知られざるブルーライトのリスク
最近「ブルーライト」ってよく耳にしますよね。私ことマツウラも、パソコンを使用するときはブルーライト対策用のメガネを使っています。でも、ブルーライトが人体にどんな影響を及ぼすのかまでは知りませんでした。「なんとなく目が疲れそう」くらいの認識の人って多いんじゃないでしょうか。でも、そんなのんきなレベルの話ではありませんでした! ブルーライト、相当ヤバイかもです!
先月開かれた「国際ブルーライトシンポジウム」に参加して、ブルーライトの怖さを思い知ってきたのでレポートします。同シンポジウムでは、慶応義塾大学医学部の眼科教授、坪田一男氏が代表を務めるブルーライト研究会による研究結果と、ブルーライトが現代社会にもたらす影響について問題提起がなされました。
そもそもブルーライトとは何か?
「ブルーライト」とは、波長が380~500nmの領域にある青色の可視光線のこと。太陽光や蛍光灯、白熱灯などにもブルーライトは含まれまますが、要注意なのは近年普及している白色LED。白色LEDの白い光は青色の光源と黄色の蛍光体を組み合わせることで実現しているため、同じ強さの光でもブルーライトが含まれる量がどうしても多くなってしまうのです。
●ブルーライトとは |
波長が380~500nmの青色の可視光線をブルーライトと呼ぶ。研究会によれば、特に460nm前後の波長の光がメラトニンの生成を抑制するそう |
●特にLEDの光に多く含まれるブルーライト |
ブルーライトは太陽光を含む可視光線全般に含まれる。ただし、太陽光(一番上のグラフ)がすべての色をほぼ均等に含むのに対し、LEDはブルーライトの成分が強いのがわかる |
●白色LEDの構造 |
白色LED電球などの中を見ると、黄色く着色されていることが多い。これは、青色の光源に黄色の蛍光体を被せて白色光をつくり出しているため |
ブルーライトの浴び過ぎによって懸念される問題とは!?
では、具体的にブルーライトは人体にどんな影響をもたらすのでしょうか? ブルーライト研究会の報告によると、ブルーライトへの長時間の暴露(浴びること)によって、メラトニンの生成が抑制されるそうです。メラトニンとは脳内で分泌されるホルモンの一種で、人間の眠気を誘う物質です。メラトニンが抑制されるということは、つまり体内時計(サーカディアンリズム)が狂ってしまうことにつながります。
夜中にベッドで、「眠くなるまで」のつもりでスマホやタブレットを使っていたらかえって目が覚めてしまった、という経験はありませんか? これはまさに、メラトニンの分泌が抑制されたことによる症状と言えます。
●ブルーライトが人体に与える影響 |
サーカディアンリズムが狂うと、睡眠障害、鬱病、肥満、ガン(男性は前立腺ガン、女性は乳ガン)になりやすいことがわかっています。ただし現段階では、ブルーライトの浴びすぎが直接それらの疾患に結びつく断言できるだけの医学的根拠(エビデンス)が十分に蓄積されているわけではありません。しかし少なくとも、ブルーライトを浴び過ぎするとメラトニン生成が抑制される→メラトニンの生成が抑制されるとサーカディアンリズムが狂う→サーカディアンリズムが狂うと前記のような疾患のリスクが高まる……という三段論法は成り立つわけです。
また、ブルーライトは紫外線の次にエネルギーが強いため、目の疲れや痛みといった、眼球に対する直接的なダメージも与えることがわかっています。パソコンやスマホを日常的に使っている身としては、とても恐ろしい話です。
●ブルーライトがメラトニンの生成を抑制するという報告 |
●体内時計の不調がもたらすリスク |
現代人がブルーライトを浴びずに生活するのは不可能
現代人の生活にはLEDの光が溢れています。パソコンやスマホ、タブレット、液晶テレビといった電子機器はもちろん、通常の照明器具もLEDを採用したものが普及しつつあります。ブルーライトが体に悪いとわかっていても、これらを抜きの生活はできません。
では、私たちはどうしたらいいのでしょうか? 少なくとも、ブルーライトを浴びる時間帯はある程度コントロールできます。例えば、下記のような自衛手段は比較的容易に実践できるはずです。
1)夜眠る前の2~3時間は、パソコンやスマホ、テレビなどの画面を見ない
2)深夜の照明として白熱灯や蛍光灯を利用する、あるいはブルーライトを抑える機能付きのLED照明を使う
3)パソコンやスマホを使わざるを得ない場合は、ブルーライト対策用メガネを利用する(目に与える影響を50%以上も削減できる)
●ブルーライトとうまく付き合っていくには |
ブルーライトは必ずしも悪玉なわけではなく、起床時に眠気を素早くとるためには、ブルーライトを浴びることが効果的なのだそうです。まずは、ブルーライトのリスクとつき合い方を理解すること。ブルーライト研究会(外部サイト)も、その啓蒙のために設立された団体です。現代社会を健康に過ごすためには、ぜひとも心得ておきたいですね。
【2013/7/12 17:30追記】ブルーライトのリスクについては、人体に大きな影響はないとする説もあります。見解が分かれていますので、一部表現を改めました。
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