こんにちは、みなさん。フリーランスジャーナリストの本田雅一です。悩んでおります。
実は本日、久々に携帯電話端末の発表会に向かったのであります。
なぜかって?
それは実に個人的な理由なのであります。今やワタクシのパソコンライフに必須の存在となっているWiMAX。そのWiMAXを搭載するスマートフォンが大量に展示されるとの噂……ではなく、リーク情報がすでに出てしまっていたからです。
次期iPhoneよりもなによりも、ワタクシにとって今、もっとも重要なことは、iPhoneからWiMAX搭載機に乗り換えることなのであります。
と、なぜそんなにWiMAX搭載スマホにこだわるのか? iPhoneからメインのスマホを乗り換えよう、なんて他人とは逆方向に行くぞと決意したのかは、ここでは触れないけれど、発表会前に触り倒しておいたのです。そう、WiMAX搭載の新型機を。
お借りしていたのは、すでに海外では発売されていた『HTC EVO 3D』と『Motorola PHOTON 4G』。残念ながら国産のWiMAXスマホ2機種は、まだ開発も途上とのことで使い倒すわけにはいかなかったのだけど。この2機種がまた、機種選びをする上でとっても重要なノウハウを教えてくれました。
ということで、まどろっこしいので普通の文体に戻して……と、まずは事前に使い倒した2機種を「絶対、自分で買っちまうぞ」という、かなり真剣な、しかし個人的目線で、インプレッションをお届けすることにしたい。
Motorola PHOTON 4G |
・ここがイイ!
ソーシャルネットワークを含む自分宛ての連絡が一覧できる“MOTOBLUR”というウィジェットが秀逸。フェイスブックやツイッターで届くメッセージやコメントに一発でアクセスできる。このウィジェットは差分だけをダウンロード、表示するので、過去のメッセージを含めた全メッセージが見えすぎてしまう、なんて面倒くさいことがないのがイイところ。
もうひとつは液晶。QFHD、すなわちフルHDの縦横半分の解像度と発表されている本機の液晶は、どうやら明るさを引き出しやすいPentile配列が採用されているようだ。このため、同一解像度ながら通常配列のEVO 3Dに比べ、若干、文字の輪郭にクセが見られる。とは言え、ここまで解像度が高いとPentileのデメリットは少なく、むしろ明るく鮮やかで、高コントラストな表示でEVO 3Dよりも好ましい。
横型のドックに接続し、HDMIケーブルでテレビやディスプレーを接続すれば、Bluetoothキーボードと共に使うことで即席のネット端末になるというのも面白いアイディアだ。ただし、クラムシェル型のドックは日本での発売予定なしとか。これは残念!
↑PHOTONをクレイドル経由でテレビに接続すると、このようにデスクトップ機ライクな使い方ができる。左端はPHOTONの画面そのまま。その右にブラウザーやメールを拡げて、デスクトップパソコンのように使える。 |
一方、小技が利いているなと感じたのが内蔵キックスタンドに絡んだ機能。私は自動回転してしまうのが面倒なため、いつも画面自動回転をオフにして使っている。横にしたい場合は、いちいちその設定を変える必要があるが、自動回転をオフにしていても、足をポップアップさせると強制的に横画面になるのだ。これはなかなか便利。
↑背面に用意されたキックスタンドは、テーブルに置いて動画を鑑賞するときなどに主に用いるが、横画面への切り替えスイッチとしても重宝する。 |
また、理由はよくわからないけれど、WiMAXのスループットは、この端末が一番速い。単体でのSPEEDTEST結果はEVO 3Dと同等だが、テザリング部分がチューニングされているのか、モバイルルーターとして使った場合、1Mbpsちょっとではあるが、PHOTON 4Gのほうが高速だった。ただし、これはEVO 3Dも改良によって高速化するかもしれない。
そしてもうひとつ。実はメモリーが16GBも搭載されている。このうち、9GB程度がデータエリアとして確保されており、2GBを大きく超えるアプリケーション領域があるため、アプリケーションのダウンロードで使い切ることはまずないはず。これとは別にSDカードスロットもあるので、データエリアはさらに拡げることができる。これはPHOTON 4Gのよさだ。
・ここがちょっと残念
1GHz動作のNVIDIA Tegra2を搭載するだけに、単独で使っている限り遅さを感じることはない。シングルコアのスマートフォンを使ってきた人なら、「おっ!」と思うことだろう。しかし、これは比較しなければ感じない程度。EVO 3Dで十分という印象。でも、誤解しないでほしいのは、遅いってわけじゃない。実際、QuadrantのスコアはEvo 3Dのほうが上だったりするんだよね。
ところで、PHOTON 4GはUTMS、すなわちW-CDMAにも対応するCDMA2000との両対応機だ。実際、SIMカードスロットもあるのだが、このスロットは使えないようファームウェアで設定されているとのこと。海外に持ち出した場合でも、SIMカードを入れて使うことはできない(グローバルパスポートによるCDMA2000のローミングには対応している)。
ダイヤラーなど基本的なアプリケーションの操作性に関しても、Android2.3の素顔そのままという印象。もう少し、独自の工夫があるといいかな? 逆に素顔のままのほうがカスタマイズしやすいよね、って人には長所と言えるかもしれない。
HTC EVO 3D |
・ここがイイ!
まず起動すると気づくことは、電源オフからの立ち上がりがすごく速いということ。電源オンのあと、Android auのロゴが表示されてからは、ものの数秒でロック画面が出てくる。実はPHOTON 4Gもかなり高速で、こちらも10秒とかからないのだが、比較するとHTCのほうが少しばかり速いようだ。
どうも初期起動時のメモリーイメージがLSIの動作状態が保存してあり、これを直接メモリー内にロードしているようだ。これはモトローラも同じ仕組みのはず。今日、発表されたIS11Fは通常起動の起動プロセスとのことなので、この部分は2機種ともアドバンテージがあるとも言える。
次にHTCのAndroid拡張が、いよいよここまで来たかと思えるほど洗練されてきている。独自機能のHTC Senseは3.0となった。一部は従来機にも提供されており、たとえばコピーや切り取りのアイコンがポップアップしたり、ドロワーをタブで切り替えて各種設定を手早く行なえるなんてところもいいのだが、アプリケーションの起動履歴がドロワーの上に表示されるなど、実に渋いところでの改善がなかなかキモチイイ。たとえば文字入力時のカーソル位置を動かす際、iOSと同じように文字列部分が拡大される。
↑ドロワーにアプリケーションの起動履歴が表示される。もちろん、ホーム長押しでも履歴は参照できるが、個人的にはこっちのほうがいい感じ。 |
↑ドロワー下端のタブで、クイック設定を呼び出し可能。ここでテザリングやWiMAXの設定も変更できる。画面の自動回転をここで設定できないのがちょっと残念。 |
またロック画面に任意の4つのアプリケーションを登録しておき、ロックを外す際、直接、望みのアプリケーションを呼び出すといった機能も提供されている。たとえばメールアイコンをドラッグし、ロックを外すリングの中に放り込むと、いきなりメール画面が出てくるといった具合だ。
HTC Senseというと、どうしても派手かつ高機能なウィジェットのデザインやロンチャーの画面エフェクトなどに目が行きがちだが、メール、カレンダー、ダイヤラーなど、標準のアプリケーションの機能、およびデザインのエンハンスは、数あるAndoridスマートフォンベンダーの中でも、特にセンスがいいんじゃないかな?
また、速度もなかなか。第3世代Snapdragonの1.2GHzを搭載する本機は、ベンチマークテストのQuadrantではPHOTON 4Gを下回るのだが、実際の動きはEVO 3Dのほうがキビキビとしている。
・ココがちょっと残念
サイズ感としてはPHOTON 4Gと同様。4.3インチディスプレー搭載のため、やや大きいが、私の手が大きいためか大きすぎる印象はない。無骨なデザインは、複雑な曲面構成のPHOTON 4Gのようなエレガントさはないが、余計な意匠でデザイン仕様としていないぶん、悪い印象はない。と、前振りが長かったが、ちょっとばかりサイズは大きいと感じる。
重さも含め3Dカメラが、サイズ面で不利になっているのだろうか。171グラムのボディーは、もう少しダイエットしてほしいところだが、実用上、158グラムのPHOTON 4Gとの違いを意識することはなかった。
また、せっかくの3D液晶、3Dカメラなのだけど、3D液晶のためかコントラストが、パッと見にも低く、コントラストが低いのも少し残念。この3D液晶は視差バリア方式を採用しているため、保護ガラスが分厚く見えてしまう。液晶の美しさならば、PHOTON 4Gのほうがいいだろう。
また、4GBのインターナルメモリーは、HTC Senceとたくさんのアプリケーションに消費されてしまっているのか、空き容量は約900MB程度だった。Androidマーケットには1本あたり50MBの制限があるため、おそらくアプリケーションエリアが一杯になることはないと思うが、今後、容量制限が緩和される可能性もあるかもしれない。ハイエンド端末としては、もうひと声ほしいところだ。
●ということで……
個人的にはちょっとEVO 3Dのほうが有利かな? という印象。HTC Sense 3.0によるユーザーインターフェースの拡張をどう評価するかで、どちらの製品がいいか決める分かれ道になるように思う。
編集部からは「チョコッと書いてくれるだけでイイんですよ!」と念を押されていたのだが差……、またもや長く書きすぎてしまった。長すぎて本命のISW11Fのインプレッションにまでたどり着きそうにない。
ただ、これだけは書いておこう。都内で使うならWiMAX内蔵は最高だ。それになんと月額525円のWiMAX接続料も来年2月まで無料化されるとの発表が行なわれた。そしてもちろん、テザリングもオーケー。LTEの整備が進むまでは、当面、WiMAX内蔵スマートフォンで、出先の通信のすべてをまかせられるハズ。
ということで、残る問題は富士通のISW11Fのデキ如何なのであります(『ARROWS Z ISW11F』の記事に続く)。
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