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『ぷよぷよ』誕生秘話に大興奮 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

2012年03月29日 17時30分更新

ぷよぷよを生んだ伝説のゲーム会社がここに復活 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

 3月17日、新宿のネイキッドロフトにて、落ちゲー『ぷよぷよ』シリーズをはじめて世に送り出した伝説のゲーム会社『コンパイル』の元社長 仁井谷氏をはじめ元社員たちが集結し、当時を振り返るトークイベント『コンパイルナイト』が開催された。

 『コンパイル』はMSXの時代からシューティングゲーム『ザナック』や『アレスタ』、『魔導物語』、『ぷよぷよ』などヒット作を大量に送り出していたが、1997年のぷよぷよブームの絶頂を機に敷いた拡大路線が仇となり、1998年には手形が処理できず和議申請を申し立てた。その後の再建がうまくいかず、結果、ファンに惜しまれつつも解散となった。あの衝撃の和議申請から14年経った今、『ぷよぷよ』の誕生秘話や当時のユニークな社内制度などが語られた。

 イベントの参加人数は71名。意外にも女性客が20名前後と多く、全体では20代後半の参加者が多く見受けられた。当日券はごく少数で予約ぶんは完売したという。また、予約希望でお断りしたお客さんだけでも90件ほどの問い合わせがあったとのこと。

 イベントでは、以下のメンバーがパネラーとして参加。

ぷよぷよを生んだ伝説のゲーム会社がここに復活 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

 写真は左から、元営業本部CSA課のUMA☆ゆんま氏、元広報・主任補佐のキドぴゅ~氏、元代表取締役社長のMoo仁井谷氏、元主任・販促などを担当した北出マン氏、元CVアルル役の声優 小沢ミナコさん。なお、元広報担当の佐藤両々氏も参加されたが、顔出しNGとのこと。また、シークレットゲストでラジオコンパイルのパーソナリティーだった声優のやなせなつみさんも参加。

 なお、このイベントに続き、当時のゲーム開発陣が徹夜でトークした『裏コンパイルナイト』も開催されたが、本イベントの様子については本記事の続編としてレポートする予定だ。

ぷよぷよを生んだ伝説のゲーム会社がここに復活 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート
↑当日特別提供された『カーくんカレー』。カレーの上に同社のRPG『魔導物語』のマスコットキャラ『カーバンクル』をかたどったチーズが乗っている。崩して食べるのが少しもったいない!?

『ぷよぷよ』には原型となるゲームが存在した

 1991年の誕生からいまだに人気を誇る『ぷよぷよ』だが、実は原型になるゲームが存在したと仁井谷氏は語った。当時テトリスのようなヒットを出したいという熱い野望から落ちものゲーム制作に進出。ミニゲームソフトが一緒になったパソコン雑誌『DiscStation』に収録された読者投稿のゲームをヒントに開発をしていた『どーみのす』が原型だという。

 この『どーみのす』はドミノの牌を組み合わせて消していく落ちゲーだった。仁井谷氏によると「ただ並んで消えるだけではおもしろみがない」ということで、『魔導物語』に登場したキャラクターを使い、まったく別のゲームとして『ぷよぷよ』が誕生したとのこと。

ぷよぷよの爆発的人気とCSAの誕生エピソード

ぷよぷよを生んだ伝説のゲーム会社がここに復活 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

 ビデオコンパイルコーナーではイベント映像やCMを見ながら当時を振り返った。1994年のおもちゃショーにて行なった2回目となるぷよぷよイベントでは、予想を上回るお客さんが来場。5メートル×5メートルのブースに約1000人も集まり、あまりの人気ぶりに隣のブースからクレームをもらうほどだったという。社員だけでは対応しきれず半パニック状態に。そこで、自社オリジナルのTシャツをプレゼントするかわりに「犬のように働いてくれる人を募集しています」と張り紙を出して無償でのお手伝いさんを募ったのが、ユーザーによるサポート組織『CSA(コンパイルサポートアソシエイション)』の始まりだったそうだ。(なお、このユニークな募集方法に関して、後日UMA☆ゆんま氏から詳細をうかがったところ、1994年のおもちゃショーでは、「ポスターの裏側に募集の告知をイラストとともに書き、それをのぼりにして触れ回っていた」という証言を得た。)

 さらに、有明コロシアムで行なわれた『第1回全日本ぷよマスターズ大会』では1万人以上が参加。参加者の送迎用に東京駅から6台のバスをチャーターしたものの、キャパシティーオーバーで運びきれない参加者が出た。あまりの行列の長さに東京駅からもお叱りを受けてしまったそうだ。

 UMA☆ゆんま氏によると、当時の混雑は今のコミケよりもひどかったという。翌年1996年の幕張メッセで開かれた『第2回全日本ぷよマスターズ大会』では前年を上回る1万8000人が参加。3歳からお年寄りまで、老若男女を問わずぷよぷよを遊んでいた時代だった。

 また、広島の銘菓『もみじ饅頭』をヒントに生まれた『ぷよまん』はこのイベントで9000箱も用意していたが、午前中に完売するほど爆発的な人気ぶりだったという。「当時はイベントに入場者数上限を設けていないため、会場に来る人が1000人なのか100万人くるかもわからなかった。」と北出マン氏も当時を振り返っていた。

入社試験の面接方法はカラオケだった!?

ぷよぷよを生んだ伝説のゲーム会社がここに復活 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

 当時の風変わりな社内制度も紹介された。なんとコンパイルではカラオケによる入社試験を行なっていた時期があるそうだ。

 仁井谷氏は「カラオケできちんと歌える人は人の話をきちんと聞く力がある。リズムや音程も人を見るのに大事。また場所やリスナーの人たち、時代の流行を考えて何の曲を選択するかでその人のマーケティング力と価値基準がわかる。」と語った。

 そのせいか、カラオケ好きな社員ばかりで当時は毎週のごとくカラオケに行くほどだったとか。ユニークな選考方法ではあるが、確かに筋が通っている部分もある。このユニークさがヒット作を生み出す社員を集める要因だったのではないだろうか。

コンパイルはビジネスソフトもつくっていた!?

ぷよぷよを生んだ伝説のゲーム会社がここに復活 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

 会場では参加者からのサプライズも。あまり知られていないが、1998年にはビジネスソフトの開発に参入。グルーウェア『パワーアクティ』を発売した。この未開封パッケージを参加者が持参。仁井谷氏は久しぶりの再会に苦笑いながら2ショット。ほかにもファンたちが持参したグッズが続々と登場し、会場はさらに盛り上がりを見せた。

仁井谷氏は次なるゲームを制作中

 仁井谷氏は、自身の現在の職業については「引きこもり」とイベントの当初は語っていたが、イベントが進むにつれて、実は次世代の落ちゲー開発をしていると語り出した。「詳細はまだ秘密」と前置きをしつつも「ビルゲイツからクリスマスカードが届く人」にお世話になっており、現在は自宅でひとりでプログラミングからデバッグまで行なっているという。いつの日か仁井谷氏の新たなゲームがブームになる日が来るかも知れない。

アルルの生ボイスを小沢ミナコさんが披露

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 『第2回ぷよマスターズ大会』の声優オーディションにて、見事アルル役に輝いた小沢ミナコさん。セガサターン版の『ぷよぷよ通』やプレイステーション/セガサターン版『ぷよぷよSUN』で、主人公アルルの声を担当していた。会場で当時のコンパイルの通販『ももも通販』のCM映像が流れると、「生で台詞が聞きたい!」と会場はヒートアップ。やや照れた様子で「いってらっしゃい」とアルルボイスを披露。元気でかわいい声は健在だった。

イベント限定復活『の~みそこねこねラジオコンパイル』

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 北出マン氏と小沢ミナコさん、やなせなつみさんを交えて、ラジオ日本で1998年まで深夜帯に放送されていた、ラジオ番組『の~みそこねこねラジオコンパイル』も行なわれた。イベント開催前に集めたアンケートにより質問コーナーからスタート。

 「お腹のぷよを消したいのですが、4人が集まっても消えません。どうしたらいいですか?」という質問に対し「4人集まっても消えないですから、肌と肌をこすり合わせて塩をまぶしてやらないとダメですね。」と北出マン流のおもしろ回答で会場は大爆笑。

 “私の詩集”コーナーでは、コンパイルへの熱い想いを、やなせなつみさんのスイートボイスで朗読し、会場はうっとり。そして、ラストのクイズに答えて景品が当たるコーナーで用意されたプレゼントは……

ぷよぷよを生んだ伝説のゲーム会社がここに復活 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

 なんとぷよぷよのキャラクターデザインを担当したイラストレーター 壱氏による特別書き下ろし色紙6枚! 絵柄はアルルやシェゾなど、ぷよぷよシリーズのメインキャラクターだ。色紙を巡り白熱のクイズバトルが繰り広げられた。

ぷよぷよを生んだ伝説のゲーム会社がここに復活 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

 イベントの最後には、コアなファンにとっては思い出深い田中勝己氏の曲「ずっと/そばに/いるよ」を全員で合唱し、「の~みそコネコネコンパイル!」のかけ声三本締めで表イベント「魔導同窓会!コンパイルナイト!!」が終了した。この日限定でコンパイル会報誌として知られる「コンパイルクラブ」も復活。特別号として全員に配布され、参加者は全員が笑顔で幕を閉じた。

※3月29日19時3分追記:記事の初出時、人名に誤記がありました。お詫びして訂正させていただきます。)
(※
3月29日22時41分追記:記事中に誤字がありました。お詫びして訂正させていただきます。
(※3月30日15時15分追記:どーみのすの出自を追記しました。)
 

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