5月15日~17日に開催された『教育ITソリューションEXPO』。学校関係者が来場し、PCやタブレットを使った模擬授業や最新のデジタル教材など、教育現場でのさまざまなICT(Information and Communication Technology)活用方法が展示された。そのなかでも目を引いた各社のサービスやガジェットをご紹介!
■まもなく大学でモニター開始! ソニーの『デジタルペーパー』
会場でもっとも注目度の高かった出展のひとつが、5月13日に発表されたばかりのソニーのデジタルペーパー(関連記事)。会場には試作品が参考出展され、多くの人が列をつくって触れていた。実際に試作機をさわってみたところ、ペンの感度は良好。A4サイズの大画面にスムーズに書くことができる。
↑メニュー一覧。セーブや脚注の追加などが行なえる。
当初は海外の開発が先行していたが、現在は日本での開発がいちばん進んでいるとのこと。今年の後期授業より早稲田大学、立命館大学、法政大学において、ゼミなどに試作品を提供し、実際の授業で実証実験を行なっていく。
↑ディスプレーは13.3インチで解像度は1200×1600ドット。対応フォーマットはPDF。文章に印をつけるマーカー機能なども備えている。
↑外部ストレージはマイクロSDに対応。本体下にマイクロUSBと電源がある。
■レゴロボット『マインドストーム』がパワーアップして登場
プログラミングできるレゴの組立ロボット教材『マインドストーム』の最新版『EV3』が、9月の発売に先駆けて登場。新たにジャイロセンサーを搭載、CPUも前モデル『NXT』のARM748MHzからARM9300MHzにパワーアップした。カラーセンサーも8色認識になり、色の違いで行動をわけるといったプログラミングも可能だ。
会場には、基本的なモデルから拡張キットを使い高度な機能をもった大型のものまで、さまざまなロボットが展示されていた。5月から全国100ヵ所での体験会『アフレルEV3キャラバン100』も開催中だ。
↑『教育版レゴ マインドストーム EV3』の基本セット。9月発売、4万5150円。
■英語の読み上げや動画が便利なデジタル教科書
教科書の老舗出版社の東京書籍は、高等学校向けデジタル教科書を展示。4月からAppStoreで販売を開始し、個人でも購入できる。生徒が参考書がわりにしたり、教師が授業用に購入するケースが多いとのこと。現在はiPad用のみだが、今秋からWindows8版も発売の予定だ。小学校や中学校用のデジタル教科書は、学校向けに販売している。
↑高等学校用のデジタル教科書。1冊4000~6000円台と高価だが、歴史なら過去の動画、英語なら音声による読み上げや辞書がまるごと入っていたりと、紙の教科書にはないデジタルならではの利点がある。
↑教師のみに配布されるアカウント。このアカウントでログインすると、同一ネットワークにある生徒の電子教科書の内容を一部ロックすることも可能だ。
■子どもの登下校はメールでチェック!
現在250以上の学校などに導入されている『登下校 ミマモルメ』。専用のICタグを生徒に持たせ、校門をくぐると保護者にメールが届く仕組みだ。校門以外にも、スクールバスに乗ると通知が来る学校もあるとのこと。
↑小学校を中心に、関西や首都圏の学校、保育園、スポーツスクールなどに導入されている。
↑ICタグは封書で学校に届き、利用する保護者に配布される。ランドセルなどに入れっぱなしにして使う例が多いとのこと。ICチップはマッチ箱大で軽く、電池は7年もつ。
■これからの卒アルはクラウドに残す
スクールアルバムを作成するダイビは、クラウド上に入学から卒業までの写真を保存できるサービス『MEMORY BANK』を紹介。震災などで大切な写真をなくしてしまった事例を受け、このサービスを始めたとのこと。
↑好きな写真をアップしたり、プリント依頼をできるほか、同級生のみのSNSなども設置できる。
■虫メガネ型カメラにロボット、デジタルを活用した教育機材がせいぞろい!
虫めがねのような形がユニークな、パナソニックのデジタルビデオカメラ『ぼうけんくん HC-BKK1』。フルHDの動画や静止画が記録でき、受信機を経由してリアルタイムにディスプレーへ出力可能。価格はオープンで、8月発売予定。
↑屋外で生き物の観察をしたり、運動会を撮影するといった活用ができそうだ。
富士ソフトのロボット『PALRO』は、来場者にクイズを提出。PALROは、今年2月に埼玉県の小学校の授業に参加し、生徒にヒントをあたえるなどのサポートを行なった。
↑クイズを提出する『PALRO』
iPadやAndroidタブレットを活用したEラーニングやアプリは多数あったが、こちらはシャープ製の学習用Androidタブレットを使った『FLENS 特訓シリーズ』。学習塾の湘南ゼミナールで、算数の授業などに導入されている。
↑FLENSの算数の問題。全国の学習塾の生徒どうしで、リアルタイム対戦学習も可能。
今夏にサービスを開始するオンライン家庭教師システム『AIDnet』。インターネットを介し、24時間365日オンライン授業を受けられるのが特徴。対象は小学3年生から高校3年生まで。オープン記念として、授業に使用するPC用のウェブカメラや書画カメラ、ヘッドセットは生徒と家庭教師それぞれにプレゼントされる(プレゼントの終了日時は未定)。
↑『AIDnet』の授業風景。テスト前夜に行き詰ったときなども利用できるのは便利そう。
(2013年5月20日13:50追記 初出時、サービス名、内容に一部誤りがありました。お詫びして訂正いたします。記事は修正済みです。)
電子黒板『しゃべるくん』などを発売しているSakawaでは、SMART Technologiesが開発したプロジェクター『LightRaise 60wi』を展示。
電子黒板機能付きのプロジェクターとしては世界で初となる、指での操作を実現。さらに、ひとりがペンで書き、同時に指で操作するといった、2人同時操作も可能になっている。
↑『LightRaise 60wi』。超単焦点のため、デスクのようにも扱える。
教育分野でのICT活用は始まったばかりで、試行錯誤の部分も多い。デジタル教科書やタブレットなどがどのように活かされていくか、どんなサービスが生まれるのか、今後の動向にも注目していきたい。
●『教育ITソリューションEXPO』(関連サイト)
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