週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

引越し記念! よりぬき東京カレー日記(13)

カラシニコフ「AK-47」が最強の自動小銃である理由

2012年05月02日 21時00分更新

 「人間よりも計算時間のかかる電卓」(http://blogmag.ascii.jp/tokyocurrydiary/2007/11/post_71.html)で、OMRONの12SR(日本メーカー唯一と思われるRPN電卓)、EL-8013(私が初めて買った関数電卓)、HP-29C(私が一時期使っていたHPの電卓)、そして、MK-52(旧ソ連製のRPN電卓の所要計算時間比較ベンチマークテストというのを行った。

 その中で、旧ソ連製のMK-52の計算時間が、1977年製の12SRや1974年製のEL-8103とあまり変わらない結果が出たのをお伝えした。12SRの計算中の画面の楽しさを動画で掲載したのだが、実は、MK-52の表示も掲載すべきところだった。なぜかといえば、sin 30と2の3乗を求めているときの動画を見ていただければ分かる。


 sin30の結果は、「0.5」ではなく「5.0000002 -01」なのだ。指数部の「-01」は良いのだが、仮数部が「0.0000002」多い。こんな仕様があってよいものなのか? 私の不勉強で、これは何か意味のあることなのかどうか凄すぎて見当もつかない。そういえば、シャープとカシオで関数の誤差の処理が違っていたのを思い出した(詳しくは別途)。ついでに、MK-52にも「X^Y」というキーがあるのを思い出して、12SRで約3秒かかってしまった2の3乗の計算をやってみた。さて、結果は……なんと「2×2×2=8」ではなく、「7.9999993」と出た! 何かの勘違いであれば、ご存じの方は是非ともお教えいただきたい。しかし、この電卓の計算結果に、私は、ロシアンジョークに触れたときのような底知れぬモノと共通するものを感じてしまうのである。

 たとえば、『21世紀版 マーフィーの法則』の「はじめに」で引用させていただいた『生命の不思議、宇宙の謎』(ウィリアム・H・ショア編著、竹内郁雄訳)に出てくるロシアの諺である。それは、「ライフルは弾が入っていなくても10年に1回は人を撃つことがあり、熊手ですら100年に1回は人を撃つことがある」というものだ。この宇宙観というのは、ある種、いまも世界中の兵士が最も欲しがる自動小銃が「AK-47」だという話と関連しているのではないか。AK-47は、シンプルに合理的に作られているために悪条件下でも安心して使えるのだという。MK-52も、シンプルに合理的に作られているのだろう。ややこしい回路になるくらいなら結果の見栄えなど気にしない。2を3乗しているうちに「0.0000007」がどこかに消えてしまったことなんか工学的な計算の中ではまったく無視すべき出来事だというのもたしかだ。

引越し記念! よりぬき東京カレー日記(13) カラシニコフ「AK-47」が最強の自動小銃である理由

【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
アスキー総合研究所所長。同研究所の「メディア&コンテンツサーベイ」の2012年版の販売を開始。その調査結果をもとに書いた「戦後最大のメディアの椅子取りゲームが始まっている」が業界で話題になっている。2012年4月よりTOKYO MXの「チェックタイム」(朝7:00~8:00)で「東京ITニュース」のコメンテータをつとめている。
■関連サイト
・Twitter:@hortense667
・Facebook:遠藤諭

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります