近年、フィーチャーフォンやスマホといった携帯電話は大人だけでなく、子どもも持つようになった。もちろん便利になった反面、携帯電話にまつわるトラブルも多発している。
通信事業者各社は携帯電話を使う際のマナーやトラブルへの対処方法などの啓発に、積極的に取り組んでいる。ドコモの場合は取り組みのひとつとして“ケータイ安全教室”という出張型教室を実施中だ。
今回は、江戸川区立西葛西中学校で実際の教室がひらかれたので、お邪魔した。授業を受けていたのは同校の1、2年生の生徒(計16クラスぶん)だ。
●ケータイの基本知識とメールの危険性
授業のはじめに、フィーチャーフォンもスマホも、通話だけでなくインターネットの閲覧やメール、ゲームなどが使える便利なものであることに触れた。そしてその反面にはさまざまなトラブルがあり、自らが被害者にも加害者にもなる可能性があることを示した。
そこからメールについて話が進む。トラブルの例として“架空請求”と“チェーンメール”が挙げられ、知らない電話番号には掛けなおさない、本当かウソか分からないチェーンメールは転送しないことが予防策だと紹介した。
●インターネットの危険性
ネット上のトラブルについては“なりすまし”、“出会い系サイト”、“ソーシャル系ゲームサイト”などの危険性について解説。とくにソーシャル系ゲームサイトに関してはなりすましの再現ドラマが流され、具体的な内容で生徒の注意をひいた。
次に“インターネットへの書き込みについて”という題目で、SNSへの投稿時の注意など“インターネットの匿名性”に触れた。個人情報の流出の解説時には、女子生徒が主人公の再現ドラマが流された。内容は、GPSによって自宅の位置情報がついた写真をそのままSNSに流してしまい、自宅付近で不審者に声をかけられるというもの。スマホのあまり意識されない機能に、見ていた生徒たちも前半のドラマに比べ意外な表情を見せていた。
●スマホの特性とマナーについて
また、スマホについては“不正アプリ”と“ウィルス”の危険性を述べ、パソコンと同様またそれ以上に対処する必要性を解説。例として“dマーケット”や“ドコモあんしんスキャン”など、各キャリアが提供するサービスである程度対処できることを伝えた。
またケータイ利用全般に関わるマナーについて、公共の場での充電“電気窃盗”や公共施設などで注意することを述べた。その中でも、頻発している“ながら歩き”は命に関わる、と注意。スマホはタッチ操作がメイン、かつ子どもがケータイを持つ例も遊べるコンテンツも増えていることから、発生件数が増加しているという。駅構内で児童が線路へ転落した例をあげ、歩いているときはケータイを使用しないように強調した。
●継続的な活動でリテラシー向上を目指す
授業の時間は、1時限ぶんの約50分。そのあいだ、生徒は静かに聞いていた。同校では毎年1、2学年の生徒にこのような授業を開いており、同じ生徒が少なくとも2回は同様の内容を聞いている。そこには同じことでも繰り返し伝えることで、新聞に載るような事件が自分にも起きるかもしれないということを、分かってもらおうという意図がある。
冒頭の話をする小川一夫校長 |
ドコモの担当者も、調査データだけでなく実際の小中学生と接見することで、ケータイやネットに対するリテラシーがまだ低くトラブルに巻き込まれやすいと感じていると述べ、今後もこのような活動を続けていくことが通信事業者としての使命だと意気込みを語った。
講師をつとめた佐藤由紀子氏 |
なお、ドコモの“ケータイ安全教室”は開始から約9年が経過し昨年度末で、全国の累計実施数が約3万4500回、受講人数は500万人を超えており、現在も、小~高校生、特別支援学校の生徒、保護者、教員、シニア層に対して授業を行なっている。
授業で配布される教材はホームページからダウンロードが可能。子どもの安全が気になる保護者の方はそちらを参考にしたり、授業の出張を希望する場合は学校単位で申請できるので、相談してみるのはいかがだろうか。
●関連サイト
ドコモ“ケータイ安全教室”公式ページ
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