週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

もし、あなたがau、ソフトバンク、ドコモだったら?

2011年10月18日 21時49分更新

 auとソフトバンクがiPhone 4/4Sを売るのに対し、回線品質、契約数、音声やデータ通信で売り上げトップのNTTドコモは、どういうバランス構造で挑むのだろうか? 2011年10月18日に行なわれたNTTドコモの発表会でも、iPhoneの影響について聞かれた山田隆持社長は、「10月の動きを慎重に見たい」と発言した。

 社団法人電気通信事業者協会(TCA)の2011年9月末のデータを見ると、日本の携帯電話の全契約数は、1億2244万9400件となっている。問題は、事業者別の内訳で、NTTドコモが48%のシェアに対し、iPhone勢という見方をすると、auとソフトバンクの合計は49%と超えてしまうのだ。

 auの価格発表を見ると、やはり“iPhone重視”という内容である(“au×iPhone 5で生ずる5つの可能性”で書いたとおりだ)。携帯電話の世界に、iPhoneという異文化的デバイスが投げ込まれて、そこにAndroidが登場してモバイルの地軸がブレまくっている。私が、当事者だったらこの局面でどうするだろう?

iPhoneを手にしたソフトバンク・auと手にしなかったドコモの今後の戦略

ソフトバンク
 いままで独占してきたiPhoneの客を半分auに持っていかれる可能性がある。私なら、そのぶん“iPhoneの広告”をやめて収益を補填してみる。いま張り切って売り込み中のauが、iPhoneのよさはアピールしてくれる。「auか、ソフトバンクか?」は中学生でも話題にしているような話だ。ソフトバンクは、すでに先の手を考えているとは思うが。

iPhoneを手にしたソフトバンク・auと手にしなかったドコモの今後の戦略

au by KDDI
 iPhoneの広告はソフトバンクにまかせて、Androidを徹底的に低価格かつお得なプランで売りまくる。つまり、いまauがやっているのとは真逆な作戦だ。iPhoneはどうせほおっておいても買う人は買う(ソフトバンク以外を待っていた人も多い)。Androidしかないドコモから客を奪って純増数を伸ばす。

iPhoneを手にしたソフトバンク・auと手にしなかったドコモの今後の戦略

NTTドコモ
 モバイルの世界の生態系が大きく変化するのなら、アップル的存在になってしまうのが、唯一の勝利への道だと考える。キャリアは、本来、普通の企業が逆立ちしてもなかなかなれないプラットフォーマーのはずなのだ。音声を中心に利益も出ているドコモならではのチカラ相撲というものだろう。

 上記、auとソフトバンクについては、そうもいかない事情もあるかもしれない。冗談のような話に聞こえると思うが、iPhoneを売るというのはイメージと価格がすべてということだ。それに対して、NTTドコモだけは、「おっ、やはりそうなのね」というのが今回の発表という印象だと思う。

 今回の発表、端末、ネットワーク、サービスの3点に分けると、私は、サービスの部分こそ注目すべきだと思う。iモードを移築した“dmenu”と、ドコモマーケットを発展させた“dmarket”、iコンシェルの対応などだ。これから端末はどれも同じようなものになっていくとすると、ケータイとはその次のサービスレイヤーを意味することになる可能性があることを示唆している。

iPhoneを手にしたソフトバンク・auと手にしなかったドコモの今後の戦略

 とくに、dmarketは、Androidアプリ、Books(電子書籍)やVideos(映像)も配信する。発表会では、集英社のコミックスが入ることを強調していたが、実に、角川書店、講談社など大手出版社がコンテンツ提供することが紹介された。iPhoneそのものになれないが、iTunesストアならなれるという発想だろう。

 今回のドコモの発表は“コモディティとしてのスマートフォン”の進化に正面から取り組んだものといえる。「ガラスマ」(ガラパゴス・スマートフォン)という指摘もされそうではある。しかし、アスキー総研の調査でもスマートフォン利用者の22%がワンセグを使っており、15%がおサイフケータイを使っているのだ。

 イノベーションしなくなったときは、ガラパゴスもグローバルもなくなるということだ。「ガラパゴス」(Galapagos)という正式な名前を持った島も、諸島も存在しないのをご存じだろうか?

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります