200人大盛況のenchantMOON Nightに行ってきた（実機動画アリ）

　4/23（火）の正午から予約のはじまったenchantMOON。
　これまで、「Androidベースの独自カスタムOS 」「手描きにこだわったノーUIタブレット」「手描き文字やコンテンツをハイパーテキストでつなげるノート」といったキーワードと開発途上の海外ショー展示機のレポートの情報だけで、国内での正式な発表会は初（関連リンク）。もちろん、国内で一般ユーザーが実機に触れる機会もなかった。

　4/23 19時からゲンロンカフェ＠五反田で開催されたenchantMOON Nightは、そうしたなかで初の一般向けの披露、初のタッチ＆トライイベントになる。主催者であるUEIの清水CEOによれば、「当初は40人くらい来てくれればいいんじゃないか」という感覚でいたとか。実際には100人強で満席のゲンロンカフェが総立ち見の状況で、ビル前にも数十人の行列ができるなど、予想外の盛り上がりとなった。当日の正午開始の予約が大盛況だったことを後から思い出すと、その予兆はあったかもと思うが、確かにここまでの盛況ぶりとは参加者の皆さんも思わなかったかもしれない。

　冒頭の清水氏のスピーチは、端々に笑いの要素を盛り込みつつも、ハードの構想は2007年からの足掛け6年ごしであること、自身の経験談として「紙の手描きノートで思考することの効率の良さ」などを語っていった。スピーチで例として挙げられたUEIの社内エンジニアの打ち合わせメモは、手描きで思考することの良さを端的に物語っている。
　仕事をラクにするために自分でプログラムを書いてしまうような集団なのに、メモの一部に掛け算を「筆算」している箇所があったのだ。このネタは会場でも笑いを誘っていたが、とはいえ、自分でも同じようなことをしてるな、と思った参加者も多かったはず。

　紙の手描きメモの良い面は、単純にいえば「思考に罫線はない」ということ。文字やイラストや図形を織り交ぜて描くことで、思考の連続性をブーストして、着想して記録できるというところだ。
　一方で、打ち合わせのメモなどでも手描きメモの優れた部分がある。例えば、メモアプリで強調したい部分をカーソルで選んで”Ctrl＋B”や“command＋B”で太字にするよりも、自分で書いた文字をそのまま○で囲ったほうが早くてわかりやすい、というようなことだ。

　enchantMOONのアイデアは、基本的にはそうした紙ノートの文字コンテンツを、Vision Object社のMyScriptという高性能な文字認識技術によって検索可能にし、ハイパーテキストによるリンク性をもたせるというところにある。MOONBlockによる拡張性、教育向けプログラムデバイスとしての一面は、そうしたベースの延長線上にあるものだ。

　一方で、「普通のAndroid系タブレット」として見れば、何もないデバイスと見ることもできる。Google Playは動かないし、既存のアプリとの互換性も基本的にはない。“非常に滑らかな描き味のデジタルノート”に価値を感じられるか、彼らの挑戦を「いっちょ買ったろか」と思えるかどうか。

　彼らの挑戦とそのデキがどこまでなのか、見てやろうじゃないか、と思った人たちが、ゲンロンカフェ内約130名、ビル外の行列約70名の、enchantMOON Nightの参加者だといえる。

　イベントでは現地での購入受付も実施していたが、関係者によれば、参加者のだいたい1割程度が購入希望の用紙に記入していってくれたとのこと。なお、イベントの翌日の4/24（つまり今日）、早々に増産ぶん含め、初期出荷分は完売状態になり、今後の注文は第二期ロットぶんだそうだ。なお、初期ロット分の製品の発送開始は5月下旬から順次。第二期ロットぶんは6月中旬の出荷の予定となっている。

（4/25 1:17追記　UEIによれば、その後、実数を集計したところ、実際には参加したユーザーの4割弱が現地で購入申し込みをしてくれたとのこと。一部機能のみ、かつ短時間の体験でこの現地受注数というのは、ユーザーの期待度の高さがうかがえる）

●関連リンク
enchantMOON公式サイト