4月27、28日に開催する動画コミュニティーサービス“niconico”の祭典“ニコニコ超会議2”。幕張メッセを貸し切って、ニコニコ動画のほぼすべてを地上に再現するというめちゃくちゃ規模の大きなイベントだ。
その超会議2を盛り上げるために、ニコニコ生放送では毎週月曜日の23時から出展予定のブースやライブを紹介する超会議特番を放送中だ。2月4日の第3回目では、超会議2で併催する4つの同人イベントがテーマだった。各主催者が登場して魅力をプレゼンしたのに加えて、世界最大の同人イベントからI氏も“天の声”としてシークレット出演。ニコ動と同人文化についても語って、大いに盛り上がった。
↑MCはゲーム実況主の“ドグマ風見”さん(左)、アシスタントはニコニコ生放送の配信者(生主)である“ねぎたん”さんがそれぞれ担当。1、2回目のアシスタントを務めた“ふでぱ”さんは、会社の決算が忙しいため、代打としてねぎたんさんが呼ばれたという。
↑写真左より、ボーカロイドがメインの“THE VOCALOID M@STER”から鷲見英典さん、文学限定の“文学フリマ”から望月倫彦さん、ニコ動運営から伴龍一郎さん、ニコ動発のやってみたが集結する“ニコつく”から八田大次郎さん、東方Projectの“博麗神社例大祭”から北條孝宏さん。
伴さんいわく「ニコ動といえばユーザー発のコンテンツ。ニコニコ超会議をやるにあたって、すでにあるイベントからお力を拝借するのがいいのではということで併催をお願いした」という。ちなみに伴さんは、生放送当日の朝、胆石で救急車で運ばれたそうですが……大丈夫!?
■THE VOCALOID 超 M@STER 24
THE VOCALOID M@STER(ボーマス)は、ケットコムが主催するボーカロイド系で最大の同人即売会。ニコ動からもボーカロイドPや歌い手、演奏者、絵師などが数多く参加し、書籍やCD、キャラの関連グッズなどが頒布される。
↑27日が400スペース、28日が100スペースのサークルを募集。前回の超会議とは異なり、2日入替制なので出展者はどちらかしか選べない。ちなみにサークルの応募はすでに締め切っている。
↑前回の超ボーマスのカタログ。鷲見さんは「今回ボーマスのCDも売ろうと考えて、Pさんにも声をかけさせていただいている。スペースに余裕があれば、プチライブスペースを用意したい」と語っていた。
■超文学フリマ in ニコニコ超会議2
文学フリマは、批評家で小説家の大塚英志さんが呼びかけて2002年に第1回がスタートした創作文芸や批評の同人即売会。望月さんいわく、「既成の文壇や文芸誌の外側に文学が流通する新しい場所をつくろう、作者と読者が直接コミュニケートする場をつくろう」というのがテーマだ。
↑28日のみ400スペースを提供。ニコニコ界隈ではちょっと印象が薄いかもしれないが、今回は超会議に参加するということで、ニコ動のコンテンツをテーマにした専用ジャンルも設ける予定。
↑ライトノベル、文庫、小説などさまざまな本が集う。
↑1行小節というフリーダムな感じの体裁でもオーケー。MCのドグマ風見さんは「オレ絶対デカい付箋だと思っていた」とツッコミを入れて会場をわかせる。
↑電子書籍での提供だが、現場で見本誌がないというのでわざわざプリントアウトして持ってきているという本末転倒(!?)なものも。
↑ノンフィクション系も豊富。ドグマ風見さんが一番興味を示していたのが『恋と童貞』。“特集 短歌と童貞”、“イベントレポート ヤリマン×童貞 座談会”など名前を聞くだけでスゴそうな記事を収録。
■ニコつく3
ニコつくは、ニコ動の“やってみた”から多くの人が集結する同人イベント。技術部や手芸部といったものづくり系だけでなく、歌ってみた、踊ってみた、演奏してみた、生主など表現系でも参加オーケー。八田さんの「ひとことでいうと大人の学園祭。ものやCDを売ったり表現をしたり例えば100円払っておケツをたたいてくださいとかでも、なんでもありです」という言葉に「それSMクラブじゃないですか」とドグマ風見さん。
↑28日のみ200スペースで実施。2月24日までサークルを募集している。今回はニコニコ技術部ブースがあってものづくりを体験できるが、ニコつくでも1000円を払って一緒に何かをつくるワークショップを実施予定。さらにライブスペースも用意する。
↑カタログ表紙イラストと、イベントのロゴを募集する。ロゴはカタログ以外にロゴを使った商品をセットで付けて頒布する予定だという。
↑そしてスタッフを絶賛募集中。Yシャツに書くぐらいにかなり真剣な状況だというので、興味のある人は参加してみるべし! 2月24日までニコつくのサイトにて募集中だ。
■博麗神社例大祭 超濃縮版
博麗神社例大祭は、東方Projectのオンリーイベント。東方Projectは、サークル“上海アリス幻樂団”がゲームを中心にリリースする同人コンテンツで、ニコ動ではボーカロイド、アイドルマスターと並んで“御三家”と呼ばれている。
↑開催は4月27日の1日目のみ。今回は即売会は実施せず、“濃縮版”として例大祭を紹介する内容になる。例えば、同人誌や同人ゲームを体験できる“見本誌読書会”、東方Projectの本家ゲームをフリープレーできるブースをつくるという。
↑超会議2では限定の冊子や、写真の紙袋を無料で配る。東方Projectのファンならぜひゲットすべし! さらにビールジョッキの制作も予定している。東方を生み出したZUNさんはビール好きで、超会議2でも彼がプロデュースしたZUNビールを販売予定。このジョッキを買ってビールコーナーに持っていけば、ZUNビールをついでもらえる予定だ。
↑開催日ごとにまとめるとこんな感じ。
■ニコ動が変えた同人イベントのあり方
番組の後半は、“同人とニコニコとこれから”と題して、同人業界を取り巻く現状についてざっくばらんに議論していた。たとえば、“ニコ動がができた後に同人文化に変化があった?”というテーマでは、神の声(ナレーション)で登場した同人界の大物I氏とともに、濃いトークが交わされた。
I あまり変わってないところもあるけど、やっぱり広がったところもある。紙から画面へと移ったわけですが、逆に画面から紙に移った人もいる。アニメからマンガ、マンガからアニメみたいなのと同じ流れで広まっていると思う。
北條 東方Projectは、ネットから発信された文化。東日本大震災のときにイベント延期をネットで告知したけど、かなりの速度で広まった。当日、一応、会場のほうにいってみたけど、十数人ぐらいしかいらっしゃらなかったぐらいに、ネットで情報が行き渡っていた。
望月 文学フリマは活字系のイベントなので、本来は直接的な影響は他のイベントに比べて少ないと思うけど、よく感じるのはニコ動みたいに誰でも簡単に発信できるような場ができたことで、自分で発表する意欲を持ってる人がどんどん前に出てくるようになった。文学ははやりのものに並走していく側面もあって、ボーカロイド小説やボーカロイド批評なども出ている。
I 文学は画面の中ではなく、手で持つもの。でも広がりという意味だと、画面のほうが海外にも出て行ける。画面があると広がりがもっと大きくなっていくだろうと、我々は思っている。イベントをたくさんやっている鷲見さんなんかだと、デジタルだと楽になると思うんですよね。
鷲見 宣伝は10年ぐらい前はチラシを撒いてナンボという時代だった。でも今や申し込みですらオンラインだけで済ませられる。
八田 プロモーションだけでなく、表現方法もすごく広がったと思うんです。ニコ動は双方向のやりとりがあって、動画を出すことでコメントをもらえる。同人イベントでやられていた会話が、ネットでなされてさらにいいものが生まれていくサイクルができてる。ニコつくに参加していただいてる方々は、ニコ動を通じてできた新しいジャンルの方々。そういった形では新しい表現方法が増えて、ニコ動内のやりとりでいいものができてる。
望月 それは僕も大事だと思っていて、15年ぐらい前の同人界隈は基本的にコミケがベースで、「コミケに始まりコミケに終わる」だった。でもニコ動ができてから、「コミケなんか行ったことないけど、同人即売会に行く」という人が増えてきた。ひと昔前は『げんしけん』的世界観だったのが、ニコ動から入って同人イベントに出て行く。これはすごく革命的なことだと思っています。
I 画面から入ってくる人たちが増えて、先輩に連れてこられる人が減った。昔はだいたい漫研に入って先輩に「明日並ぶからな」ってコミケにつれられていった。そういう流れがあったからモラルが高かったけど、今はルールを知らないでくる方も多い。カタログは結構高いし、1500円払ってまでルールを読む人がいない。そうなるとおイタしたり、列を曲げたりという人も出てきてしまうので、そこはちょっと困っているところでもある。
望月 でも僕が今すごく感じているのは、新しい人たちは別に悪いことをしようと思ってきてるわけじゃないんですよ。それが旧来の人たちの「けしからん! コミケの常識を知らないとは何たることか!」という態度と齟齬があって気持ち悪い。もう少しゆるく受け止めて上げてもいいんじゃないかなと思っています。
I そこは怒っちゃいけないんです。2、3回来てから考えていただく。「誰でも最初はそうなんだ」とみんな思って受け止めていかないと、われわれの世界も人が増えていかない。
望月 サークルさんの中でも良くも悪くも自警団みたいな方、僕は“ビジランテ”と呼んでるんですが、勝手に説教し始めたりする人もいる。それはスタッフに任せてほしい。ニコ動の影響で人が入ってくるのは仕方ないことなので、そこをどう受け止めるかは僕ら運営側の責任だし、サークル参加者側でベテランの人が不快になってしまうところも、「彼らが僕らの未来なんだから」とおさえてほしい。
北條 今後は超ライトユーザー層をいかに取り入れていくかということだと思うんです。例大祭も最初のころは通路の真ん中で立ち止まって語ってたりとか、「ZUNさんの作品がほしいんですが、東方のサークルってどこですか?」、「いや全部東方のサークルだから」って会話を交わしたりとか、そういう経験を積み重ねてだんだん慣れていってもらう。どんどん新しい人には来てほしいし、啓蒙はやっていかなければならない。
八田 前回の超会議のニコつくに来たお客さんは、コミケとはちょっと違う層だったけど、たとえば展示が壊れるみたいなトラブルはなかった。超会議にくればそのルールはわかるんだけど、別のイベントにでるとルールでがんじがらめで「僕そんなの知らないよ」って逆に反発してしまうかもしれない。
ほかにも“同人文化とニコニコの関係”、“ニコニコ超会議2への参加を決めた理由”といった濃い議論が交わされているので、ぜひタイムシフトでチェックしてみるべし!
超会議2特番~「同人とニコニコとこれから」について語る。同人系併催イベント編~(関連サイト)
↑生放送終了後に全員集合でパシャリ。これだけ同人業界の大御所が一同に会した生放送はかなり貴重!? ちなみに今週からスタジオセットが豪華になっていた。
■次回は超鉄道!
特番第4回の来週は、23時から“向谷実が超鉄道ブースの内容を大発表!”と題して超鉄道ブースを解説。新幹線の解体ショーなど、具体的な内容が話される。
ニコニコ超会議 超まとめ
2013年4月27日、28日に幕張メッセで開催される“ニコニコ動画のほぼすべてを地上に再現する”がコンセプトの一大イベント。歌ってみた、踊ってみた、ニコ生、ゲーム、鉄道、コスプレ、超パーティー……と多岐にわたるジャンルの情報を今回も週刊アスキーが総力を挙げて、独自取材でお届けする。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります