Haswellが発売されてからというもの、ソーシャルではIvyBridgeとスピードはかわらない、Haswellが速いなんて記事はいかがなものか! というご意見をときどき目にします。動作クロックも4770Kと3770Kで3.9GHzと変わらず、プロセスルールも22nmで変化なし。キャッシュ容量も8MBと同様。速くなる要素がどこにある! というお声はごもっとも。誤解を恐れずいうならば、こと純粋なCPU処理性能ではほとんど違いがないといって差し支えないかもしれません。
↑なのにこの結果はどういうことなんでしょうか。
(週アス増刊『第4世代コアi パソコン自作』から抜粋)
PCMark8はPCを実際に使用するであろう用途のテストを複数まとめた総合ベンチマークソフトです。Haswellの内蔵GPU性能がIvyBridgeより高い、というのは周知の事実かと思います。このテストでHaswellのi5がIvyのi7-3770Kより上位の結果を残すことに非常に違和感を覚える方が多いかもしれません。ですが理由は明快です。このテストの中には“Casual Gaming”というライトゲームでのGPU性能が強く影響するテストが内包されているのと、ここは憶測もありますがおそらくピーク性能を測るテストではないため多スレッドの効果が表われにくかったのではないかと考えられます。
↑単純に他のGPUと数で比較はできませんがグラボでいうSP数に相当するEUの数が増えてます。
↑こんな見出しのベンチも掲載しています。
どうでしょうこの手のひらを返したようなベンチマークは! 残念ながらRAW現像の実処理において、これがHaswellの実力です。4770、4770Kが2番手、3770Kが3番手ですが、3モデルの差は6秒以内。RAWデータ50枚の現像というテストではほぼ誤差に近いものがあります。増刊の特集内では、Haswellからの新拡張命令『AVX2』を適用させた次期SILKY PIXでの現像結果を載せていますが、ここではノイズ除去などのAVX2効果の高い作業を行ないながらのテストで30秒ほどHaswellが速いという結果がでています。また差がないといえるのもこのソフトウェアのRAW現像という作業に限る話で、定番CPUベンチのCINEBENCHではHaswellの4770Kのほうが3770Kに比べ約0.5ポイント高く出ているデータもあります。
↑どうでしょう、描画設定3での1280×720ドットではかなりの性能をたたき出しています。2000以上で標準的な動作という基準なので高画質設定はきついですがIvyよりは大幅な性能向上です。
↑対してやや重いゲームになるとこういったかたちに。4~5000スコアーはほしいところなのでほぼHaswellもIvyと同じように歯がたちません。
↑ん!? Haswell搭載PCの消費電力がIvyを超えているではないですか。GPUの性能が高くなったぶん、使用時にIvyより電力を消費するのはこのグラフから読み取れます。
これは記事先頭にでてきた色々な実作業を行なう『PCMark8』のHomeを走らせたときの結果です。アイドルから軽作業にかけては10W程度低く、GPUを利用する作業ではぐっと上がります。つまりワットあたりの性能は高くないという結果です。負荷がかかるとIvyを超える、この1点のおかげで「省電力ではない」という印象が強くなりますが、省電力な部分も確かに存在します。PCの使い方によりますが大半の方にとっては軽作業・アイドル時の省電力効果の恩恵が得られるといっていいと考えられます。
■内蔵GPUの性能強化とAVX2対応で高速化を果たしているのは間違いない
そういったわけで、常々新アーキテクチャーを追っかけている自作erには少々刺激が足りない部分もあるHaswellですが、今までのグラフのi7-2600Kを見てもらえるとSandyBridgeマシンをお持ちで“ハードなOC”に興味が薄い方は十分買い替えてよいのがHaswellではないでしょうか。IvyBridgeで新調された方は、AVX2の広がりを見ながら慎重にという姿勢も賢いかもしれません。ソケット変更によるマザーボードの買い替えというところでお財布と相談せざる得ない部分もとうぜんありますよね。
ごく個人的にはKシリーズだけはSandyのようにソルダリングにしてほしかった! なんて思っていますが、そういった方は僕と同じようにLGA2011道を突き進むしかないのでしょうか! それもまた良しですがメインストリーム帯でも遊びはほしいですよね!
ここで紹介した以外のベンチマークもまだまだあります。オーバークロックは本当に秀でているのかなど検証もりだくさんの『第4世代コアi パソコン自作』増刊号でHaswellの性能を多角的に見ていただいて、DIYプランのお役に立てれば幸いです。
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