IT専門調査会社であるIDCジャパンは、2013年第1四半期(1~3月)の国内携帯電話、スマートフォンの出荷台数を発表した。
2013年第1四半期の国内携帯電話出荷台数は前年同期比5.9%減の956万台となった。IDCジャパンでは、キャリアの販売奨励金戦略の見直しとスマートフォンの需要の成長鈍化の兆候があったのではないか、と分析している。
1~3月と言えば、春商戦が本格化し始める時期と言える。そんななか、スマートフォンにおけるトップシェアを誇っているのがアップルで、実に39.6%のシェアを誇っている。iPhone5が発売されて半年近くになろうとするタイミングであるが、売れ行きは堅調だといえる。
ユーザーが多く、初心者が操作に困ったときでも、周りのユーザーに聞ける安心感と、ソフトバンクとKDDIによる熾烈な販売合戦により、高いシェアを維持しているようだ。
2013年第1四半期 国内スマートフォン出荷台数ベンダー別シェア(出典 IDCジャパン) |
スマートフォンでシェアで続くのが、シャープ(14.6%)、ソニー(13.3%)、富士通(8.3%)といったところだ。シャープは昨年末に発売された、IGZOディスプレイ搭載の『AQUOS PHONE ZETA』が好調、ソニーは年始に発売となり、2ヵ月半で63万台を売り上げた『Xperia Z』が寄与した模様だ。
第5位にはKDDIに端末を供給しているHTCがランクインした。KDDIとタッグを組んで開発している“HTC Jシリーズ”が好調といえる。
一方、サムスン電子が円グラフには登場していないが、これは第1四半期に“GALAXYシリーズ”新製品を出していないのが理由のようだ。前期となる2012年第4四半期では8.8%のシェアがあったが、年を明けたあとは新製品がなかったため、出荷量が減ったとされる。
では、これからのシェア争いはどうなるのか。
まず、期待できそうなのが、ソニーの躍進だ。ドコモの『ツートップ戦略』によって、販売は絶好調。“特別価格”により、ドコモのiモードケータイユーザーによる機種変更需要を取り込み、売れに売れているため、今後、シェア拡大が期待される。
また、第1四半期には円グラフから姿を消したサムスン電子も、ツートップ戦略の一角を占める『GALAXY S4』によって、出荷数が増え、シェアが上がると予想される。
もうひとつ、気がかりとなるのが、アップルの動向だ。当然ながら、iPhoneの新製品が発売となれば、シェアは一気に上昇する。iPhone5発売直後の2012年第4四半期(10~12月)を見ると、シェアは42.1%と4割を超える。
先頃、アップル『WWDC』が開催され、新しいiOSである『iOS7』が秋に正式リリースすると明らかになったことから、新しいiPhoneも秋には発売されることが濃厚となった。例年通り、9~10月に発売となれば、アップルのシェア上昇は間違いないだろうし、ソフトバンクやKDDI以外のキャリアからも発売となれば、さらなる“一人勝ち”状態になると予想される。
またさらに厳しさを増しそうなのが、日本メーカーだ。今回、ドコモのツートップ戦略から外れたシャープ、富士通あたりは、製品の出来は良くても価格面でソニーに負けてしまうため、どうしても店頭では不利な戦いを強いられている。
キャリアからの支援を受け、販売奨励金や手厚いプロモーションがないと、どんなにいい製品を開発しても、売れ行きを伸ばすことは難しい。製品が売れず、シェアが拡大しなければ、ブランド力は上がらず、次の商戦で“イチオシ”や“ツートップ”に昇格するのも困難になる。結果、販売台数が伸びず体力勝負となり、他社との提携や撤退を余儀なくされるメーカーが出てきてもおかしくない。
まさに今年から来年にかけて、各メーカーにとっても生き残りをかけた戦いが続くと言えるだろう。
そんななか、端末メーカーにとって最後の“オアシス”として有り難がられているのがフィーチャーフォンの市場だ。IDCの出荷台数を見ても、携帯電話の出荷台数からスマートフォンの出荷台数を引くと、第1四半期には275万台のフィーチャーフォン市場が存在するというわけだ。
携帯電話全体のシェアで見ると、パナソニックが8.8%で第5位に浮上する。つまり、フィーチャーフォンを売り続けるだけでも、かなりのシェアが見込めるというわけだ。
パナソニック、NECカシオはNTTドコモ向けにフィーチャーフォンを納入し続けており、根強い人気に支えられている面もある。
今後、iPhoneやドコモのツートップ戦略により、スマートフォンに注力する会社と、フィーチャーフォンを作り続ける会社という2極化が進んでくる可能性もありそうだ。
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IDC
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