エヌビディアは、同社のスマホ・タブレット向けCPU『Tegra 4』が採用する、HDRでの動画撮影などを可能にする写真機能“Chimera”(キメラ)の詳細を発表しました。
Chimeraでは、常時オンの状態でHDR(ハイダイナミックレンジ)の写真や動画を撮影したり、HDR対応のパノラマ写真を撮影したりできます。また、“persistent tap-to-track”(パーシスタント・タップ・トゥー・トラック)という機能にも対応します。これは、スマホやタブレットの画面で撮影対象をタップして焦点を合わせると追従し続ける機能です。その際、撮影対象や背景が露出不足や露出過多にならないように露出も調整するとのこと。
これらの機能はiPhoneもどのアンドロイドもまだ実現しておらず、スマホやタブレットへの正式採用が楽しみです。2月25日から開催されるMobile World Congressできっと何か搭載端末が発表されるのでしょう!
以下、リリース全文です。
NVIDIA、世界初のモバイル・コンピュテーショナル
フォトグラフィ・アーキテクチャ、Chimeraでカメラ技術を一新
Tegra 4ファミリ、常時オンHDRによる写真・動画、HDRパノラマ写真、
タップ・トゥー・トラックなど、世界初の各種機能をスマートフォンとタブレットに提供
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2013年2月19日 - カリフォルニア州サンタクララ -NVIDIA(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼CEO: ジェンスン・フアン(Jen-Hsun Huang)、Nasdaq:NVDA)は本日、NVIDIA® Chimera™コンピュテーショナルフォトグラフィ・アーキテクチャの新機能を発表し、画期的なモバイル・イメージングの体験とアプリケーションを消費者に提供する道を拓きました。
Chimera™アーキテクチャはモバイル・プロセッサのNVIDIA® Tegra® 4ファミリに採用されており、常時オンHDR(ハイダイナミックレンジ)の写真や動画、HDR対応パノラマ写真、パーシスタント・タップ・トゥー・トラック機能など、いままでモバイル機器では利用できなかったさまざまな機能を提供することができます。
NVIDIAのコンピュテーション・イメージング担当副社長、ブライアン・カブラル(Brian Cabral)は、次のように述べています。「Chimeraコンピュテーショナルフォトグラフィ・アーキテクチャは、現状をはるかに超えるレベルの写真機能をモバイル機器で実現したいと考えて開発したものです。開発者やユーザのみなさんには、画像処理で写真を加工するだけでなく、レンズだけでは捉えられないイメージをコンピュータ・アルゴリズムで生み出せるようになっていただきたいと思うのです。
いままでのモバイル機器のアーキテクチャでは、部分ごとに最適なツールを使って複雑な画像処理をするのは困難でした。この障害を乗り越えるため、Chimeraアーキテクチャでは、X線CTスキャナや深宇宙望遠鏡、スパイ衛星などに使われている計算手法を活用し、1秒あたり1000億回近くもの数学演算によって画像処理を行います。
CES 2013で発表されたこのアーキテクチャは、常時オンHDR対応の写真や動画で、モバイルによる画像処理を一新するものだと言えます。さまざまな場所やシーン、ライティング条件において、人間の目に見えている世界がほぼ再現される美しいHDR画像をさっと撮影することができるのです。
HDRパノラマ写真という新しい機能も登場しました。普通であれば高価なデジタル一眼レフ・カメラが必要になる、「魚眼」クラスの広角写真が撮れる機能です。Chimeraアーキテクチャでは、カメラを左右や上下、あるいは対角に動かしながらパノラマの範囲を「塗る」ように、さまざまなアングルからユーザが望む順番で写真を撮ります。これに対し、他社の方式は、決められた順番で水平に動かさなければならなかったり、パノラマ写真の完成に35秒など、長時間のポストプロセッシングが必要になったりするものばかりです。
Chimeraアーキテクチャには業界初の機能がもうひとつ用意されています。パーシスタント・タップ・トゥー・トラックというテクノロジで、プレビュー画面に映った人や物体にタッチするとそこに焦点を合わせてくれます。しかも、撮影対象が動いたりカメラのアングルを調整したりしても、その人物や物体に焦点を合わせ続けてくれるのです。撮影条件が変化すると、撮影対象や背景が露出不足や露出過多にならないように露出も調整されます。
NVIDIA Chimeraは、Tegra 4ファミリの製品である世界最速のモバイル・プロセッサ、Tegra 4とNVIDIAが新しく投入する統合Tegra LTEプロセッサ、Tegra 4iで利用することができます。
業界をリードする各社がサポート
このアーキテクチャを採用すれば、機器メーカー各社は、スマートフォンやタブレットに最先端の画像処理ソリューションを搭載して差別化できます。アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)も用意されているので、最近急速に増えているAndroidユーザ向けに高機能な画像処理アプリを開発することも可能です。
カメラ用イメージング・センサ市場における有力企業であるソニーとAptinaは、Chimeraコンピュテーショナルフォトグラフィ・アーキテクチャに対応した製品を提供しています(サポート企業は順次発表していきます)。ソニーのExmor RS IMX135 13 MPセンサとAptinaのAR0833 1/3” 8MPモバイル・イメージング・センサはChimeraアーキテクチャに対応しており、常時オンHDR機能が使えます。機器メーカーがTegra 4搭載機器にこのテクノロジを採用し、写真や動画の機能を大幅に向上させられる環境は整っているのです。
Aptina社のモバイル製品担当シニア・ディレクタ、ジョン・ゲラード(John Gerard)氏は、次のように述べています。「当社のAR0833センサとNVIDIAのChimeraアーキテクチャを採用したモバイル機器なら、写真や動画で驚くほどすばらしい体験をすることができます。」
Chimeraコンピュテーショナルフォトグラフィ・アーキテクチャの主な特長:
● 常時オンHDR(ハイダイナミックレンジ)の写真および動画(世界初)
● HDRパノラマ写真(世界初)
● パーシスタント・タップ・トゥー・トラック・テクノロジ(世界初)
● シングル・フラッシュによるHDRキャプチャ(世界初)
■関連サイト
エヌビディア プレスリリース(英語)
Tegra 製品ページ
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