シャープが12月13日に発表した『ICC PURIOS』(アイシーシー・ピュリオス)。今年初頭のCES、9月のIFA、10月のCEATECでデモのかたちで披露されてきたが、満を持しての発表となった。PURIOSはAQUOSの上位ブランドとなる。
↑60インチ、4K(3840×2160ドット)液晶パネルを搭載した『ICC PURIOS LC-60HQ10』。2013年2月20日発売予定(受注生産)で、価格は262万5000円前後。
『ICC PURIOS LC-60HQ10』の特徴は、おおまかに3つある。
ひとつは、I3(アイキューブド)研究所によって開発された『光クリエーション技術”ICC”』のテクノロジー。これは4Kアップスケーリング技術の一種で、ICCの専用チップによって提供される。光の反射や風景、物体などを“認知”する仕組みを利用して高画質化するもので、一般的な超解像とは異なる。13日の発表会ではデモ映像と4Kマスターで制作されたBD『クレオパトラ』(20世紀FOX)、そして通常のBSデジタル放送を上映していたが、他社の4Kテレビを上回るシャープさで画面全体の奥行きをつくり出していた。
↑通常のテレビ(左)とICC PURIOS LC-60HQ10(右)で高精細表示を比較。実際に製品を見ると、まるで3Dのような奥行きや立体感がある。
2つめの特徴は、高い輝度均一性を持つパネルを利用していること。取材によると、この4Kパネルはシャープの亀山工場で独自に開発したもので、同社の“UV2A”タイプ。60Hzで駆動し、3Dには対応しない。バックライトはLED直下型タイプだがエリア駆動はしておらず、画面の輝度均一性(ユニフォミティー)を業務用マスターモニター以上に細かく制御。“平滑化アルゴリズム”によってなめらかな階調特性を持っている。
製品化にあたり、この画面の隅々まで均一な輝度を出す検査こそが、約265万円という高価格につながったそうだ。
↑4KにアップコンバートしたフルHD映像のデモ。自然の映像では特に輪郭がシャープに出る。
3つめの特徴は、世界で初めて“THX 4Kディスプレイ規格”の認証も取得したこと。高画質であるというお墨付きをもらったようなものだ。
“映画THX”という専用モードも用意。なお、すべての映像表示モードで個別にICCの働きを変えるなどチューニングしており、映画THXでは監督の意図を忠実に再現する。
↑映像モードとして“映画THX”も用意。
↑通常のテレビ(左)とICC PURIOS LC-60HQ10(右)では、精細さや解像感はもちろん、コントラストや鮮やかさもひと目で違いがわかる。
265万5000円という価格ではなかなか手が出ないが、業務用モニターを超えるパネル性能、画質エンジンに独自技術を注ぎ込んだ価値あるテレビだ。デモ機は量販店ではなく、高級AVの専門店などに置く予定とのこと。機会があればぜひ実機でこの映像を体験してみてほしい。
●関連サイト
ICC PURIOS紹介ページ
シャープ100周年記念サイト
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