ノキアのWindows Phone端末“Lumia”シリーズ初のローエンドモデルが、『Nokia Lumia 610』だ。2月にバルセロナのMobile World Congressで発表され、いよいよ4月末に発売開始となった。
日本での発売予定はないため、今回は香港在住の山根博士から実機を送ってもらった。さっそく開封してみよう。
■Lumiaシリーズ標準の外箱
Lumia 610は、まずアジア市場から投入されるのが特徴だ。香港版の購入価格は1998香港ドル(約2万500円)。MWCで発表された189ユーロに近い金額で、SIMロックフリー版スマートフォンの新製品としてはかなり安い部類に入ると言える。
以前レビューしたLumia 900はSIMロックのかかっているAT&T版だったが、今回は香港のSIMロックフリー版。AT&T版Lumia900のパッケージは同キャリア端末で標準的な白とオレンジの配色だったが、このLumia610の外箱はほかのLumiaシリーズやノキア製携帯電話で一般的なノキアブルーだ。
↑外箱はノキアの標準的なデザイン。タイルの表示は香港仕様だ。 |
↑いよいよ開封。香港では店頭で購入時に一度開封されるそうなので、初めてではない。 |
↑添付のマニュアルとイヤホン、USBケーブル、電源アダプター。 |
■チープな感じはしない
それでは本体を見てみよう。今回入手したのはホワイトモデル。ほかにブラック、シアン、マゼンタがある。ホワイトはつやつやした光沢仕上げとなっている。
ディスプレーはシルバーのメッキパーツで囲まれており、端末下部には背面カバーが回り込んでおり、本体カラーのホワイトが主張している。全体的に丸みを帯びており、スマートフォンとしてよくある形状をしている。
↑ディスプレー周囲のメッキパーツがアクセントに。 |
↑裏面全体は取り外し可能なカバーになっている。 |
低価格なスマートフォンのなかには、いかにもチープな印象を受けるものが少なくない。たとえば接合部分がフィットしていなかったり、妙にエッジの立っている箇所があったりする。しかしLumia 610は細部まで丁寧に作り込まれており、値段以上の品質という印象だ。
メッキパーツについては、たしかにあまり高級感があるとは言えない。指紋が目立つのも気になるところだ。しかし端末デザイン上のよいアクセントになっているとも考えられる。
■500万画素カメラ、マイクロSIMカードスロットを搭載
Lumia 610は、一体成形のLumia 900や800と違い、背面のカバーをはずすことができる。背面カバーをはずすと、まずバッテリーが現われる。バッテリーも取りはずすと、マイクロSIMカードスロットにアクセスできる。
↑背面カバーとバッテリーを取りはずした状態。 |
スマートフォンの背面カバーを取りはずせるかどうかは賛否両論で、Lumia 900や800の剛性の高いデザインを好む方もいるだろう。しかし背面カバーを取りはずせる端末では、バッテリーを交換できるというメリットがある。
背面にはカメラユニットも確認できる。Lumia 900や800と違い、カールツァイスレンズではないものの、Lumia 710と同じ500万画素となっている。
■OSは『Windows Phone 7.5』
Lumia 610は、Windows Phoneの最新アップデート“Tango”を搭載することでも知られている。Tangoアップデートには、Lumia 610のようにメモリーが256MBのローエンド端末への対応も含まれている。
この点について、たしかにOSバージョンは“7.10.8773.98”となっており、Tangoとして知られる最新版だ。しかしOSの製品名は『Windows Phone 7.5』から変わっていない。
↑製品名は『Windows Phone 7.5 Refresh』や『Windows Phone 7.6』ではない。 |
表示言語については、キャリアや販売地域によって異なる。今回入手した香港版では、英語、簡体中国語、繁体中国語の3ヵ国語のみとなっていた。Windows Phone 7.5標準の日本語キーボードを有効にすることで、日本語入力や漢字変換は可能だ。しかし日本語表示はすべて中国語フォントを使用したものになるので注意したい。
↑英語、簡体中国語、繁体中国語のみ対応(左)。日本語入力は問題ない(右)。 |
Lumia 900と同様にインターネット共有(テザリング)にも対応する。
■Lumia 610では使えないアプリもある
Lumia 610は低価格を実現するために、Chassis仕様の範囲内でスペックを下げている。たとえばプロセッサーはQualcommのSnapdragon S1世代の『MSM7227A 800MHz』を搭載する。ストレージは8GBで拡張不可、カメラは500万画素だ。
しかし最大の制限はメモリーの搭載量が256MBという点だ。これによりWindows Phoneの機能が一部無効になっている。さらに影響が大きいのが、一部のアプリが動作しないという点だ。
既存のWindows Phoneは512MB前後のメモリーを搭載していたが、Lumia 610では半分の256MBになってしまった。そのためメモリーをたくさん使うアプリは動作しないのである。とは言え、購入したアプリがLumia 610で動かないという心配は不要だ。その点はMarketplace側で配慮されており、256MBのメモリーで動きそうにない“ヘビー級”のアプリについては、ダウンロードできないようマーキングされている。
↑Lumia 610では256MB端末で動作するアプリのみをダウンロードできる。 |
Windows Phone Marketplaceで公開されているアプリのうち、256MB端末に対応していないアプリは5パーセント程度であるという。残念ながら『週アスPLUS』アプリもそのなかのひとつで、Lumia 610からはダウンロードできない。Lumia 610の国内発売は当面予定されていないものの、今後増加するかもしれない256MB端末ユーザーのためにも、対応を期待したい。
■まとめ
このようにLumia 610は、これまでのWindows Phoneとは異なる価格帯に投入された廉価版の端末だ。ハードウェアのスペックは下がったものの、サクサク・ヌルヌルした操作感覚は十分に再現されているという印象だ。
一部のアプリやゲームが動作しないなど、注意すべき点はあるものの、Windows Phoneをお手軽に試してみたい人にはおすすめできる端末と言える。
山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ
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