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夏休みにUltrabookをつくってみた

2012年08月07日 11時30分更新

文● ALICE せつめい●ACCN 編集●ジャイアン鈴木

 “富士通パソコン組み立て教室”に参加するため、島根県の工場まで行きました。遠かったですが、久しぶりに飛行機に乗れたのがうれしかったです。なぜ島根なのかとうかがったところ、地震が少なくて精密機器の製造に向いているのと、創業された方が青春時代をこの地で過ごされ愛着があるというのが理由だそうです。

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<せつめい>富士通は2004年から毎夏、島根および福島の自社工場を小中学生向けに公開し、“パソコン組み立て教室”を開催している。体感を通じて子供たち、そして親たちにパソコンをより身近な存在に感じてもらうのがねらい。同種のイベントを実施しているメーカーはあるが、アップルなど徹底した秘密主義にあるメーカーはまず、やらないでしょね(まぁMacBookを素人が組み立てられるかっちゅー話ですが……)。

 工場に入ると、まずショールームがあります。これまでここでつくられたパソコンの節目となるモデルや、これからつくろうとしているパソコンの試作機などが展示されてました。

同い年のパソコン
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↑2000年のモデル。この工場で500万台めの節目を飾った機種だそうです。デザインが今とはだいぶ違いますね。
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<せつめい>試作機というかコンセプトモデルのモックと思われるが、わりとまめに更新されている。LOOX Uが出る前にそれっぽいのここで見たことあるので、結構ちゃんとした指標になっているのでは? このメタルっぽいのとギャルっぽいのとコンバーチブルっぽいのはWindows 8乗っかって出てくるに違いない……。

今回つくるパソコンも展示
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↑ありました『LIFEBOOK UH75』という機種です。薄くてカッコイイ。

 レーザー刻印のサンプルというのもありました。刻印なので、プリントと違ってこすったりしても消えたりしないそうです。とても文字がクッキリしていてキレイでした。ラベルや、絵もいけるそうです。

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<せつめい>のちに同技術でマウスに名前を彫ってくれるというサプライズがあることを、まだ知らない……。

作業する部屋へ移動
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↑普段は食堂として使われている場所に30組の親子が通されました。
開会の挨拶
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↑……校長先生を思い出しました。
置かれているモノが気になる
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↑それぞれ指定された座席にネジとか工具がキレイに区分けされて置かれてました。触りたくなりますが、グッとガマン。
説明員ご登場
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↑説明員の錦織(にしこおり)さん。なぜテニスラケットを持っているかというと、五輪の選手代表だと言ってさっそうと出てきたのですが、あまりウケてはいませんでした。でも、悪い人ではなさそうです。
3分の1の工程
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↑今回の組み立ては実際の作業より工程数が省かれています。しかし、かかる時間は6倍……。 
エプロンを装備
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↑衛生的であることがとても大事だそうです。
アームバンドつけます
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↑静電気が起こらないようにするバンドを腕に巻いて、伸びている金具を作業台を兼ねているマットにつなぎます。静電気は電子部品の大敵なのだそうです。
手始めにネジ締め練習
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↑実際は機械でやるそうですが、今回は手で締めます。

<せつめい>機械で締める場合、きつすぎず緩すぎずといった絶妙なチューニングが電動ドライバー側に施されているという。なのに、素人が手で締めただけで大丈夫なの?……と、うかがったら、実は重要な箇所は休憩時間にこっそりスタッフが締め直したそう。やるな富士通……。

前半の内容
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↑作業は全体で60分、途中に休憩が入ります。前半の作業内容が示されました。意味不明なコトバばかりで少し不安になります……。
なんかボックスが
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↑各席に説明員の方がひとりつきます。その方が機材の入ったボックスを持ってきました。ワクワクします。中からパーツを取り出すのは係の人です。
スライドで作業内容を説明
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↑作業ごとに“動く絵”で説明があり、説明員の方も一緒にやってくれるので、何をやればいいかわからなくなるようなことは一度もありませんでした。
いきなり大作業
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↑キーボードのついているボードに液晶パネルを取り付けます。不安定なので、押さえてもらいながらやる必要がありました。
ビヨーンが気になる
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↑壊れたロボットから出ているバネのようなものが気になりますが、いまは気にしなくていいとなだめられました。
続いてフレームを入れます
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↑パーツの位置を固定するものですが、強度アップも兼ねているそうです。完成したパソコンは200キロの重さに耐えられるというのですが、それって乗っても大丈夫ってコト?
メインボードは慎重に
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↑とても大事なパーツといって渡されました。キンチョーします。
両手でそっと……
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↑慎重に指定の位置へ運びます。
ネジで固定
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↑このあとの作業は、画面を折りたたみ裏にした状態で行なえるので、一度もひっくり返す必要はありませんでした。
まだスカスカですが
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↑ここまでの状態。機械がむき出しになっているので、ドライバーなどで傷付けてしまわないようにと再三注意を受けました。ますますキンチョーします……。
整理整頓は苦手ですが……
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↑スピーカーを配置したら、線を溝にキレイに這わせないと、あとで裏蓋が閉まらなくなるなどの不具合が出てくるらしいです。ほかにも同様に線を整備する場面がありました。“パーツを入れたら周りのコードをキレイに”が基本で、そのためのスペースまでちゃんと設計されててスゴイと感じました。部屋の片付けもしないとな……。
フレキケーブルが難しい
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↑ボード同士や、一部のパーツをつなぐのに用いられる“フレキケーブル”。これをつなぐ作業がとても細かいくてたいへんでした。
爪がないとムリ
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↑サクッといれて、ピッと固定するためのレバーを下ろす……だけなんですが、なかなかうまくいきません。
あれ、浮いちゃった?
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↑このケーブルは、ふんわりとしてしまったのですが、これでいいんだそうです。
いよいよ後半
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↑大きめのパーツがドカドカと入っていきます。
ここに何が入るかというと
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↑黄土色のものは、パソコンの心臓部(CPU)から、これを冷やすために伸びています。排気口のスペースに、扇風機のようなもの(CPUクーラー)を入れます。
扇風機をネジで固定
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↑ケーブルをつないだら、またキレイに這わせます。
無線LANモジュール
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↑インターネットにワイヤレスでつなぐためのパーツだそう。ここもピッタリサイズで場所が用意されています。
ビヨーンをはめる
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↑最初に気にするなと言われたビヨーンは、無線のアンテナでした。このパーツにパチッてはめればいいそう。ちょっと固かったです。
いよいよHDD
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↑500GBもあるそうです。でも薄い。
詰まってきました
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↑だんだん詰まっていく感じが、なかなか心地よくてクセになりそうです。
でっかいバッテリー
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↑取り外せないタイプなので、いましか見られない(ほかのパーツもそうですが)。とても大きくて、9時間ももつそうです。
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↑これまでで最も存在感のあるパーツですね。一番大きなお部屋に入ってもらいます。
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↑そしてまたフレキをつなぎます。バッテリーのすぐそばで、ケーブルの長さにも余裕がなかったので、さらにやりにくかったです。
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↑なんとかできました。これ以降は電源が入ってしまうので、不意に電源ボタンに触れたりしないよう、注意がありました。
いよいよフタをします!
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↑キレイな赤のフタが来ました。これをはめれば、いよいよ……。
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↑何ヵ所も締めるのでたいへんです。

 これで完成? と思ったのですが、まだトレイにはパーツが数点あります。

この丸いのは……?
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↑ずっとナゾだった赤いゴムのようなものが、トレイにいくつか残っています。

 先ほど締めた裏蓋のネジを隠すためのものでした。形状と色が合わせてあります。

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 ネジ山が隠れ、まっさらキレイに仕上がりました。個人的にはこの作業が一番たのしかったです。

 そして、こんどこそ完成です。裏返して液晶をオープン、保護のためにしてあったカバーを外します。

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いよいよ電源オン
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↑頼みます、ちゃんと動いて!
やったー大成功
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↑Windowsが無事起動しました! 驚いたのは、入場時に記念撮影した写真が壁紙になっているという演出! スゴ〜イ(でも、壁紙はたぶん変えると思います)。

 以上、とても楽しかったです。細かい作業が多くてラクではありませんでしたが、説明員の方の指導が丁寧でわかりやすかったし、なにより自分で組み立てたパソコンはすごい愛着がわきますね。こんなかっこいいパソコンをもらえ、飛行機も乗れ、たいへん貴重な体験でした。ただ、その場で持って帰れないと知って、ちょっと凹みました……。

<せつめい>もらったのではなく、本体価格+α(組み立てサービスぶん)の費用がかかる。島根までの交通費や宿泊費などを考えると安くはないが、その体験は“プライスレス”かな。毎回応募殺到で抽選となっており、遠方からの参加者も多い(今回は沖縄からって方いらっしゃいました)。なお、参加者が組み立てたパソコンは動作確認やら試験やらなんやらを施したうえで自宅へ配送される。子供は単純なので理由を理解しようとせず、スグ持って帰りたがるから困る。もちろん、購入したものとまったく同じ保証、サポートを受けることが可能だ。

~オマケ~
 組み立てのあと、工場内を見学、ゲームなどのおたのしみがたくさん用意されていました。

動作チェックゲーム
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↑カメラやキーボード、トラックパッドなどがちゃんと反応しているかチェックするソフトで、チェック完了までのスピードを競うゲームをやりました……が、ビリでした。
電動ドライバーでネジ締め対決
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↑みんなと競争、コレは2位でした。慣れが必要ですが、手で締めるより全然早くできますね。欲しい、コレ……。
大人が乗っても壊れない!
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↑実際にUltrabook(つくったものではなく、同じモデル)の上に乗って、その強度を体感。みんな「ホントにいいの?」という感じでしたが、何組乗ってもちゃんと動作。

<せつめい>通常、加圧に対する耐性は内部スペースを設けることで実現しているが、LIFEBOOK UH75の場合は逆で、密度を集結させて実現している。カチンコチンUltrabookですな。なお、アックン・オッペンハイマーは立場上、PCを踏みつけるという行為は行なえず。もし、PC Watchさんやマイナビさんの記事にそれらしき人物が写っていたとしても他人のそら似である。

名前入りマウスGET
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↑レーザー刻印の機械で、マウスに自分の名前を刻印してくれました。わーい! 刻印はあっという間でした。
チャンバラでもやるの?
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↑チャンバーなる場所に連れてこられました。入ってみよう……ということは、何かするお部屋でしょうか。
さ、寒っ
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↑冷蔵庫のようなところでパソコンの動作チェックがされてました。
メガネが曇った
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↑続いてこんどは汗が噴き出るような部屋へ……。ここでもパソコンの動作チェックをしています。この後いただいたアイスキャンディーのおいしかったこと!

<せつめい>試験室内は一方が0°、もう一方が40°以上。こんな過酷な環境でPCを長時間使うか? と思ったが、これは経年劣化の耐性試験で、環境を過酷にすることで月日の流れを早めている。

時速5キロで歩け
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↑カートにモノを入れながら、ジャスト5キロで歩行するゲームもやりました。結果は平均4キロちょっとで、ちょっと遅かったみたいです。

<せつめい>5キロというのは、工場内で安全かつラインの流れに最も適した速度だそう。ピッタリ5キロで歩くのって、けっこう難しい。

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