週アスPCゲーム担当ジサトラアキラです。なにかと話題のNVIDIAのアンドロイドゲーミング端末『SHIELD』。上海GeForce eSportsで、開発責任者にいろいろと聞いてきました。
さっそく製品版を見せてくれたプロダクトマネージャーのJason Paul氏。デザインの細かな仕様やインターフェースのパネルまわりが変更されているようです。さらに専用ポーチもお披露目です。
質問の前に、アンドロイドアプリのソニックや、PC上で動作している『スカイリム』をプレー。ソニックはさすがにきびきびと動いていますが、スカイリムはゲーム上で視点を大きく動かすとほんの少し画面にひっかかりを感じる気が。とはいえ、PS3といった家庭用ゲーム機並みの動作です。「フレームレートは制限していない。60〜80fpsを目標値としている」とのことなので、環境さえ整えばモバイル機としてのゲーム性能はダントツです。
液晶は5インチ(1280×720ドット)でタッチ対応、「294dpiのRetinaディスプレー」とのこと。
スピーカーにも注力しており、ワット数は不明ですが「ゲームだけでなく音楽再生機としても使える」とのことで、やや低音が弱いものの複数人数で聞ける出力でした。
内蔵マイクのほかに、ヘッドセット対応ジャック、データ通信兼電源コネクターのマイクロUSB、そしてミニHDMI出力端子。マイクロSDスロットポートも搭載しています。重量はスペック上で579グラムで、ニンテンドーDSi LLが約314グラムなのでやはりちょっと重くかんじます。とはいえ、金属の固まりを持つようなずっしりとした感触ではありませんでした。
SHIELDを簡単におさらいすると、単なるゲームパッド付きアンドロイド端末ではなく、“PC上で動作しているゲームの画面を映像に変換して、ストリーミングで受信して入力をPCに返す端末”という製品です。自作PC派にもたいへん気になる存在ですね。しかし、ストリーミングということで気になるのが“遅延”です。これについて聞いてみました。
映像の伝送技術はMiracastを使用しています。「2×2方式の802.11nに対応しており、通信状況が悪い場合はビットレートを落として配信することで対応」しているそうです。ここでキーになるのが、『GeForce Experience』です。ドライバーやゲーム画質の自動設定機能という認識でしたが、このGeForce Experienceが『SHIELDのための設定を行なっている』とのこと。
すでに、SHIELDにはGTX650以上のGPUが必要、つまりKepler世代のGPUのリアルタイムH.264エンコーダー機能が必要と発表されています。そこで、ハイエンドなGPUをもっていればSHIELDへのストリーミングが快適になるのか、ということを聞いてみました。Jason Paul氏は「ストリーミング前のフレームレートが高いほど品質が高くなり、レイテンシーが軽減できるので、影響があるといえばある」と答えてくれました。これまでは、とにかくPC上で快適に遊ぶためにゲームの描画速度ばかりに注目してきましたが、今後はエンコードの処理能力もグラボを選ぶ大きな要因になるでしょう。
さて、実際に触ってみた感想は、“同一LAN内ではまったくストレスを感じない”という表現にしておきたいと思います。画質面でも、PC側のクオリティーが高いため、“PSPやニンテンドーDSにまったくひけをとらず、むしろよい”と言っていいと思います。ただし、PCゲーム自体もゲームパッド対応でなければ、事実上は操作面で十分に遊べないという弱点もあります。同じ部屋でソファーや横になって遊びたいというだけなら、349ドルはちょっと高いという気も。3G回線などで使えるようになったときこそ、この製品の真価が問われるときでしょう。
最後に、先日アメリカとカナダのみで予約が開始したところですが、「6月に出荷を開始する。その他の地域でも販売できるように努力している」と語ってくれました。ぶっちゃけていえば発売されるか否かは日本のNVIDIA次第ですが、「1年に1機種のペースでTegraをリリースしていますが、それに合わせて今後もつくる予定」と、継続して製作していく製品なので、日本での発売も期待して待っていたいと思います。
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