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“アマゾンおやじ”の研究

 週刊アスキー本誌では、角川アスキー総合研究所・遠藤諭による『神は雲の中にあられる』が好評連載中です。この連載の中で、とくに週アスPLUSの読者の皆様にご覧いただきたい記事を不定期に転載いたします。

“アマゾンおやじ”の研究

 Kindle Fire HDの発売に際して全国テレビコマーシャルも始めたアマゾン。十分に浸透したように見える同社だがその店舗内の風景は?

“アマゾンおやじ”の研究

アマゾンユーザー(年2回以上利用)の性年代別利用頻度。なお、プライム会員の比率は20代男性が1.5%に対して60代男性は18.5%にもなる(全体平均は6.0%)。アマゾンと楽天に関する調査結果の詳細を4月24日発売の『アスキークラウド』に掲載したので興味のある方はご覧あれ。データは、角川アスキー総合研究所『メディア&コンテンツ・サーベイ 2013』(N=10,007、調査時期2013年1月末?2月初。)。

 テレビ東京で、“快適!Amazon生活”なんて番組をやっていた。“1ヶ月ココだけで買物するとどうなる?”というサブタイトルが付いていて、モデルの神戸蘭子とお笑いのニッチェ江上のふたりが、家具から雑貨、食品まですべてアマゾンで買ったもので暮らすという実験番組のふれこみ。

 ただ、これを見ていてもうひとつピンとこなかった人もいると思う。たしかに、今年2月、同社の日本での売り上げが初めて約7300億円という数字で明らかとなり、国内最大のネット通販業者であることも判明した(流通総額では楽天だが)。しかし、30歳くらいの女性という本来なら買い物の中心層と言われる人たちのイメージがアマゾンでは薄いからだ。

 ということで、アマゾンと楽天の利用者層を調べると、両サイトの客層というのがまるで違っている。楽天は、ネット通販らしく比較的年齢の高い女性ユーザーがコアなのに対して、アマゾンは、20代、30代と60代男性の利用頻度が高い。単純な利用率では全世代に浸透しているが、購入商品の傾向で男性が多いと考えられ、時間・経済的に余裕のある60代“アマゾンおやじ”というべき層がいるらしい。

 私の周りでこれに該当しそうな人物というと、コンピューターメーカー勤務の時代からアスキーでお世話になっているT教授しかいない。国立大芸術学部教授などを経て現在は大学・企業とも非常勤ということなのだが、フェイスブックで“友達”関係にあるのでそのサードリアリティー(現実+仮想の生活)がまる見えなのだ。

 そこで、本人の了解を得たうえで、2012年4月から2013年3月までの1年間のT教授のフェイスブックの書き込み内容を分析させてもらった。この間に本人が書いた近況やシェアは3479件あるのだが、その文章をバラバラにして単語の出現頻度を集計してみたのだ。

“アマゾンおやじ”の研究

 その結果は、まるで冗談のように見事に名詞で“Amazon”がトップ(出現回数は364、文章数は307)。これには、URL中の文字列も含まれるわけだが、2位の“iPad”を64件も離してダントツの1位。3位に“SIM”、5位に“腕時計”と入るあたりもT教授らしい。動詞では“買う”(活用変化を含む)がこれまたトップという結果となりました(“ポチる”も30位)。サイト名では“ヤフオク”も53回ほど使われており、グーグル→アマゾン→フェイスブック→ヤフオク→先頭に戻るという回遊魚の趣きがある。やはり、男の子は、モノを愛で、匠を称え、それを語ることで真理に触れるのですね。

【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
角川アスキー総合研究所ゼネラルマネジャー。元『月刊アスキー』編集長。元“東京おとなクラブ”主宰。コミケから出版社取締役まで経験。現在は、1万人調査“メディア&コンテンツサーベイ”のほか、デジタルやメディアに関するトレンド解説や執筆・講演などで活動。東京カレーニュース主宰。TOKYO MX TV 毎週月曜日18:00からのTOKYO MX NEWS内“よくわかるIT”でコメンテーターを務め、『週刊アスキー』で“神は雲の中にあられる”を巻末で連載中。
■関連サイト
・Twitter:@hortense667
・Facebook:遠藤諭

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