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Power Media Dock装着時に新VAIO Zは獣に豹変するか?【徹底ベンチマーク】

2011年07月08日 17時14分更新

 真のモビリティーと究極のパフォーマンスを実現するため、GPUと光学ドライブを別ユニットにした新VAIO Z。別ユニットである“Power Media Dock”装着前、装着後でどのくらいパフォーマンスが変わるのか気になるところだろう。

 今回、新VAIO Zの店頭モデル、ハイスペック構成で組んだソニースタイルの直販モデル、旧VAIO Z、そして普及型Zと位置づけられなくもないVAIO SAの4モデルで、ベンチマークテストを行なった。各モデルのスペックについては下記の表を参照してほしい。

ベンチマークに使用したモデルのスペック一覧
 新VAIO Z(店頭)新VAIO Z(直販)旧VAIO ZVAIO SA
CPUCore i5-2410M(2.3GHz)Core i7-2620M(2.7GHz)Core i5-M520(2.4GHz)Core i5-2540M(2.6GHz)
 
メモリー4GB8GB4GB8GB
専用GPURADEON HD6650MRADEON HD6650MGeForce GT 330MRADEON HD6630M
液晶1600×900ドット1920×1080ドット1600×900ドット1600×900ドット
ドライブSSD 128GBSSD 256GBSSD 128GBSSD 256GB
OSWindows7 Home Premium(64ビット)Windows7 Ultimate(64ビット)Windows7 Home Premium(64ビット)Windows7 Ultimate(64ビット)

 

 今回は以下の9項目について計測を行なった。

・Windows エクスペリエンス インデックス(ウィンドウズ標準のハードウェア指標)
・『PCMark7』(総合ベンチマークプログラム)
・『CrystalDiskMark3.0』(ディスクの読み込み・書き込み速度を測定するベンチマークプログラム)
・『MHFベンチマーク 【絆】』(『モンスターハンター フロンティア オンライン』をどのくらいのクオリティーでプレーできるかを確認するためのカプコン公式ベンチマークプログラム)
・『A列車で行こう9』ビュアーソフト(『A列車で行こう9』を動作させたときのフレームレートを確認できる)
・ウィンドウズの起動・復帰・終了時間
・バッテリー連続駆動時間
・温度計測
・実測重量
計測

 なお、新VAIO ZでPower Media Dock未接続時と、旧VAIO ZとVAIO SAでSTAMINAモードを選択したときには“内蔵GPU時”、新VAIO ZでPower Media Dock接続時と、旧VAIO ZとVAIO SAでSPEEDモードを選択したときには“専用GPU時”と記載している。

厳正なるベンチマークの結果やいかに?
Power Media Dock装着前後で豹変する新VAIO Z【徹底ベンチマーク】

スタンダードな仕様のSAが予想外の健闘

 Windows エクスペリエンス インデックスは、そのパソコンでウィンドウズがどのくらい快適に動くかを判定する指標であり、実作業に即した細かな計測を実施するわけではない。そのためか、3月に発売されて間もなく、いい意味でスタンダードな構成のVAIO SAの健闘が目立った。

Windows エクスペリエンス インデックス(内蔵GPU時)
  新VAIO Z(店頭) 新VAIO Z(直販) 旧VAIO Z VAIO SA
プロセッサ 6.9 7.1 6.7 7.1
メモリ(RAM) 5.9 7.5 5.9 7.5
グラフィックス 5.7 5.9 4.4 5.9
ゲーム用グラフィックス 6.2 6.3 5.2 6.3
プライマリ ハードディスク 6.8 7.9 7.3 7.9
基本スコア 5.7 5.9 4.4 5.9

 

Windows エクスペリエンス インデックス(専用GPU時)
  新VAIO Z(店頭) 新VAIO Z(直販) 旧VAIO Z VAIO SA
プロセッサ 6.9 7.1 6.7 7.1
メモリ(RAM) 5.9 7.5 5.9 7.5
グラフィックス 6.8 6.8 6.4 6.7
ゲーム用グラフィックス 6.8 6.8 6.4 6.7
プライマリ ハードディスク 6.8 7.9 7.3 7.9
基本スコア 5.9 6.8 5.9 6.7

 

実作業に即したPCMark7では新VAIO Zがトップ

 パソコンの実作業を再現しパフォーマンスを計測するPCMark7では、内蔵GPU時、専用GPU時の両方で新VAIO Zの直販モデルがトップの成績を収めた。

 新VAIO Zは店頭モデルと直販モデルのどちらもPower Media Dock装着後の、パフォーマンスの上げ幅が少ないようにも思えるが、サンディーブリッジの内蔵GPUが優秀であることと、グラフィック性能に特化せずトータルパフォーマンスをPCMark7が計測しているためだろう。

PCMark7
  新VAIO Z(店頭) 新VAIO Z(直販) 旧VAIO Z VAIO SA
内蔵GPU時 2968 3794 425 3508
専用GPU時 3330 4209 568 4028

 

第3世代SSDの読み込み速度は爆速

 直販モデルの新VAIO Zの読み込み速度が圧倒的なパフォーマンスを見せた。だが、書き込み速度についてはVAIO SAが上回る結果となった。

 また店頭モデルの新VAIO Zがやや振るわない結果となったのは、SSDの世代が古いため。店頭モデルの128GB SSDは転送速度3Gbpsの第2世代、直販モデルの128/256/512GB SSDは転送速度6Gbpsの第3世代が搭載されている。

 ちなみに同じ第3世代である直販モデルの128/256/512GB SSDでも、読み込み速度と書き込み速度の特性が異なっており、128/256GB SSDが読み込み速度に優れ、512GB SSDが書き込み速度に優れている。

CrystalDiskMark3.0(1000MB設定)
  新VAIO Z(店頭) 新VAIO Z(直販) 旧VAIO Z VAIO SA
 シーケンシャル読み込み  497.5MB/s  1070MB/s  332.8MB/s  762.4MB/s
 シーケンシャル書き込み  315.1MB/s  415.1MB/s  224.8MB/s  630.4MB/s
 ランダム読み込み(512KB)  288.5MB/s  454.1MB/s  139.4MB/s  388MB/s
 ランダム書き込み(512KB)  81MB/s  207.8MB/s  187.5MB/s  508.9MB/s

 

Power Media Dockでモンハンが2倍快適に!

 Power Media Dock装着時、新VAIO Zは約2倍のスコアーアップを果たしている。またエフェクトも明らかに増えており、砂埃など冒険世界の空気感まで伝えてくれる。ただし、ベンチマーク中盤の花火が打ち上がるシーンでカクツキが発生することがあった。

MHFベンチマーク 第2弾【絆】(解像度1280×768ドット設定)
  新VAIO Z(店頭) 新VAIO Z(直販) 旧VAIO Z VAIO SA
内蔵GPU時 2046 2245 571 2248
専用GPU時 4591 4572 2860 3864

 

ソフトにより新VAIO Zの真価を発揮できない?

 『A列車で行こう9 ビュアーソフト』では、内蔵GPU時、専用GPU時ともに、VAIO SAがほぼすべての項目で新VAIO Zのフレームレートを上回った。『A列車で行こう9 ビュアーソフト』のプログラムがRADEON HD6650Mのパフォーマンスを最大限に発揮できていないのか、または、RADEON HD6650MのドライバーがRADEON HD6630Mのそれより最適化が進んでいないのだろう。

 『A列車で行こう9 ビュアーソフト』と、RADEON HD6650Mのドライバーがアップデートされたときに、改めて計測を行ない、週アスPLUSで続報をお届けする。

A列車で行こう9 ビュアーソフト
(解像度1600×900ドット設定、内蔵GPU時)
  新VAIO Z(店頭) 新VAIO Z(直販) 旧VAIO Z VAIO SA
Opening A  14.8fps  16.0fps  5.6fps  15.9fps
Demo A  13.4fps  14.4fps  4.8fps  14.6fps
Demo B  13.1fps  14.1fps  5.0fps  14.1fps
Opening B  13.6fps  14.7fps  5.0fps  15.0fps
平均値  13.7fps  14.8fps  5.1fps  14.9fps

 

A列車で行こう9 ビュアーソフト
(解像度1600×900ドット設定、専用GPU時)
  新VAIO Z(店頭) 新VAIO Z(直販) 旧VAIO Z VAIO SA
Opening A  26.5fps  26.5fps  15.0ps  30.3fps
Demo A  23.3fps  23.2fps  13.2fps  27.0fps
Demo B  26.0fps  26.0fps  13.2fps  29.3fps
Opening B  23.6fps  23.7fps  13.9fps  26.7fps
平均値  24.9fps  24.9fps  13.8fps  28.3fps

 

MacBook Airに迫る高速起動!

 OSの起動、スリープや休止からの復帰、シャットダウンまでの時間は、モバイルパソコンにとって重要なポイント。インタビュー記事でもお伝えしたとおり、新VAIO Zはこの点について高いプライオリティーで開発されており、旧VAIO Zと比べると約半分の時間で起動や復帰が可能だ。

 なお、OSは異なるが高速起動性に定評のある『MacBook Air』のOS起動速度が実測12秒94だったが、新VAIO Zも高速起動のオプションを有効に設定すれば、最速で約13秒でOSが起動する。

ウィンドウズの起動・復帰・終了時間
  新VAIO Z(店頭) 新VAIO Z(直販) 旧VAIO Z VAIO SA
OS起動  16秒30  16秒  30秒78  20秒51
OS起動(Power Media Dock装着時)  20秒29  21秒87  -  -
スリープからの復帰  2秒24  2秒30  4秒12  2秒40
休止からの復帰  18秒90  15秒47  27秒13  18秒41
シャットダウン  15秒22  14秒12  12秒24  17秒22

 

 下に掲載したのは新VAIO Z、VAIO SA、そして旧VAIO ZのOSが起動するまでを撮影した映像だ。新VAIO Z、VAIO SAのBIOS起動が明らかに高速になっている点など、細かな挙動がよくわかる興味深い映像となっている。

新VAIO Z&SA&旧ZシリーズでOS起動時間を比較!

機材協力●マウスコンピューター『MDV-ADS7400S-WS

 

店頭モデルは長時間動作したものの……

 まず最初にお断りしておくが、今回のベンチマークは試作機を用いて計測を行なっている。それを前提に現段階での結果としては、店頭モデルでは7時間27分とスペックに近いスコアが出たが、なぜか直販モデルではスペックをかなり下回る値となった。

 そのため今回のバッテリー連続駆動時間は、現時点ではあくまでも暫定値とし、再度ベンチマークを行なったうえで、本記事に追記および修正を行なう予定だ。

バッテリー連続駆動時間(標準バッテリー時)
新VAIO Z(店頭)新VAIO Z(直販)旧VAIO ZVAIO SA
7時間27分5時間50分※暫定値4時間59分6時間58分

 

薄型化とのトレードオフか本体底面は熱め

 薄型化=高集積化を追求したためか、新VAIO Zは底面が熱めだ。とくに最もハイパフォーマンスな『Core i7-2620M(2.7GHz)』を搭載した直販モデルでその傾向が顕著な結果となった。

 もっとも今回の結果は、負荷の高い『MHFベンチマーク【絆】』を実行しているときの温度で、ドキュメント作成やウェブブラウジング時には、膝上で使用しても不快な温度にはならなかったことを付け加えておく。

温度計測
※『MHFベンチマーク 第2弾【絆】』実行中に 底面を6ヵ所に分け、赤外線放射温度計で計測し、 最も熱い部分の温度を記録した

新VAIO Z(店頭)新VAIO Z(直販)旧VAIO Z
VAIO SA
手前左41度45度37度31度
手前中央38度45度34度38度
手前右35度40度30度45度
奥左43度47度43度32度
奥中央42度45度34度53度
奥右33度37度29度49度


本体+ACアダプターなら軽快に携帯!

 本体+ACアダプターという最小構成なら新VAIO Zは圧倒的に軽い。旧VAIO Zより264グラム、VAIO SAより549グラムも軽量だ。

 しかし、Power Media DockとそのACアダプターも一緒に持ち運ぶなると、約2.5キロとヘビー級ノートパソコンのウエイトになる。Power Media Dockは自宅や職場に据え置きし、本体+ACアダプターで軽快に持ち運んでこそ、新VAIO Zのモビリティーが活きる。

実測重量計測
 新VAIO Z(店頭)新VAIO Z(直販)旧VAIO ZVAIO SA
本体1168グラム1168グラム1350グラム1614グラム
本体用ACアダプター254グラム254グラム336グラム357グラム
          小計1422グラム1422グラム1686グラム1971グラム
Power Media Dock676グラム676グラム
PMD用ACアダプター432グラム432グラム
          合計2530グラム2530グラム1686グラム1971グラム

 (7月12日16:39追記)新VAIO Z本体は、Power Media Dock用ACアダプターで給電可能で、本体、Power Media Dock、PMD用ACアダプターの合計重量は2276グラムとなります。

どんな構成で買うべきか?

 全部で9項目について検証したうえでの素直な感想は、新VAIO Zは実測1168グラムのモバイルノートパソコンとしては群を抜いたパフォーマンスとモビリティーを備えていること。本体だけで『モンスターハンター フロンティア オンライン』を快適に遊べるという一点だけでも、そのポテンシャルを十分に実感できるはずだ。

 一方、Power Media Dock接続後のパフォーマンス向上には若干の物足りなさを感じた。もっと大型な筐体となってもいいので、よりハイエンドクラスのGPUを搭載したPower Media Dockが用意されてもよかったように思える。

 とは言え、それだけのパフォーマンスが必要なのは、ごく一部のFPSゲームを最高解像度&特殊効果すべて有効でプレーするときぐらいで、動画編集やエンコードには十分すぎる処理能力を新VAIO Zは備えている。

 ソニーストアでは7月21日10時からエントリー販売を開始する予定だ。Power Media Dockの存在、SSDの容量ごとの速度特性、そしてi5とi7の発熱量の差など、あまりにも悩ましい要素の多い価格シミュレーションを、エントリー登録したうえで楽しんでみてはいかがだろうか?

VAIO Zシリーズ
●ソニー
●予想実売価格 約25万円(店頭モデル『VPCZ219FJ/B』の場合、直販モデルの最小構成価格は14万4800円)
●発売日 7月30日
VAIO公式サイト

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