『大人の超合金』第4弾は新幹線0系 |
2012年2月24日に発売予定、予価7万8750円。 |
バンダイの精密完成品モデルシリーズ『大人の超合金』といえば、『アポロ11号&サターンⅤ型ロケット』や『小惑星探査機はやぶさ』など、話題のスペースシップをラインアップしてきた。しかし、8月8日に発表された第4弾は意外にも旧国鉄の0系新幹線だった。
新幹線といえば、東海道・山陽新幹線のN700系や東北新幹線のE5系など最新車両が続々と登場している今でも、0系を思い出す人が多いのではないだろうか。
0系は1964年10月1日に東海道新幹線の車両として登場してから、2008年12月14日の山陽新幹線の最終運用まで44年に渡り走り続けてきた。まさに、戦後の日本の交通を支えてきた車両といっても過言ではない。さらに、今は大人になっている子供達の誰しもが憧れた“夢の超特急”なのだ。その点で『大人の超合金』に0系がラインアップされるのはうなずける。
全長559ミリ、迫力の“Oゲージ”で再現 |
本物の45分の1サイズとなる“O(オー)ゲージ”で、全長約559ミリ、全幅約75ミリ、全高約88ミリとなる。背後の女性と比べるとその大きさと迫力がわかるだろう。手に持ってみるとズッシリとした存在感を感じる。車輪は回転するものの、走行を想定してつくられていないディスプレイモデルだ。
0系は1964年から1986年までの22年に渡り、初期の0番代から2000番代に至るまで、38次3216両もの車両が生産された。今回モデル化されたのは1964年の開業当時の記念すべき姿、0番代のトップナンバー“N1”編成の新大阪方向に連結されていた1号車(21形1)。
長期に渡る生産でさまざまな場所に改良が加えられており、最初期と後期では大きな違いがある。今回のモデル化では最初期の姿を正確に再現しているのがポイントだ。再現には、設計図はもちろんのこと、0系開発者のひとりである星晃氏の監修をはじめ、鉄道模型の専門誌『RM MODLES』の協力や、大阪の交通科学博物館に保存されている実車の『21形1』、東京の鉄道博物館に保存されている『21形2』を徹底取材して行なわれたという。そのポイントをいくつか紹介しよう。
1.ひかり前頭装置 |
0系の鼻のような先頭部分は、開業当初はアクリルでつくられており、ヘッドライトと同様に光を放つ構造となっていた。これは、遠くからでも列車を視認できるようにという安全への配慮だった。しかし、アクリルは鳥などが衝突したときに破損することが多かった。また、実際には前頭を光らせる効果が薄かったために、すぐにFRP製に変更された。モデルでは、このアクリル製の“ひかり前頭装置”を再現、さらに前頭を外すと内部から非常用の連結機まで現われるこだわりぶりだ。なお、前頭の内部は電池ボックスになっており、単4電池2本を入れて、ヘッドライトや室内灯を点灯させられる。
2.行先票 |
新幹線の開業当時は終着駅を示す『行先票』が“サボ”と呼ばれるプレートに記載されており、終着駅に着く度に手で交換していた。今でこそLEDで一瞬に変わるが、当時はすべて1枚ずつ人力で交換していた。しかし、走行中に脱落したり、盗難が相次いだので、後発の製造車から内蔵式の電動幕に変更された。モデルでは、このサボ式の行先票をしっかりと印刷してある。写真は試作品のため、やや塗装に難があるが、量産品ではキレイな仕上がりになりそうだ。
3.運転席と車内 |
最大の見所はなんといっても精密に再現している車内だ。運転席と客室の屋根はそれぞれ取り外すことができ、好みに合わせて外した状態で飾れる。運転席は開業日の上り一番列車の運転士を勤めた大石和太郎氏も監修しており、マスコンや計器類などを忠実に再現している。運転士や乗客、客室乗務員などのフィギュアも付属する。
客室は当時採用されていた転換式のシートや網棚、カーテンなども見事に再現し、一見するとわからない隠しギミックまである。2列シートの先頭客席1番D、E席を倒すとヘッドライトの色が前進の白から後進を示す赤に変わるというもの。本物の転換式シートも進行方向に合わせて方向転換するときに席を倒すところからきているニクイ演出だ。
4.化粧室 |
客席の後ろ側にある化粧室にもこだわりが満載。細かい表記はもちろん、後に汚れが落ちにくいという理由でステンレスに交換された最初期の陶器製便器もしっかりと再現。資料が少なく、ステンレス製と誤解されがちな表現もしっかりと調査しているところが本モデルのスゴイところだ。ちなみに写真はサンプルモデルのため、壁が意図的に透明になっている。
5.台車 |
ふだんは見えない床下部分も妥協していない。新幹線の時速200キロ以上という速度を実現したDT200形台車や白いトイレタンクの形状も精密につくられている。特に新幹線の高速化のキモとなった台車の“IS式軸ばね機構”などは以後の新幹線や在来線車両の高速化に大きく貢献しているため、見所と言える。台車や床下の調査は、鉄道博物館に展示されている『21形2』の床下に潜って徹底的に行なわれたという。
走行模型でないのは残念だが、ホームをイメージした展示台や出発式式典模様を再現できるパーツなど、コレクションとしては非常に価値の高いセットだ。今はもう現役から退いてしまった0系だが、本モデルで現役当時の姿に想いをはせてみてはいかがだろうか?
なお、初期生産分には、“新幹線記念号”、“よろしくJR”、“20周年記念号”、“最終運転日”の4種類の前頭パーツが付属。また、バンダイでは鉄道関連の博物館や科学館30館に本モデルを寄贈する予定だ。
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