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シボレー・キャプティバに乗って、クールでファンなアメリカを楽しもう!

2011年08月11日 11時30分更新

  パソコンの世界ではCPUもOSも米国生まれが世界標準。いっぽうクルマの世界でアメ車と言えば、シェビーバンやカマロなど趣味の乗り物という感覚が強いはず。だが2011年のアメ車はひと味違う。実用性を重視した世界市場向けのクルマになっていたのだ。

 今回、週刊アスキーが試乗したのは、GMジャパンから7月30日に発売開始されたミドルサイズSUVの『シボレー・キャプティバ』。モデルチェンジではなく、GMが世界市場に向けて送り出す新型車なのだ。

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全長4690ミリは小型自動車サイズ(※全幅は1850ミリ)。同社の『SRX CROSSOVER』が4855ミリと大型なのに対し、明らかにコンパクトにまとまっている。

  GMと言えば、米国市場に君臨する世界最大の自動車メーカー。商用車部門のGMCはNFLの公式ビークルでもあり、経営破たんを経験したとはいえGMは今でも、米国を象徴するブランドのひとつだ。

 だが、アメ車の試乗会と聞いて記者が思い起こしたのは、これまでアメ車で経験したさまざまなトラブル。レバー式のパーキングブレーキを解除しようとしたらフロントパネルが丸ごとガバッと外れたり、ボタン式のドアノブが固くてドアが開けられないといったトホホな経験は、枚挙に暇がない。

 しかし、百聞は一見に如かず。GMが世界中の開発拠点を総動員してつくりあげた新型車は、アメ車への固定観念を覆してくれるファン(楽しい)な乗り物になっていたのだ!

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コンパクトSUVに比べマッシブさを感じさせるリアビュー。2本出しのマフラーがイカす。リアハッチの中央にはもちろん、シボレー伝統のシンボル“ボウタイ”(蝶ネクタイ)が輝く。

 アメ車なのに「ふつう」なのがいい

 さっそく対面したキャプティバは、なかなかマッシブな面構えのSUV。第一印象は「けっこうカッコいい」だ。いわゆるアメリカンSUVに見られがちな無駄な押し出しの強さがなく、それでいてフロントグリルから連なるキャラクターラインなど、細かなデザインが意外に凝っている。日本車っぽい要素は少なく、あえて比べれば『BMW X3』あたりに近い雰囲気だろうか。

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サイドビューで目立つのはホイールハウスの大きさ。19インチを履くが、20インチでも大丈夫とのことだ。ちなみに全長で80ミリ上回る『レクサスRX』でも標準は18インチとなる。

  さっそく乗り込んでみると、印象はいい意味で「ふつう」。サイドウインドーを絞り込んだデザインでヘッドルームの横方向に若干の狭さを感じるが、それはあくまで車体と比べての話。そこそこ上級感もあり、若者向けと言うよりはアクティブにクルマを使いたい若い家族向けかもしれない。

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試乗車に装着されていたタイヤは韓国ハンコックの『Optimo K415 235/50 R19』。GMではマリブなどでハンコックを標準採用しており、日本でもダイハツが採用している。

  実際に試乗してみてのドライビングフィール(なんて言葉を週アスで使うなんて!)は、これまた「ふつう」。実はエコモードが標準というアメ車らしからぬ設定なのだが、ATのシフトアップはスムーズでモタモタ感は感じられない。

 そしてブレーキのタッチも繊細だ。記者はクルマに酔いやすい体質ゆえブレーキは人一倍気を遣って踏むのだが、たとえ日本車でも癖のあるブレーキだと最初はカックンになりがち。ところがキャプティバでは最初から、ハイヤー並みのスムーズなブレーキングで止まることができた。

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運転席周りはアメ車っぽさを感じさせないつくり。カーナビの位置が低くて見づらいのが難点だが、そこだけはアメ車っぽくもある(盗難防止もあってアメ車ではビルトインのカーナビ自体が少ない)。

  おもしろかったのは、ハンドルの切れ。最小回転半径は5.9メートルで、直4横置きのレイアウトと車両サイズを考えれば平均的なところだが、実際にはもっと小回りが効くように感じられた。おそらく運転席から感じるボディサイズに比べると小さな半径で曲がれることと、フロントのオーバーハングが意外に短いことが運転しやすさに寄与しているのかもしれない。

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前後輪のトルクを0対100から50対50で可変させるパートタイム4WD方式を採用。コーナリングの安定感は高く感じられた。

  気になった点は、まずはカーナビの位置だ。写真をご覧になってもわかるとおり、あまりにも低すぎる。運転中にカーナビを見るのが不安に感じることもあった。これは、ダッシュボードの上端にカーナビがあることに慣れきった日本人ゆえの不満だろう。ただ、オプションながらバックモニターがあるのは便利。そこはアメ車離れしている点と言えよう。

 もうひとつはウインカーレバーがハンドルの左側にあること。同乗いただいた自動車評論家の川端由美氏によれば「GMは以前からこうです」とのことだ。もっともハンドル内の配線を変えないで済むためコストダウンになるし、レバー操作自体はすぐに慣れるので、こちらは心配無用だろう。記者も米国出張から戻ってきた後は数日ほど、左右のレバーを間違えてしまうことがある。

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Aピラーがかなりの角度で寝ており、三角窓のないデザインが特徴的。Aピラーが顔に近い感じもしたが、運転席からの視界は全体的に良好だった。着座姿勢はごく自然で、運転しづらさは感じられない。

  運転席のシートは、個人的には秀逸。腰痛持ち(ぎっくり腰3回)の記者は、たいていのシートでは腰部のサポートとヘッドレストに不満を持つのだが(なぜ頭部を前に押し出すヘッドレストが多いのか、いつも不思議)、キャプティバに関してはそれが皆無で、最初から快適な運転ポジションをとることができた。これは個人的にはかなりの高ポイント。乗った瞬間からシートに不満がなければ、ドライブに出る意欲も大きく変わってくるはずだ。

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走行中のサイドビューからでは、キャプティバをひと目でアメ車だと見抜く人は少ないだろう。むしろ欧州車の新型に見えるかもしれない。
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