夏休みはカッコイイ鉄道動画を撮る絶好のチャンス! いわゆる夏休み期間中は蒸気機関車をはじめとするイベント列車が多く運行し、『青春18きっぷ』など乗り降り自由の超格安フリー乗車券も発売される。鉄オタとして日本中の鉄道を撮り歩いている“撮り鉄”の私が、ポイントさえわかれば誰でもできる、鉄道動画撮影のテクニックとオススメの撮影地や列車を紹介しよう。
■撮影場所を決めよう■
撮影ポイントは大きく分けて2ヵ所。ラクなのは駅撮りだが、本格的に撮るなら全景が撮れる走行区間撮りがオススメだ。
・駅撮り
駅のホームから撮ること。列車の発車シーンや通過が手軽に撮れる。親子連れや鉄道で移動する場合にはオススメ。ホームの端から撮ることである程度は見栄えのいい動画が撮れる。ただし、乗車客や駅員さんのジャマをしないように。
・走行区間撮り
駅間の線路の沿線から撮ること。撮影地によっては徒歩での移動が困難な場合があり、車が必要なことも。周辺の風景を入れた迫力のある動画が撮れる。ただし、夏季は虫に刺されたり、脱水症状になるケースもあるので炎天下での撮影は十分に対策したうえで臨んでほしい。
■鉄道撮影に最適なビデオカムを用意■
↓今回使用したのはコチラ
『HDR-CX720V』
●ソニー ●実売価格 9万5000円前後
↑鉄道を録るなら鉄板のビデオカム。空間光学手ブレ補正で手持ちでも強力に手ブレを補正。5.1チャンネルサラウンドマイクにより、鉄道の走行音が立体的に録音できるのが素晴らしい!! |
■撮影に必要なアイテムをそろえよう
○記録用メモリーカード
○予備バッテリー
○充電器
○三脚
○虫除け
○帽子・タオル
○水と非常食
メモリーカードは内蔵メモリーがいっぱいになったとき用の予備として。ノートPCを持参してそのつどバックアップしてもいいだろう。また、走行区間を撮るなら、線路の沿線は草むらが多いので、必ず虫除けや帽子などを準備していかないと悲惨なことになるので注意したい。ほかにも近くに自販機やコンビニがない場合もあるので、最低限の水と食料を必ず用意しておくこと。
■さあ! 鉄道動画を撮ろう■
【その1】日光の向きに注意するべし!
せっかくいい角度を押さえられても、列車が黒くつぶれてしまうので逆光は大敵。また、午前と午後では日光の向きが違うので、撮影地は午前と午後で適した場合が違うというのを頭にイメージしておきたい(ただし天気が曇りならば気にしなくてもいい)。
↑光線が最適な場合。前面も側面もクッキリ見えている。
↑逆光になっていて列車全体が黒く潰れてしまっている。
【その2】踏切や環境音に注意するべし!
写真撮影に慣れている人の場合、つい見落としがちなのだが、踏切や工場の近くなど、環境音がする場所では列車の音がかき消されてしまう場合がある。列車の走行音をいっしょに録りたいなら、踏切の付近は絶対にやめておいたほうがよい。
【その3】車輌の動きを考えるため一度列車を見送るべし!
遠くから来る列車をズームアウトしながら追うなら、撮る列車が来る1本前の列車を撮影して、列車の動きを把握し、ズームアウト操作の練習をしておくとキレイに撮れる。
【その4】三脚に固定するなら構図に神経を配るべし!
カメラを三脚に固定して撮るなら、画面内をどう列車が通るか考えて構図をつくろう。たとえば、画面内の右奧から右手前にかけて通り過ぎるような構図にするとダイナミックな映像になる。
出発前の列車の先頭をズームで押さえる→出発したらゆるやかにズームアウト→列車の頭が切れないように気を付けてパン移動→ある程度のところで止めて、電車が過ぎ去るのを待つ。ズームアウトしながらのパンは慣れが必要なので、初めての場合はズームは使わず、パン移動だけ気を付けるといい。
鉄道動画を撮る!(三脚に固定する場合の構図例)
↑画面内を列車が移動するように線路がカーブしている手前の場所だと、比較的カッコよく撮れる。
【その5】停止している列車こそピントを固定すべし!
液晶パネルをタッチしてピントを合わせられるビデオカムならば、 あらかじめ列車にタッチしてピントを合わせておこう。ビデオカムは動いている物体にピントを合わせるので、ほかの列車や手前の人などにピントが移動してしまう場合がある。
↑ピントがブレないように、タッチで必要な場所にピントを合わせておきたい。
【その6】カメラの“風きり防止”設定をするべし!
野外で撮る場合、風がマイクに当たって、ボーボーと風の音が入ってしまうため、多くのビデオカムには“風きり防止”もしくは“ウィンドウカット”の設定がある。あとからものすごく後悔するため、必ずオンにするのを忘れないこと。
【その7】蒸気機関車を撮るなら煙が出る場所を狙うべし!
蒸気機関車は煙突から煙が出ているほうが映像として迫力がある。そのため、できれば、駅の発車時や上り勾配など蒸気機関車が煙を出す場所を選択したほうがいい。カメラで機関車の入る位置をやや下のほうに配置して、煙が映像に入るような構図がのぞましい。
↑映像の縦の中心よりも下にくるように列車を配置しよう。
■撮影にオススメの路線と列車は?
・JR東日本 上越線『SLみなかみ』号
ほぼ毎週、週末に蒸気機関車が走る路線。”デゴイチ”の愛称で親しまれたD51型や東北本線で活躍したC61型の蒸気機関車が走る。また、客車は内装が近郊型電車と似ている冷房つきの『12系』と蒸気機関車が現役の時代に使われていた旧型客車の2種類が使用される。旧型客車と蒸気機関車の組み合わせは、まるで昭和にタイムスリップしたかのようだ。乗っても撮っても楽しい路線なのでぜひ一度訪れてみるといい。
鉄道動画を撮る!(上越線『SLみなかみ』号)
↑D51型蒸気機関車と12系の組み合わせ。蒸気機関車の力強い走りを間近で見られる。
【上越線の撮影地マップ】
より大きな地図で 上越線のオススメ撮影地 を表示
上越線は起伏が富んだ地形を走っており、絵になる撮影地が多い。一部だが撮影地を紹介する。なお、撮影地によってはタクシーやバスなどを利用する必要がある場所もあるので、駅からの距離を確認しておこう。また、撮影地は余裕をもっていくようにしたい。
・JR北海道 急行『はまなす』 (札幌駅で撮影)
鉄道動画を撮る!(急行『はまなす』)
青森駅~札幌駅間を結ぶJR最後の定期急行列車。座席車と寝台車の混成編成となっており、座席車を改造したカーペット車も連結。数少ない機関車の牽引とバリエーションあふれる14系客車の編成はぜひ動画に収めたいところだ。
・JR北海道 学園都市線(札沼線)
(新十津川駅付近で撮影)
鉄道動画を撮る!(札沼線(学園都市線))
札幌駅と新十津川駅 76.5キロメートルを結ぶ盲腸線。JRでは久々にディーゼルカーが走っていた非電間区間(桑園駅~北海道医療大学駅間)が一部電化され、JR北海道の最新鋭電車735系と国鉄時代からの気動車キハ40の両方が楽しめる。
※鉄道撮影では、マナーを守ろう※
鉄道を撮影するには、必ず駅構内や沿線に行くことになる。そのときに守るべきルールを紹介する。
○フラッシュやLEDライトは絶対使用してはいけない
運転士や車掌の目がくらんだり、発光信号と間違えるケースがあるため、暗くても鉄道撮影の場合にはライト類を絶対に使用してはならない。
○ホームでは黄色い線の外から撮らない。また、立ち入り禁止の場所に入らない
自分が安全に撮っているつもりでも、運転士からは危険に見える場合もある。この場合、列車が止まり遅延の原因にもなる。多くの人に迷惑を掛けるため、危険行為は絶対にしない。
○ほかの撮影者がいる場合には譲り合って撮影すること
複数の撮影者がいると映像にほかの撮影者が映ってしまう場合がある。その場合にはできるだけ自分の場所やカメラのズームを工夫して入らないようにしよう。間違ってもほかの撮影者を怒鳴りつけてどけるようなことはしないように。
【おまけ】
■YouTubeの手ブレ補正機能ってどうなの?
ビデオカメラは広角よりも望遠側の手ブレ補正が効きにくい。また足場が不安定なときなどは、カメラの手ブレ補正があっても、どうしても映像がブレてしまうときがある。ブレて撮れてしまった場合、編集ソフトの補正機能(『Premiere Pro CS6』では“ワープスタビライザー”)やYouTubeの手ブレ補正機能を使うとよい。
補正方法
1) アップロードした動画の“編集”ボタンを押し“動画加工ツール”を選ぶ。
2) 右上の“スタビライズ”のボタンを押すと補正が始まる。
3) 右上の“保存”ボタンを押せば適応完了。
下に動画を並べてみたので、比較してみよう。左が補正なし、右が補正ありの動画だ。
鉄道動画を撮る!(三脚に固定する場合の構図例)
鉄道動画を撮る!(YouTubeの手ブレ補正機能後)
【13日16時修正】急行はまなすと札沼線の動画が逆になっていたのを修正いたしました。
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