6月20日から22日までの3日間、上海で開催されたMobile Asia Expo 2012は、例年11月に香港で開催されてきたMobile Asia Congressの場所と時期を変更し、中国大陸で開催となった最初のイベントである。主催は世界最大の通信関連イベント、Mobile World Expoの主催団体でもあるGSMA。出展企業は中国を中心に、海外からはドコモやノキアなど合計200社を超えている。
中国で初となる国際的な通信関連イベント |
これまで中国では国際的な通信関連の大型イベントは実施されておらず、今回のMobile Asia Expoがその意味では初めて開催されたものとなる。中国では携帯電話加入者数が今年3月には10億人を超え、また3キャリアが提供する3Gサービスの利用者数も1億人を突破した。スマートフォンの販売台数もアメリカを抜いて世界トップになるなど、モバイル業界において中国はいまや数の上で世界を牽引するマーケットリーダーと言える存在になっているのだ。
TD-LTE関連のイベントも同時に開催 |
また各国で導入が始まっているLTEは、中国政府も後押しを進めるTD-LTEのテストが中国国内数都市で始まっている。TD-LTEは日本やインドでも商用サービスが始まっており、FDD方式と合わせてLTEの普及を後押しするキーテクノロジーとGSMAは認識している。中国でのイベント開催はTD-LTEに関わる企業の出展が多数期待されることから、4Gへ移行を図ろうとしている業界の流れを把握するにも適したものと言えるだろう。
終日賑わう上海のアップルストア |
インフラや端末などのハードウェアだけではなく、ウェイボ(微博)に代表されるマイクロブログサービスやバイドゥ(百度)などのポータルサービス、そしてクラウドを利用した電子書籍やストリーミングによるビデオの配信など、サービスやアプリケーションの面でも中国企業の存在感は日に日に高まっている。中国の動きはすでに世界のモバイル業界のトレンドに影響を与えるまでの存在になっているのだ。その中国で開催されたMobile Asia Expoは、来年以降も大いに注目すべきイベントになっていくだろう。
●会場で見かけた中国スマホたち
さて中国の展示会で楽しみなのは、日本で見かけることのない中国製スマートフォンメーカーの出展だろう。Mobile Asia Expoで見かけた特徴的な中国スマートフォンをいくつか紹介しよう。
スマートフォンの横にある“板”はなんだろう? |
裏側にスマートフォンが合体するようだ |
チップセットベンダーの大唐電信ブースに展示されていたTransPhone TP703は、4インチクラスのスマートフォンとタブレット形状をしたアタッチメントのセット。名前からして某社のTransformerを想像させるが、このTP703もまさしく両者が合体するのだ。
合体後は普通のタブレットとして利用可能 |
取り外しもスムースに行なえる |
出展されていたのは開発中のデモ端末で、電源は入らず動作しないモデルだった。説明員によると合体式のスマートフォン&タブレットの需要は一定量見込まれるのではないのだろうかとのこと。同社はチップセットの開発メーカーであり、製品化される場合は中国のどこかの端末メーカーが製造することになるようだ。
KONKAからも5インチノート |
GALAXY NoteとOptimus Vuのいいとこ取り |
一瞬“NOKIA”と見間違ってしまう中国のKONKAからは5インチスマートフォン『W990』が登場。カバーをつけた姿はGALAXY Noteのようだが、開いてみればスタイラスペンは一派的なタブレット用タイプ。先が丸いゴム形状のスタイラスが付属する様はOptimus Vuのようにも見える。両者のいいところを足して2で割ったような製品にも見える。
XPERIAに似た『E860』は独自UIを搭載 |
『W830』はGALAXY S IIIにどことなくそっくり |
KONKAはスマートフォンを5〜6機種展示していたが、ほかに目立っていたのがファッション性を高めた本体デザインの『E860』だ。独自UI“Goデスクトップ”を搭載しており、メニュー画面の切り替えは3Dライクな表示に対応している。
角の立った本体はどことなく最近のXPERIAに似てるようにも見えるが、説明員によるとオリジナルデザインとのこと。また4インチディスプレーの『W830』はホワイトのボディーがスタイリッシュだが、こちらもGALAXY S IIIにどことなく類似したデザインなのは気のせいであろうか?
中国版イエデンワは3G対応 |
モトローラはモバイルTV内蔵スマホを中国で販売 |
中国メーカーの展示はほかにファーウェイとZTE程度であったが、通信キャリアのチャイナモバイルブースには中国方式の3G、TD-SCDMAに対応する端末がいくつか展示されていた。たとえば固定電話型の3G電話はあのイエデンワの中国版とも言える製品。実はイエデンワの類は数年前から中国ではGSMやCDMA2000、そしてPHSの各通信方式に対応した製品が販売されており、中国のほうが“本家”なのである。
また海外ではW-CDMA版として販売されているGALAXYシリーズのTD-SCDMA版なども展示されていた。モトローラも中国には複数のスマートフォンを販売しているが、ブースに展示されていたものはTD-SCDMAに対応、そして中国版ワンセグとも言えるモバイルTVチューナー“CMMB”を搭載している。
日本で発売されているモトローラのスマートフォンはグローバルモデルがほぼそのまま投入されているが、中国向けのようにワンセグを搭載したモデルをぜひ日本でも発売してほしいものだ。
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