さて、『GALAXY S III SC-06D』は既報どおり、デュアルコアスマートフォンとして発売されることになりました。クアッドコアCPU『Tegra 3』を採用するという選択肢もあったはずですが、サムスンの広報に確認したところ「総合的に判断させていただきました」というコメントしか得られませんでした。
その経緯はともかく、今回は、サムスンのLTE基地局が広く使われ、そのLTE基地局に対応した自社製クアッドコアCPUを用意した韓国でのみ『GALAXY S III』はクアッドコアスマホとして発売されますが、日本を含めたそれ以外の国ではデュアルコアスマホとしてリリースされることになりました。
※記事初出時、サムスンがデュアルコアCPUを採用した理由について、誤った記載がありました。お詫びして訂正いたします。
ちょっと残念に思われている方が多いでしょうが、ドコモ版に採用された『Snapdragon S4 MSM8960(1.5GHz、デュアルコア)』は素性のいいCPU。サムスンがどのようなチューニングを施しているのか見てみましょう。
まずはベンチマークからです。既報ではサムスン製従来モデルと比較しましたが、今回はせっかくですのでau/富士通のクアッドコアスマホ『ARROWS Z ISW13F』と比較してみます。
なお、『GALAXY S III SC-06D』、『ARROWS Z ISW13F』ともに、5月15~16日時点の試作機で計測と撮影を行なっています。製品版では、動作スピードや操作感などは大幅に変わる可能性があることをお断りしておきます。
Quadrant Standard Edition
GALAXY S III SC-06D |
ARROWS Z ISW13F |
AnTuTu 安兎兎ベンチマーク
GALAXY S III SC-06D |
ARROWS Z ISW13F |
『Quadrant Standard Edition』では『GALAXY S III SC-06D』がトータルスコア4707、『ARROWS Z ISW13F』がトータルスコア3269、そして『AnTuTu 安兎兎ベンチマーク』では『GALAXY S III SC-06D』がトータルスコア6588、『ARROWS Z ISW13F』がトータルスコア7277と、逆転する結果が出ています。
うーん微妙な結果です。ベンチマークプログラムの相性問題か、またはどちらかのベンチマークプログラムが正常に動作していないのかもしれません。以前、『Optimus LTE L-01D』でQuadrantがシングルコアとしてしか計測しないという不具合がありました。このような例を挙げるまでもなく、ベンチマークプログラムはあくまでも参考程度に捉えていただければと思います。
それでは、ある意味単純明快に端末の“ヌルサク感”がわかる、動画を見てみましょう。
GALAXY S III SC-06D:5/16時点試作機実機動画
いかがですか? 私の知るかぎりでは、このヌルサク感は未経験の領域です。とくにブラウザーを拡大したときの圧倒的なスクロールスピードは、ほとんどPCのそれと同じレベルです。
また、もうひとつ驚いたのが、ホーム画面“docomo Palette UI”が見たこともない速度で動いていることです。ドコモのスマートフォンを使っているユーザーなら誰もが重たいと感じている“docomo Palette UI”が、これだけのスピードで動くのですから、Snapdragon S4の潜在能力にビックリですね。
『GALAXY S III SC-06D』のありあまるパワーは、ほかの用途でも十分実感できます。
GALAXY S III SC-06D:ポップアッププレイデモ
GALAXY S III SC-06D:カメラ連写デモ
上の動画は端末内のビデオファイルを再生しながらほかの操作を行なえる“ポップアッププレイ”、下の動画は単純明快にカメラの連写を試してみましたが、このような重ための処理を行なっても、まったくストレスを感じません。
動画を再生しながらスムーズブラウズ! |
上の写真のように、動画を再生しながら、ブラウザーをスクロールするようなシチュエーションでも、体感できるスクロールスピードの低下はありませんでした。
ただ非常に残念なのが、前述のとおり“ポップアッププレイ”可能なのは、端末内に保存された動画のみで、たとえばワンセグやYouTube動画を再生しながら、ピクチャーインピクチャー表示はできません。ワンセグについてはどうやら日本独特の著作権的規約からできないそうなのですが、正直このような規約はユーザーからワンセグを遠ざけるものとしか思えません。ユーザー不在の規約はなんとか改正していただきたいところです。
『GALAXY S III SC-06D』の魅力はパフォーマンスだけではありません。ぜひ動画で見ていただきたい機能として“スマートステイ”があります。
ユーザーの視線を検出するスマートステイ |
このスマートステイも動画で見ていただくと一目瞭然です。
GALAXY S III SC-06D:スマートステイデモ
つまり、インカメラによってユーザーが“画面を見ていること”を検出し、画面のタイムアウトを無効にすることができるのです。
スマホを見ているときに、画面がふいに消えるイライラ現象から解放され、また、この機能のおかげでタイムアウトまでの時間を最短に設定できるので、消費電力の節約にも多大に貢献します。
ちなみに今回の端末ではまだうまく動かなかったのですが、このスマートステイはユーザーの目を認識して、見ているかどうかを検出しており、その応用で、端末を見ながら横になっても(端末を横に倒しても)、目が縦に位置していることを認識し、縦画面を表示し続ける機能も製品版では搭載されるとのことです。
これ以外にも、モーションセンサーや近接センサーを利用して、ユーザーをサポートする機能が多数追加されています。
モーション設定画面(1) |
モーション設定画面(2) |
たとえば“ダイレクトコール”では画面に連絡先を表示して耳元に近づけるだけで自動的にダイヤルが行なわれ、“伏せて消音/一時停止”では着信時に端末の画面を下に向けて置けば着信音は消音し、再生音は一時停止します。サムスンの端末は、今後もこのような人の動作がそのままコマンドになるような、ある意味人間の機能を拡張する機能をどんどん取り入れていくとのことです。
『GALAXY S III SC-06D』のほかのトピックとしては、日本独自機能をサポートしたことがあげられます。
おサイフケータイ対応 |
通知LED搭載 |
ワンセグ対応 |
おサイフケータイ、通知LED、ワンセグに対応し、赤外線通信と防水・防塵対応以外の日本機能を搭載したことは、これまで「おサイフ機能がないから……」と敬遠していたユーザーには大きなフックとなるでしょう。
もう『GALAXY S III SC-06D』を購入することを決めちゃっているワタシですが、ひとつだけ心配があります。
フチが湾曲している…… |
デザイン的にはいいのですが、『GALAXY NEXUS』と同様に画面のフチが湾曲しているため、ギリギリサイズの画面保護フィルムを作ることが難しいのですねー。画面保護フィルムを購入するときには注意が必要です。
いい画面保護フィルムを作ってください! |
ちょうどpocketgamesの平野店長がいたので、「いい画面保護フィルムを作ってくださいね!」って頼んだのですが、「端末を手に入れてから考えますー」とのこと。でも期待してますよ!
さて予約に行ってきます! |
端末自体の魅力もさることながら、サムスンはAndroid OSのアップデートに非常に積極的で、『GALAXY S II』や『GALAXY Note』にはすでに一部地域でAndroid 4.0のアップデートが提供されています。
と言うわけで、なんの根拠もないのですが、『GALAXY S III SC-06D』にもAndroid 5.0(Jelly bean)が提供開始される気がギュンギュンします。さっそくワタシは予約に行ってきますが、皆さんはどうします?
OS | Android 4.0 |
通信 | LTE/3G(下り14Mbps/上り5.7Mbps) |
ディスプレー | 4.8インチ(720×1280ドット) |
CPU | MSM8960(1.5GHz、デュアルコア) |
メモリー(RAM) | 2GB |
カメラ | 約800万画素(インカメラ約190万画素) |
バッテリー容量 | 2100mAh |
サイズ/重量 | 約71(W)×9.4(D)×137(H)mm/約139g |
おサイフ | ○ |
ワンセグ | ○ |
赤外線通信 | × |
防水/防じん | ×/× |
テザリング | ○(10台) |
GALAXY S III SC-06D
メーカー:サムスン
キャリア:ドコモ
発売日:6~7月発売予定
予想実売価格:1万円台半ば
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