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INFOBAR A02はクラウドに“触れる”新感覚スマホ【石野純也氏寄稿】

2013年01月24日 22時17分更新

 スマートフォンでは3代目の“INFOBAR”となるauの最新スマホ『INFOBAR A02』が発表された。

 製造メーカーはシャープからHTCへと切り替わり、冬モデルの記者会見で予告されていたとおり、スペックも大幅に向上している。

チップセットはクアッドコアの『Snapdragon S4 Pro』で、auの下り最大75Mbpsを誇る4G LTEに対応。F値2.0の明るいレンズを採用したカメラや、楽曲再生時の音質を向上させる“Beats Audio”など、HTC端末らしい機能も備えている。

3代目INFOBARは3色で登場
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↑スマホでは3機種目となる『INFOBAR A02』。カラバリは左からAOAO、NISHIKIGOI、ICE GRAY。
防水防じん対応薄型化
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↑丸みを帯びていた『A01』に対し、『A02』は背面がフラット。バッテリーカバーは外せるうえに、防水防じん対応だ。

 メモリー(RAM)は1GBで、ディスプレー解像度も720×1280ドットと、春モデルのハイエンドモデルには一歩及ばないところはあるが、その分、たとえば『HTC J butterfly HTL21』と比較すると電池のもちが格段によくなっていたり、コンパクトで持ちやすいといったメリットがある。

 デザインやUIも含め、バランスを計算しつくした1台といえるだろう。ボディーの周囲はアルミでできており、右上がワンセグの、左下が各種通信のアンテナの役割を果たす。この仕掛けは「HTCから提案があった」(KDDI プロダクト企画本部 プロダクト企画1部 砂原哲氏)といい、端末の小型化にも一役買っている。

本体はアルミ素材
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↑INFOBARのロゴが入った部分から本体下部にかけてが、LTEや3Gなどのアンテナになる。塗装されていて分かりづらいが、アルミ素材を採用。
HTCとの開発秘話も披露
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↑『A02』は“au design project”の初期メンバーだった砂原哲氏が開発に携わっている。

 これらの機能を備えているのは、「写真、音楽、電子書籍、SNSといった、スマートフォンならではのサービスを、普通の人にもより使いやすくしたい」(同上)という狙いがあったからだ。

 スマホでは初代にあたる『INFOBAR A01』は「なるべくコンパクトにつくる」(同上)ことを目標にしており、テンキーを搭載した『INFOBAR C01』も「フィーチャーフォンライクなAndroid」(同上)がコンセプトだった。どちらかと言えば、従来型ケータイからスムーズに移行するための受け皿だった。

INFOBARの歴史もお披露目
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↑コンセプトモデルからフィーチャーフォンを経て、スマートフォンに進化した。

 もちろん、単にスマホらしさを追求しただけでは、INFOBARをあえて投入する意味はない。

 KDDI代表取締役社長の田中孝司氏が「選べる自由の新しい選択肢」と評するだけに、INFOBARならではの強い個性が必要となる。そこで浮かび上がってきたキーワードが“クラウド”だ。

 「情報との向かい合い方までデザインしなければいけないのではないか」(同上)という思いに基づき、ユーザーインターフェースで「クラウドに触れる新しい感覚」(同上)を実現した。

クラウドとの連携を強化
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↑発表会には代表取締役の田中社長も登壇し、INFOBARに込めた思いを語った。

 そのUIは、『A01』や『C01』に搭載される、縦スクロールでスクエアな大小さまざまなアイコンが並ぶ“iida UI”を受け継ぎながら、機能や演出が大きく進化した。

 iida UIには、アプリのアイコンに加え、Facebookや音楽再生などを直接操作できるウィジェットのようなパネルが置かれ、友だちの投稿した写真やお気に入りのプレイリストがひと目でわかるようになっている。

 このパネルは、長押ししたあとタップするだけでサイズの変更ができ、操作も以前より簡単になった。写真パネルは、端末内に保存された写真だけでなく、au CloudやFacebook、flickrにも対応した。

 田中氏が、クラウドに触れると表現したのは、こうした機能改善を踏まえてのことだ。

iida UIは2.0に進化
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↑アイコンやウィジェットをパネルにしたUIのデザインは踏襲。Facebookに直接「いいね!」を付けられるなど、よりクラウドと密接になった。
クラウド上の写真を表示
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↑写真のパネルも、クラウドに対応。オンラインストレージ上の写真も、自動更新で表示できる。

 UIのデザインは従来シリーズ同様、中村勇吾氏が担当。新しいiida UIは、動きや音にもこだわった。画面をフリックするとアイコンがグニャっと曲がったように動き、少しずつ速度が落ちてピタッと止まる。

 この演出は「ゼリーの動きを再現するプログラム、アルゴリズムを組んだ」(中村氏)ことで実現しており、抜群の心地よさを味わえる。従来のiida UIはアイコンを囲むパネルのリアルな質感にこだわっていたが、『A02』には「表面的なテクスチャーではなく、背後にあるアルゴリズムで質感や違うたたずまいを持たせようという意図があった」(同上)という。

iida UIのコンセプトを解説
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↑UIを担当した中村勇吾氏。iida UIには使う人の個性がにじみ出るといい、「家族思いの人には赤ちゃんや奥さんの、女好きの人は女の人の写真ばかりになる」と語り、会場の笑いを誘った。
画面スクロールでパネルが動く
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↑スクロール中には、パネルがゼリーのようにグニャっと曲がるエフェクトがかかる。動きも驚くほどスムーズだ。

 デザインを深澤直人氏が手がけているのも従来のINFOBARと同じだが、A02では「ハードウェアとソフトウェアというより、エクスペリエンスデザイン」(深澤氏)を行なった。

 「外観と中味というより中身だけ。中身の味や感触まで、すべて一体にデザインしようと、中村勇吾さんといっしょに、力強くパートナーを組んでやろうとした」(同上)といい、これまで以上にハードとソフトの緻密なすり合わせが行なわれていった。

 砂原氏の言葉を借りれば、「いかにひとつの塊としてつくるかを考えてデザインされている」端末に仕上げられたのだ。

本体とソフトのトータルデザイン
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↑歴代INFOBARのデザインを手がけてきた深澤直人氏。ハードとソフトが別々に開発された端末を「あんこと皮が別々のもなか」と評し、INFOBARは外と中の区別がない「ようかんのようなデザイン」だという。

 一例として挙げられるのが、左側面に搭載されたファンクションキー。ボタンを押すと“List View”と呼ばれるリスト状になったメニューが現れるほか、電話を終えたり、画面のオンオフにも利用できる。

 これは一般的なAndroidにはない役割のキーで、『A02』の独自UIがあるからこそ価値がある。この位置にキーがあることで、片手操作もしやすくなる。

 まさに、ソフトウェアとハードウェアを一体化させ、ユーザーエクスペリエンスに基づいたデザインになっているというわけだ。

左側面に独自ボタンを搭載
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↑音量キーの下には、『A02』独自のファンクションキーを搭載する。
独自ボタンは多数の機能を搭載
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↑ファンクションキーは着信時の応答や通話の終了、カメラのシャッターにも使うことができる。

 KDDIとしては、『A02』で「次のコンセプトを提案する」(田中氏)狙いがある。この端末は、あくまで「今年目指したい雰囲気を、ティザーという形で感じていただければ」(同上)という位置づけだ。

 一方で、『Xperia Z SO-02E』をはじめとするフルHD搭載端末を4機種、他機種を含めて合計8台のスマホを春モデルとして発売するドコモに比べ、auの春スマホが『A02』だけではバリエーションとして見劣りしてしまうことは否めない。ソフトバンクにも、昨年発表済みの春モデルがまだ3機種控えている。

 こうした見方に対し、田中氏は「春にはいろいろなものを発表したい。スマートパスポート構想の第1弾を去年1月に発表したが、それ(の新しい展開)と合わせて、今年の取り組みを見せることもやっていきたい」と述べている。

 この言葉からは、第2、第3の端末や新サービスが控えていることがうかがえる。すでに発表済みの他社より展開は遅くなりそうだが、期待して待つ価値はありそうだ。

INFOBAR A02製品サイト

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