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GeForce GTX690対GTX680 SLI ハイエンドユーザーはどちらを買うべきか

2012年05月03日 22時00分更新

GeForce GTX690対GTX680 SLI
GeForce GTX690対GTX680 SLI
GeForce GTX690対GTX680 SLI

 先日編集部に到着したGeForce GTX690ですが、ようやくひと通りのベンチマークを終えました。当然気になったのが、GTX690ではGTX680相当のGPUをデュアルで搭載する仕様ということで、価格がGTX680の2枚ぶんよりも安ければ、これはかなりお買い得なグラボなんじゃないか?という疑問。

 GTX680の実売価格は低価格なものでも5万5000円前後、ものによっては6万円を超えるものもあります。一方、GTX690の想定売価は999ドル(約8万円前後)ですから、かなり胸が熱くなる対決です。

 ベンチマークを通してわかったのは、GeForce GTX690の3D性能はGTX680単騎の1.6~1.9倍程度、GTX680 SLI(2枚)と比べると平均して3~6%下ということ。GPUの動作クロックはGTX680がベース1006MHz(GPU Boost時1058MHz)、GTX690がベース915MHz(GPU Boost時1019MHz)とやや低くなっているので、妥当な値です。

 では、その微少な性能差が実際のソフトでどのように影響するか細かく見ていきましょう。

■検証マシンの構成
CPU:インテル『Core i7-3930K』(3.2GHz)
CPUクーラー:Corsair『CWCH100』
マザーボード:ASRock『Fatal1ty X79 Professional』(Intel X79)
メモリー:Corsair『VENGEANCE CMZ16GX3M4A1600C9』(PC12800 DDR3 4GB×4)
ストレージ:インテル『SSD 520』(240GB SSD)
電源ユニット:SilverStone『SST-ST1500』(1500W、80PLUS Silver)
OS:Windows7 Professional SP1(64ビット版)
ドライバー:ForceWare 301.33(β版)

GeForce GTX690対GTX680 SLI
GeForce GTX690対GTX680 SLI

 まずは定番の3D性能計測ソフトで比較。『3DMark11』ではGTX680に対しては約60%アップ、GTX680 SLIからは約5%ダウン。『Heaven Benchmark』ではGTX680 SLIと平均fpsがほぼ同等です。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 最高画質&フルHDであれだけ重かったゲームがここまで軽くなるとは……、という感慨はあります。しかし、60fpsを超えているので当たり前ですが、正直GTX680単騎と見た目に快適さが変わることはありませんでした。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 “究極”設定をベースに、影やアンチエイリアス系の設定をさらに盛って計測。GTX580時代は“超重量級”だったゲームが、今や“やや重い”系になってしまった(ドライバーやゲーム自体の改善もありますけど)。ちなみに、最低fpsが40fps前後なのは仕様のようです。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 公式ベンチに含まれる“Sunshafts”は今でも屈指の描画負荷を誇ります。GTX690のほうが最低fpsが微妙に高かったものの、これは誤差の範疇。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 Ultra画質+FXAA設定でテスト。最低と最高fpsは微妙に差がつきましたが、平均fpsはGTX690もGTX680 SLIもほぼ同じ。なお、ベンチのために意図的にVsyncを無効化してテストしましたが、実際のゲームでこの設定を使うと表示が変になるのでオススメできません。最低fpsが80を超えているので、ゲームに対してGPUが完全にオーバースペックですな。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 ネット対戦時のフィルムを再生したときのフレームレートを測定。SLIのバーが表示されるため、マルチGPUは確かに効いているようですが、結果から言えばゲーム上でソフト的に制限しているのか、GTX680単騎ともほぼ差がありませんでした。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 高性能になるほど、わずかなGPU性能の差がスコアーに大きく反映されやすいテストなのでここまでの差がついたが、GTX680 SLIとGTX690での見栄えの差はまったくありませんでした。fpsは140~170くらいで変動するため、ゲームに対して完全にオーバースペック。

 と、ここまで、さまざまな負荷のゲームで試してきましたが、GTX690は確かにスゴい。しかし、今回試したゲームではGTX680単騎環境と比較して、“見た目に”明らかに変わったという感じはありません。どれも十分滑らかに表示されるため、人間の目の限界を超えているからですね。

フルHD液晶3枚のサラウンド表示でテスト!
GeForce GTX690対GTX680 SLI
GeForce GTX690対GTX680 SLI

 そこで、ゲーマーの夢、フルHD3画面サラウンド表示も試してみました。さすがに5760×1080ドットの画面描画の負荷は重く、GTX680単騎では動きの大きいシーンではだいぶもたつきます。しかし、GTX690なら60fpsは割ってしまいましたが、かなり快適にゲームできました。ほかのテストと違って、GTX680 SLIよりも微妙に性能が上がっているのは、GPU間の距離が短いからなのか?

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 消費電力はさすがKepler世代といったところ。今回のテスト環境でアイドル100ワット強なのはすばらしい。BF3プレー時はGTX680のSLI環境よりも、60ワットも省エネというのがさらに良いです。たしかFermi時代は、800ワットぐらいは覚悟する必要があったはず……。今回電源ユニットは1500ワットの超大容量版を用意しましたが、実際は700ワットの80PLUS Gold電源があれば、余裕と見ていいでしょうね。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 発熱はさすがハイエンド。動作中のGTX690の金属部分はかなり熱くなってました。アルミ製カバーになったのも納得です。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 暗騒音32.2dBの室内で計測。アイドル状態のファンノイズはいずれも静かで、聞こえてくるノイズの大半はCPU用水冷ユニットのポンプの音だけ。ゲームをはじめて2分が経過するころには、どれもファンノイズが増加。GTX690はシングルファンなのにGTX680 SLIよりも静かというのはある意味感動です。しかも、Fermi時代では考えられないほどゲーム中でも静かです。

ちょこっとだけオーバークロック実験

定格
GeForce GTX690対GTX680 SLI
OC
GeForce GTX690対GTX680 SLI
PT=80%
GeForce GTX690対GTX680 SLI

 試しにASUSTeK『GTX680-2GD5』用のツール『GPU Tweak』を入れて、オーバークロック(OC)や“Power Target”を使った省電力動作実験も行ないました。

GeForce GTX690対GTX680 SLI

 GPUクロックを1171MHzまでOC(3DMark11完走で成功判定)してみましたが、微妙にfpsが上がったものの、トータルでは定格と変わらない結果に。時間がなかったので煮詰められませんでしたが、1200MHz以上だと3DMark11が停止しました。

 “Power Target”を下限の80%(マイナス20%)まで下げてみると、やっぱりfpsと消費電力が下がったので、省電力関係のノウハウはGTX680とまるっきり同じになっている感じです。

●結論

  1画面で遊ぶことを前提にするなら、現存するほとんどのゲームに大してGTX690はオーバースペックと言わざるを得ません。GTX680で十分です。

 しかし、GTX690の真価はフルHD液晶を3枚使ったサラウンド表示のとき。そこまでしてゲームをしたいの? と頭に浮かぶ一般人を、GTX690はターゲットにしていないんですね。「ゲームはやっぱり複数枚液晶環境でとびっきりの興奮を!」と心から思える人こそ、GTX690のオーナーにふさわしい勇者なんだと思います。とはいえ、かなり高いクラスでの話ではありますが、たぶんGTX680を2枚買うよりもお得なので、コスパ的にも賢い選択肢になるはずですよ。

●関連サイト
NVIDIA GeForce GTX690

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