CES2012におけるWindows Phone関連展示の主役はノキアだった。しかし、それ以外にも日本ではなかなかお目にかかれない海外向けのWindows Phone端末が多数展示されていた。
■海外のWindows Phone事情
日本では富士通東芝モバイルコミュニケーションズの『IS12T』だけが発売されているWindows Phone端末。しかし海外では実に20を超える端末が存在する。
↑QualcommブースにあったWindows Phone端末のカタログ。これ以外にも多数の機種が存在する。 |
大きく分けると、2010年秋にWindows Phone 7と同時に出た端末が第1世代、2011年秋のWindows Phone 7.5以降に出た端末が第2世代となる。第2世代として最初の端末がIS12Tで、これは世界初として大きく話題になった。逆に最新の第2世代端末はノキアの『Lumia 900』だ。
Windows PhoneのハードウェアはChassisという共通仕様に準拠するため、似通ったスペックになりがちではある。しかし中にはハードウェアキーボードやフロントカメラを備える端末も存在する。さらに数字に現われない端末の質感や手触りを含めると、海外では選択肢が大きく広がりつつあるといえる。
ここからは、CESで見かけたWindows Phone端末を一気に紹介しよう。
■Samsungの『Focus S』と『Focus Flash』
SamsungのAT&T向けWindows Phone端末が『Focus』シリーズだ。初代の『Samsung Focus』はWindows Phone 7のローンチ時に広告やCMでフィーチャーされ、アメリカで最も売れたWindows Phone 7端末と言われる。その後継となる第2世代端末が『Focus S』と『Focus Flash』だ。
Focus Sは4.3インチのSuper AMOLEDディスプレーが特徴のハイエンドモデル。8メガピクセルのカメラと1.3メガピクセルのフロントカメラを搭載する。にも関わらず111グラムと軽量な点も評価が高い。現時点ではAT&T専用モデルとなっている。
一方、Focus Flashの画面はIS12Tと同じ3.7インチ。ミドルレンジモデルという位置付けだが、1.4GHzのプロセッサーやSuper AMOLEDを採用し、Focus Sに引けをとらない仕上がりだ。カメラは5メガピクセルのメインカメラとVGAクラスのフロントカメラを搭載。ストレージは8GBとなっている。こちらも116グラムと軽量だ。なお、ヨーロッパやアジアでは『OMNIA W』という名前で販売されている。
↑SamsungのフラグシップモデルFocus S。Super AMOLEDの鮮やかな画面が特徴。 |
↑Focus Flashは小さな手でも持ちやすい3.7インチ。価格もお手ごろ。 |
■HTCの『TITAN』と『Radar』
HTCは、第1世代のころから多数のWindows Phone端末を投入してきた。特に4.3インチの大画面が特徴の『HD7』は世界的にヒットし、Samsung Focusと並んで最も売れたWindows Phone 7端末となった。
第2世代端末『TITAN』は、4.7インチというWindows Phone端末として最大の画面が特徴。HD7の進化形といっても良いだろう。プロセッサーも最高の1.5GHzを搭載する。ストレージは16GB、8メガピクセルのメインカメラと1.3メガピクセルのフロントカメラを備える。当初はヨーロッパやアジア向けに販売されていたが、AT&Tからも『TITAN 4G』として発売された。さらにCESではLTE対応版『TITAN II』も発表されたが、CES会場内での展示はなかった。
ミドルレンジモデル『Radar』は3.8インチの画面を採用し、ホワイトとブラックの2色が用意されている。初めてWindows Phoneとしてホワイトを採用したモデルでもある。プロセッサーは1GHz、ストレージは8GB、5メガピクセルのメインカメラとVGAクラスのフロントカメラを備える。TITANに比べると手ごろな価格で購入できる。こちらもヨーロッパやアジア向けが先行したものの、アメリカでもT-Mobileから発売された。
↑HTCのフラッグシップモデルTITAN。4.7インチの画面が大迫力だ。 |
↑ホワイトとシルバーの配色がおしゃれなRadar。 |
■LGの『E906』
LGも第1世代から端末をリリースしているメーカーだ。CESではLGのブースに展示はなかったものの、マイクロソフトのブースに『E906』を発見した。
E906の特徴は、あの『ジル・サンダー』がデザインを手がけたという点。ファッションブランドを冠する初めてのWindows Phone端末なのだ。スペック的には第1世代の端末『Optimus 7』を踏襲する後継モデルだが、ブルーを基調とした高品質なデザインやジル・サンダー独自のアプリにより、一線を画する存在感を放っている。
ほかにもLGはWindows Phone 7.5世代の端末を開発中とウワサされており、今後に期待できるメーカーのひとつだ。
↑ジル・サンダーロゴを冠する異色のWindows Phone端末。 |
■Dellの『Venue Pro』
Dellからリリースされた唯一のWindows Phone端末が『Venue Pro』だ。第1世代の端末だが、縦方向にスライドするハードウェアキーボードを備えるのが特徴。実際にDell社内ではBlackBerryをリプレースして活用されているという。
画面には4.1インチのAMOLEDディスプレーを採用、1GHzのプロセッサーと5メガピクセルのカメラを備える。さらにストレージのオプションとして、32GBという選択肢が存在する。また、展示機のOSはWindows Phone 7.5(ビルド7720)にアップデート済みとなっていた。
Dellはまだ第2世代の端末を発表しておらず、一時は撤退のウワサも流れたが、こうしてWindows PhoneファミリーとしてCESに登場したことで、今後の展開に期待できるかもしれない。
↑唯一の縦方向スライド端末。後継モデルはまだ? |
■Acerの『Allegro』
Acerは主にパソコンや周辺機器で知られる台湾メーカーだが、Windows Phone 7.5に合わせて参入を表明した。そのAcer初となるWindows Phone端末が『Allegro』だ。
AllegroはM310という型番でも知られている。画面サイズは3.6インチとやや小さめで、1GHzのプロセッサーと8GBのストレージを備える。カメラは5メガピクセルとなっている。価格重視のミドルレンジモデルのためスペックは平均的だが、ブラックのほかにホワイトモデルも存在する。ホワイトモデルを正面から見るとブラックだが、背面から側面にかけてホワイトがあしらわれるという独特なカラーリングになっている。すでにヨーロッパ地域で販売されている。
↑Acer初のWindows Phone端末Allegro。外装はつやつやしている。 |
■ZTEの『Tania』
中国の通信機器メーカーとして知られるZTEも、Windows Phone 7.5で参入したメーカーのひとつ。その最初のWindows Phone端末が『Tania』だ。
Taniaは4.3インチという比較的大型の画面を採用し、1GHzのプロセッサーと512MBのメモリー、5メガピクセルのカメラを搭載する。カラーはブラックとホワイトの2色。端末全体が白いホワイトモデルは、Windows Phone端末としては珍しい。フランスのSFRから発売されているが、こちらはZTEのロゴがないタイプとなっている。
ところで、Taniaのストレージは4GBしか実装されていない。現在公式に発表されているChassis仕様の下限は8GBだが、マイクロソフトとの交渉次第で実現可能ということなのだろう。ユーザーが使用できる空き容量は2.5GB程度しかなく、使い方にも大きな影響を与えると思われる。あるいは、今後増加するといわれるローエンド仕様Windows Phoneの先駆けとなるかもしれない。
↑ZTE初のWindows Phone端末Tania。ストレージが4GBとはいったい? |
■富士通の『IS12T』
最後は、すでに日本でおなじみとなっている『IS12T』だ。CESでは富士通ブース内に展示されていた。
Windows Phone端末として唯一の防水・防塵機能があり、ストレージは最大となる32GBを搭載、3色のカラーバリエーションがあるなど、数あるWindows Phone端末の中でもユニークな仕様が満載となっている。
これまでは国内のみで展開されており、海外での知名度は高くなかった。しかし今回のCESへの展示をきっかけに、海外の有名ニュースサイトでは次々と高評価を得ている。海外キャリアへの展開が楽しみな端末だ。
↑おなじみIS12Tシトラス。海外展開なるか? |
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