPhone倶楽部は、MacPeopleに毎月掲載中。ゆるくてばかばかしいiPhoneトークもあれば、大人の社会科見学的な興味深いインタビューもあります。覆面軍団に取材して欲しいサービス、製品はMacPeopleの公式Twitter(@macpeople1995)まで!
MacPeople10月号の表紙は「驚くべき3Dプリンターの世界」特集に掲載の「実寸大Mac Pro」です。業務用3Dプリンターを使って制作しました。そのほか、iPhone5Sゲット前にぜひとも読んでおきたい特集「Mac&iPhoneデータ丸ごと引っ越し術」や、FacebookやTwitterなどのSNSを活用する上で知っておきたい「本当は怖いSNSセキュリティー大全」特集も必見です!
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