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パール・ハーバーを舞台に日米がタッグを組んでエイリアンと戦う『バトルシップ』ピーター・バーグ監督インタビュー

2012年04月11日 23時00分更新

ハワイ沖を舞台にして、謎のエイリアン船団に米海軍の新米将校と日本の自衛官がタッグを組んで立ち向かう。SFアクション大作『バトルシップ』のピーター・バーグ監督にインタビュー。

バトルシップ

ピーター・バーグ
『バトルシップ』監督・製作

PROFILE
1964年、アメリカ・ニューヨーク州生まれ。’88年『ミラクル・マイル』で俳優として映画デビュー。’95年、テレビドラマ『シカゴホープ』のビリー・クロンク医師役でレギュラーとなり、脚本や演出も手がける。映画監督デビューは’98年、『ベリー・バッド・ウェディング』。そのほかの監督作に『プライド 栄光への絆』(’04)、『キングダム/見えざる敵』(’07)、『ハンコック』(’08)ほか。

バトルシップ
↑横須賀基地 原子力航空母艦ジョージワシントンで行なわれた『バトルシップ』記者会見。左よりブルックリン・デッカー、アレクサンダー・スカルスガルド、テイラー・キッチュ、浅野忠信、リアーナ、ピーター・バーグ監督。

週アス:日米がタッグを組んでエイリアンと戦うというユニークな設定の作品ですが、どのような話をつくるところから出発したんですか?

バーグ監督:私自身がもともと海軍のことを撮りたいと思っていました。私の父が海軍の歴史研究家で、本当にすごく海軍を愛していたので、私もその影響で小さいころから海軍の歴史を身近に学びました。子どものころは意識していなかったけれど、私自身、洋上で育ったと言ってもいいかもしれません。だから、海の上で海軍を見せられる映画を撮りたいという思いがありました。

週アス:お父様が海軍の歴史家ということですが、具体的には、どういうことを研究されていたんですか?

バーグ監督:アマチュアの歴史家で、父には小さいころから、アメリカ海軍の博物館はもちろんイギリス海軍の博物館にも連れて行かれました。子どものころは、あまりにも父にあちこち連れて行かれるので自分自身はイヤでした。でも大人になったとき、気がついたら、海や海軍のことが好きで。自分が思っていた以上に、父によって植え付けられたんだなと思いました。

バトルシップ

週アス:この作品は有名なボードゲームがベースになっているそうですね。

バーグ監督:ええ、そうです。ボードゲームの『バトルシップ』はとてもシンプルで人気があり、私も父とよくやりました。今は息子と遊んでいます。映画の中に、どうすればうまく取り入れられるかと考えました。

週アス:ボードゲームを映画の中でいちばん反映させているのは、浅野忠信が演じる日本の自衛官ナガタが、どう動くかまったく読めないエイリアンの母船の位置を予測して戦うシーンですよね。

バーグ監督:そうです。ボードゲームの『バトルシップ』は、2人で対戦して遊びます。それぞれマス目の書かれたボードを持ち、相手の艦船がマス目のどこに来るのかを予想して、攻撃します。交互に攻撃して、自分の艦船を全部、撃墜されたら終わりです。映画では、ちょうどナガタがスクリーンにエイリアンの母船の位置を映し出して、次に「ここに来る」と予測しています。
また、エイリアンが海軍の駆逐艦に打ち込む強力な破壊兵器があるんですが、その形状はゲームボードで使うピンをヒントにして考えたものです。

バトルシップ

週アス:そう言われてピンのように突き刺す感じが納得できました。ナガタがエイリアンとの反撃に、“孫子の兵法”を持ちだしますが、あれはやはり監督のお父様からの影響なんですか?

バーグ監督:父から教わったことですね。父には何度も『孫子』を読めと言われてきましたが、正直、難しい。今回、来日のときにも飛行機の中で読んでいたんですが、難しくて(笑)。兵法の中にはおもしろいものがあって、たとえば、「決して敵が戦いたいと思っているとき、あるいは思っている場所では戦うな。自分たちが戦いたい、戦えると思ってる場所で戦え」とか、確かに一理あるなと思うことがいろいろありますよ。

バトルシップ

週アス:監督のまわりには、お父様をはじめとして海軍に詳しい方や、知り合いに海軍関係者もいると伺いましたが、とくに、年配の退役軍人の方たちは真珠湾を舞台にして日米が協力し合うということに関して、抵抗はなかったんでしょうか?

バーグ監督:実は、私の友人たちはまだこの映画を見ていません。ただ、戦艦ミズーリの関係者に見てもらったのですが、彼らは涙して見ていました。私自身は、退役軍人の方にとても尊敬の念を持っています。たぶん、アメリカに限らず、日本のティーンエージャーも退役軍人の存在や、彼らが命を犠牲にしてまで、国を守ったということをちゃんとわかっていないと思うんです。だから、私は映画の中で、彼らをきちんと描きたかったのです。

週アス:では、「リメンバー・パール・ハーバー」という言葉と共に育った世代の退役軍人の方も、日米で手をつなぐことにはこだわりはなかったということですか。

バーグ監督:そうです。僕等はもうフレンズだと思います。今、真珠湾に行けば、日本の自衛艦の横に、アメリカの艦船が並んでいたりしてとても友好関係にあります。それは素晴らしいことです。確かに、かつて両国は戦いました。でも、お互い赦す気持ちを持って、今は日米が連合しています。東日本大震災が起きて、津波が日本を襲ったときは、本当に米海軍は助けたいという想いで援助に向かったということも聞いています。だから、今はもう赦す、先に進むという関係になっていると思います。

週アス:監督がいちばん思い入れのあるシーンはどこですか?

バーグ監督:やっぱり、戦艦ミズーリのシーンでしょうかね。そのシーンは私の父にも捧げたいと思ってます。父は今85歳で、私にとってはいちばん厳しい批評家なんです。ちょっと誉めて、あとはダメ出しするというのがいつものことで(笑)。今回は何と言うでしょうかね。

バトルシップ

『バトルシップ』
公式サイト
●4月13日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国公開
●配給:東宝東和
(C)2012 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

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