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【パソコン甲子園2011】日本全国から集った電脳高校生が会津の地で火花を散らした2日間

2011年11月08日 10時00分更新

 バットとボールの代わりに、パソコンを使ってその技術を競い合う──。11月5日、6日、福島県会津若松にある会津大学にて、“第9回全国高等学校パソコンコンクール”、通称“パソコン甲子園2011”が開催された。

パソコン甲子園2011

↑大会のマスコットは、会津若松の民芸玩具“赤べこ”がモチーフ。

 2003年にスタートし、今年で9回目を数えるイベントで、年々注目を集めて今年は551チーム、1694名と過去最高の参加者数を記録するほどの応募を集めた。部門は以下の4つで、このうちモバイル部門は今年からの新設だ。プログラミングとデジタルコンテンツの両部門では、グランプリに奨学金として30万円などが進呈される。

・プログラミング部門……提示された問題を解くプログラムをつくる
・デジタルコンテンツ部門…‥テーマに基づきウェブブラウザーで閲覧できる作品をつくってプレゼンする
・モバイル部門……テーマにそったAndroidで動くアプリを作成してプレゼンする
・いちまいの絵 CG部門……テーマに沿ったCGイラストを提出

 野球の甲子園に比べるとまだまだ知られてない感じで、パソコンというイメージから静かなコンテストを想像しがちですが、現場に来てみるとかなりアツい!  どんな激闘が繰り広げられたのか、部門別に早速レポートしていきます!!

パソコン甲子園2011

↑審査員は左よりITジャーナリストの林信行さん、グレープシティ アドバイザリースタッフの矢沢久雄さん、デジタルクリエイターの高木敏光さん、アーティストの檜山巽さん、アスキー総合研究所所長の遠藤諭。このほか、早稲田大学理工学術院教授の筧捷彦さんがプログラミング部門の審査に関わってる。

■プログラミング部門

 最も出場者が多く、メインの競技になるのがこの部門。今年は39都道府県から518チーム、1036名の応募があって9月3日に予選を実施。その競技を勝ち抜いた24チーム、48名が本戦に臨んだ。

 内容としては、難易度の異なる10の問題に対して、その解答となるプログラムをつくるというもの。問題によって得点が4~16と異なり、制限時間の4時間で、いちばんポイントを獲得したチームがグランプリに輝く。単純なプログラミング能力に加えて、どのレベルの内容から解いていくか、2人でどう役割分担するのか、4時間の長丁場をどう持ちこたえるかなどがカギとなる。

パソコン甲子園2011

↑プログラミング部門は会津大学の講堂で実施。野球の甲子園と異なり声援はいっさい飛ばず、4時間ずっと静まり返っていたが、その水面下でアツい戦いが繰り広げられていた。

パソコン甲子園2011
パソコン甲子園2011

↑問題に正解すると、そのチームの脇に得点に応じた風船が置かれる。先に正解されると、周囲のチームはプレッシャーに感じるだろう。

パソコン甲子園2011
パソコン甲子園2011

↑暫定1位のチームには大きな風船が置かれる。終了30分前に風船の更新が止まるので、最終的に誰がグランプリに輝いたかは表彰式を待たないとわからない仕組みだ。

パソコン甲子園2011

↑グランプリは開成高等学校のチーム名“queue無い”で、得点は72点。賞金30万円と、副賞の米30kgやデジカメなどが進呈された。

パソコン甲子園2011

↑準グランプリもなんと同じ開成高等学校のチーム名“stack+=30;”で、得点は60点。

 開成高等学校は、実は昨年のプログラミング部門でもW受賞で、しかも今回グランプリのチームが昨年の準グランプリ、今回準グランプリのチームが昨年のグランプリと同じメンバーだ。4人に感想を聞いてみたところ「途中で回答が覆ったのが衝撃的でした。あのデバッグ時間で30分くらい使ったので……」とのこと。今回、誤りとされていた回答が終了前30分くらいに正解になるという審査の手違いがあったのが、参加者にとっては辛かったようだ。一方で、「9番など、中には考えさせる解いていて楽しいタイプの問題もあった」と、コンテスト自体を楽しんでいた声もあった。

■デジタルコンテンツ部門

 デジタルコンテンツ部門は、“宇宙人との遭遇”というテーマにそったウェブブラウザーで見られる作品をつくり、会場でプレゼンテーションするという内容だ。この部門は年々、作品のクオリティーが非常に高くなっており、今年も2D/3Dのアニメーション、BGM、効果音、ナレーションなど随所にこだわりが見られた。ストーリーも高校生ならではの視点で、ピュアな青臭さも感じられるが、逆にそれが「俺って心がけがれちゃったよなー」と思ってみたり……。

パソコン甲子園2011

↑プレゼンテーションでは、兵士姿で審査員に迫る寸劇を見せるチームも。作品だけでなく紹介も凝っていて、会場で見ていて非常に楽しかった。

パソコン甲子園2011
パソコン甲子園2011

↑グランプリは、広島県立福山工業高等学校のチーム名“WM”がつくった、『人騒がせなやつ(宇宙人)』。毛むくじゃらの宇宙人が部屋にやってきて、おもちゃに光線銃を当てて動かして騒ぎを起こすという内容。授賞式では「未だに信じられない感じ。うれしいです」と喜びを語っていた。

パソコン甲子園2011
パソコン甲子園2011

↑準グランプリは沖縄工業高等専門学校の“ひだまりくらぶ”で、作品名は“○*∩”(ハローと読むそうだ)。コンセプトは「一歩踏み出す勇気」でひとりぼっちどうしが遭遇して友達になる過程を描いている。絵本のような柔らかいタッチでレンダリングされた3GCGがお見事。プレゼン後、「スキルアップしていきたいので」と審査員に積極的にアドバイスをもらっていたのも印象的だ。

■モバイル部門

 2011年から新設された部門。Androidアプリを作成し、プレゼンテーションするプログラミングとデジタルコンテンツの両方が合わさったような内容だ。今回は公開競技として、事務局が招待した6チームが参加し、「宇宙で役に立つアプリケーション」というテーマに合わせたアプリを紹介していた。ARを活用したり、ハードウェアをからめたりと、その発想力は大人も顔負け!?

パソコン甲子園2011

↑モバイル部門でもプレゼンが必須。どの出場者も緊張しつつも、劇としてアプリの使い方を紹介したり、フリートークをかましたりと、精一杯がんばっていた。

パソコン甲子園2011
パソコン甲子園2011

↑グランプリは、長野県松本工業高等学校の“KTN3”で、アプリ名は“2045年宇宙への旅”。軌道エレベーターのナビシステムの“ElevetorView”と、星や惑星などを認識して情報を付加する“ARView”の機能を備える。授賞式のインタビューでは、「みなさんプレゼンがうまくて緊張しました」と語っていた。

パソコン甲子園2011
パソコン甲子園2011

↑準グランプリは、久留米工業高等専門学校の“くるメン!”で、アプリ名は“モノコントローラー”。Androidから専用のハードにBluetoothで指示して、無重力空間に置かれたモノを前後左右に動かせる。当日、Bluetoothモジュールが焼けてしまうというトラブルに遭ったにも関わらず、根性でUSB接続に仕様を変更して出場したというのも素晴らしい。

■いちまいの絵 CG部門

 「宇宙旅行」をテーマにしたCG作品を投稿してもらい、それを審査する。こちらはすでに優秀賞と佳作が決まっており、会場では作品が展示されていた。

パソコン甲子園2011
パソコン甲子園2011

↑入選作品が講堂の入り口にはられていた。

 というわけで駆け足で2日間のイベントを見てきた。筆者的には競技だけでなく、ふだんは離れた土地にいる高校生どうしが仲良くしている姿も見ていてほほえましかった。最初はもじもじした感じが、競技や懇親会を経て声をかけて、話をするようになる過程が、なんだか「やっぱ青春だよなー!!!」と感じさせた。

 今年のイベントはUSTREAMで生中継しており、そのログが残っているので興味のある人は要チェック。そしてアナタ(のお子さん)が高校生なら、ぜひパソコン部などに入部して、来年は参加してみよう!

●関連サイト
パソコン甲子園
USTREAM

(2011年11月12日2:50追記:初出時、デジタルコンテンツ部門のチーム“WM”の作品に関する画像と説明に一部誤りがありました。関係者ならびに読者のみなさまにお詫びして訂正いたします。記事は修正済みです。)

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