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三大キャリアのLTE回線速度は? 五大都市圏で徹底チェック

2013年03月19日 16時00分更新

 iPhone5の登場とともに、全国各地で爆発的に広がっているLTE。各社のLTE動向から気になる回線速度はいま、どうなっているのだろうか?

●ソフトバンクとauの後発組が速度で圧倒

 LTEはドコモとイー・モバイルが先行していたが、サービス開始時に“全国でのエリアが狭い”というイメージがあり、エリア問題を解消後も通信速度が振るわない地点が多かった。
 しかし、ソフトバンクとauがiPhone5でLTEに参入すると事態は一転。4社でスペック上の違いはほとんどないが、後発2社はサービスイン当初から全国エリアで広く展開、通信速度も各地で10Mbps以上をたたき出して先発組を圧倒した。その後発売されたLTE版アンドロイド端末でも、速度的なアドバンテージは後発組がガッチリ握っている状態だ。

●イー・モバイル買収でLTE網を大幅強化

 スタートダッシュを決めても、都市部を中心としたユーザー数増加やテザリング開放による通信量の増加、速度低下が懸念されるが、ソフトバンクの勢いは止まらないようだ。
 同社は'12年10月にイー・モバイルとの経営統合を発表、LTEで利用可能な周波数を獲得する。イー・モバイルは都市部に強いエリア展開を行なっており、ソフトバンクには願ってもないピッタリのパートナーとなる。すでにiPhone5でイー・モバイルの周波数帯(1.7GHz)を利用できるよう、総務省の技適認証も通過しており、準備は着々と整いつつある。

ソフトバンクが1.7GHz帯も活用

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↑電撃的な業務提携により、ソフトバンクが大きくリードか。

●次世代版LTEも各社着々と進行中

 各キャリアはLTEの10倍以上も速い『LTE-Advanced』についても実証実験を開始している。理論値で最大3Gbpsという高速性だけでなく、現状のLTEと互換性がある点も大きなポイントで、早ければ'15年には始まる予定だ。

LTE-Advancedの特徴
●最大速度3Gbps(理論値)
●現行LTEとの互換性
●複数の周波数を束ねるキャリアアグリゲーション
●多重通信技術8×8MIMO
●複数基地局の協調送受信

各社が実証実験中

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↑基地局間の協調伝送技術や新しい装置開発など各社で準備が進む

●すべての音声通話は3G網を使っている

 LTEの陰に隠れてしまった感もある3Gだが、実は大きなカギを握っている。LTE圏外エリアでのデータ通信をカバーする面もあるが、現状の音声通話はすべて3Gで行なっているというのが大きな理由だ。“CSフォールバック”という技術でLTEと3Gを切り替えるもので、つながりやすさや音声品質を決める上で3Gのエリアや電波強度はまだまだ重要なのだ。
 ソフトバンクが'12年7月に提供を開始したいわゆる“プラチナバンド”は、対応エリアが計画以上のスピードで拡大している。これにより、全国区での“つながりにくさ”が解消されることが期待され、実際にその効果が現われている地域もある。

音声着信時にLTEから3Gへと切り替わる

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プラチナバンド開始によりソフトバンクの接続率が向上
(※図はソフトバンク決算発表による)

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↑1月の決算発表会でプラチナバンド獲得の効果について触れ、半年で音声接続率が大幅改善したと強調した。

●プラチナバンドはさらに加速する?

 ソフトバンクはLTEだけでなくプラチナバンド増強にも注力している。現段階でも前倒しで増強しているが、さらに'15年までに2倍以上になる見通しだ。
 ソフトバンクは発表会やウェブサイトなどで“接続率大幅改善”とうたっているが、これまでのつながりにくいイメージからすると、ようやく他社と同じ土俵に立ったともいえるだろう。ただ、この基地局の増強計画からもソフトバンクの本気度が見られる。基地局増加が“つながりにくさ”の解消に結びついていることは間違いない。今後の更なる改善に期待したい。

2年間で2倍以上に増強 (※図はソフトバンク決算発表による)

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↑さらなる基地局数増強により、安定した回線品質の確保を予定している。

五大都市圏の回線速度徹底チェック!

 週刊アスキー編集部計測チームが全国五大都市圏30地点で速度テストしたところ、各社ともにLTE網の着実な広がりが感じられた。都市ごとの平均速度では、全体の70%の地点でソフトバンクがトップという結果となった。プラチナバンドについても参考として計測してみた。

回線速度の測定方法と使用端末

 速度テストにはiOS、アンドロイドどちらのOSでも利用できる『SPEEDTEST.NET』を使い、5回計測した平均値を採用した。同時に通話品質テストも行なったが、いずれの電波状況でも著しく音が悪い端末はなかった。計測に使用した端末は、ソフトバンクとauの『iPhone5』、ドコモ『GALAXY S III』。また、参考としてプラチナバンド効果計測用にソフトバンクの『iPhone4S』を使用した。

●都市圏でのLTE平均速度はソフトバンクがトップに

 1月下旬から2月上旬にかけて、全国五大都市にて速度テストを行なった。下り平均速度ではソフトバンクが全都市圏でトップとなった。

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 続いて、地域別の詳細な計測結果をみていこう。同一地域でも各社の速度に結構違いがあることがわかる。
 

地域別:首都圏

混み合う首都圏でも下り5Mbpsが連発

 多くの地点で下り5Mbps以上の好成績が出た。レランドショッピングセンターの数値が群を抜いていたためもあるが、ソフトバンクが下りの平均で10Mbpsを超えたのは立派だ。

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地域別:関西圏

5Mbps前後が多いなか20Mbps超えも

 平均値だけでなく、個々の地点別でもソフトバンクの強さが光る結果となった。事前テストで半年前にも訪れたフランソア喫茶室では3G機の下りで約3Mbps高速化し、プラチナバンドの効果を実感した。

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地域別:名古屋

郊外は3社ともLTEが入らず

 名古屋市内(表の左から4つぶん)では、下りがソフトバンク、上りがauという結果。反面、安城市郊外では両社は安定せず、岩倉市石仏駅では3社ともLTE通信ができなかった。

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地域別:札幌

ソフトバンクとauの2強状態

 札幌市中心部で計測。真駒内は全体的に数値が良いなかソフトバンクが20Mbpsを超えた。

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地域別:福岡

3社とも好成績で競っている

 ドコモが下り2地点で好成績を収めたが、平均ではソフトバンクがトップとなった。auも健闘。

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※時間帯や人混みの混雑度合、各キャリアのLTE増強進行によって計測結果の値は大きく変化します。

●計測結果まとめ

 全国5都市に足をのばしてみてみると、一口にLTE圏内といっても場所によって速度のバラつきはまだかなりある。場所によっては10Mbps以上が実測で出る、という場所も東京近郊のみならず全国的に存在することもわかった。今回の計測地点ではそうした“高速エリア”はソフトバンクが目立つ結果となった。
 LTEのエリア拡充は各社がしのぎを削っている真っ最中だ。次回、同様の全国規模の計測をした際に結果がどうなっているか楽しみだ。

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