真のモビリティーと究極のパフォーマンスを実現するため、GPUと光学ドライブを別ユニットにした新VAIO Z。別ユニットである“Power Media Dock”装着前、装着後でどのくらいパフォーマンスが変わるのか気になるところだろう。
今回、新VAIO Zの店頭モデル、ハイスペック構成で組んだソニースタイルの直販モデル、旧VAIO Z、そして普及型Zと位置づけられなくもないVAIO SAの4モデルで、ベンチマークテストを行なった。各モデルのスペックについては下記の表を参照してほしい。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
CPU | Core i5-2410M(2.3GHz) | Core i7-2620M(2.7GHz) | Core i5-M520(2.4GHz) | Core i5-2540M(2.6GHz) |
メモリー | 4GB | 8GB | 4GB | 8GB |
専用GPU | RADEON HD6650M | RADEON HD6650M | GeForce GT 330M | RADEON HD6630M |
液晶 | 1600×900ドット | 1920×1080ドット | 1600×900ドット | 1600×900ドット |
ドライブ | SSD 128GB | SSD 256GB | SSD 128GB | SSD 256GB |
OS | Windows7 Home Premium(64ビット) | Windows7 Ultimate(64ビット) | Windows7 Home Premium(64ビット) | Windows7 Ultimate(64ビット) |
今回は以下の9項目について計測を行なった。
・Windows エクスペリエンス インデックス(ウィンドウズ標準のハードウェア指標)
・『PCMark7』(総合ベンチマークプログラム)
・『CrystalDiskMark3.0』(ディスクの読み込み・書き込み速度を測定するベンチマークプログラム)
・『MHFベンチマーク 【絆】』(『モンスターハンター フロンティア オンライン』をどのくらいのクオリティーでプレーできるかを確認するためのカプコン公式ベンチマークプログラム)
・『A列車で行こう9』ビュアーソフト(『A列車で行こう9』を動作させたときのフレームレートを確認できる)
・ウィンドウズの起動・復帰・終了時間
・バッテリー連続駆動時間
・温度計測
・実測重量計測
なお、新VAIO ZでPower Media Dock未接続時と、旧VAIO ZとVAIO SAでSTAMINAモードを選択したときには“内蔵GPU時”、新VAIO ZでPower Media Dock接続時と、旧VAIO ZとVAIO SAでSPEEDモードを選択したときには“専用GPU時”と記載している。
厳正なるベンチマークの結果やいかに? |
スタンダードな仕様のSAが予想外の健闘
Windows エクスペリエンス インデックスは、そのパソコンでウィンドウズがどのくらい快適に動くかを判定する指標であり、実作業に即した細かな計測を実施するわけではない。そのためか、3月に発売されて間もなく、いい意味でスタンダードな構成のVAIO SAの健闘が目立った。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
プロセッサ | 6.9 | 7.1 | 6.7 | 7.1 |
メモリ(RAM) | 5.9 | 7.5 | 5.9 | 7.5 |
グラフィックス | 5.7 | 5.9 | 4.4 | 5.9 |
ゲーム用グラフィックス | 6.2 | 6.3 | 5.2 | 6.3 |
プライマリ ハードディスク | 6.8 | 7.9 | 7.3 | 7.9 |
基本スコア | 5.7 | 5.9 | 4.4 | 5.9 |
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
プロセッサ | 6.9 | 7.1 | 6.7 | 7.1 |
メモリ(RAM) | 5.9 | 7.5 | 5.9 | 7.5 |
グラフィックス | 6.8 | 6.8 | 6.4 | 6.7 |
ゲーム用グラフィックス | 6.8 | 6.8 | 6.4 | 6.7 |
プライマリ ハードディスク | 6.8 | 7.9 | 7.3 | 7.9 |
基本スコア | 5.9 | 6.8 | 5.9 | 6.7 |
実作業に即したPCMark7では新VAIO Zがトップ
パソコンの実作業を再現しパフォーマンスを計測するPCMark7では、内蔵GPU時、専用GPU時の両方で新VAIO Zの直販モデルがトップの成績を収めた。
新VAIO Zは店頭モデルと直販モデルのどちらもPower Media Dock装着後の、パフォーマンスの上げ幅が少ないようにも思えるが、サンディーブリッジの内蔵GPUが優秀であることと、グラフィック性能に特化せずトータルパフォーマンスをPCMark7が計測しているためだろう。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
内蔵GPU時 | 2968 | 3794 | 425 | 3508 |
専用GPU時 | 3330 | 4209 | 568 | 4028 |
第3世代SSDの読み込み速度は爆速!
直販モデルの新VAIO Zの読み込み速度が圧倒的なパフォーマンスを見せた。だが、書き込み速度についてはVAIO SAが上回る結果となった。
また店頭モデルの新VAIO Zがやや振るわない結果となったのは、SSDの世代が古いため。店頭モデルの128GB SSDは転送速度3Gbpsの第2世代、直販モデルの128/256/512GB SSDは転送速度6Gbpsの第3世代が搭載されている。
ちなみに同じ第3世代である直販モデルの128/256/512GB SSDでも、読み込み速度と書き込み速度の特性が異なっており、128/256GB SSDが読み込み速度に優れ、512GB SSDが書き込み速度に優れている。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
シーケンシャル読み込み | 497.5MB/s | 1070MB/s | 332.8MB/s | 762.4MB/s |
シーケンシャル書き込み | 315.1MB/s | 415.1MB/s | 224.8MB/s | 630.4MB/s |
ランダム読み込み(512KB) | 288.5MB/s | 454.1MB/s | 139.4MB/s | 388MB/s |
ランダム書き込み(512KB) | 81MB/s | 207.8MB/s | 187.5MB/s | 508.9MB/s |
Power Media Dockでモンハンが2倍快適に!
Power Media Dock装着時、新VAIO Zは約2倍のスコアーアップを果たしている。またエフェクトも明らかに増えており、砂埃など冒険世界の空気感まで伝えてくれる。ただし、ベンチマーク中盤の花火が打ち上がるシーンでカクツキが発生することがあった。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
内蔵GPU時 | 2046 | 2245 | 571 | 2248 |
専用GPU時 | 4591 | 4572 | 2860 | 3864 |
ソフトにより新VAIO Zの真価を発揮できない?
『A列車で行こう9 ビュアーソフト』では、内蔵GPU時、専用GPU時ともに、VAIO SAがほぼすべての項目で新VAIO Zのフレームレートを上回った。『A列車で行こう9 ビュアーソフト』のプログラムがRADEON HD6650Mのパフォーマンスを最大限に発揮できていないのか、または、RADEON HD6650MのドライバーがRADEON HD6630Mのそれより最適化が進んでいないのだろう。
『A列車で行こう9 ビュアーソフト』と、RADEON HD6650Mのドライバーがアップデートされたときに、改めて計測を行ない、週アスPLUSで続報をお届けする。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
Opening A | 14.8fps | 16.0fps | 5.6fps | 15.9fps |
Demo A | 13.4fps | 14.4fps | 4.8fps | 14.6fps |
Demo B | 13.1fps | 14.1fps | 5.0fps | 14.1fps |
Opening B | 13.6fps | 14.7fps | 5.0fps | 15.0fps |
平均値 | 13.7fps | 14.8fps | 5.1fps | 14.9fps |
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
Opening A | 26.5fps | 26.5fps | 15.0ps | 30.3fps |
Demo A | 23.3fps | 23.2fps | 13.2fps | 27.0fps |
Demo B | 26.0fps | 26.0fps | 13.2fps | 29.3fps |
Opening B | 23.6fps | 23.7fps | 13.9fps | 26.7fps |
平均値 | 24.9fps | 24.9fps | 13.8fps | 28.3fps |
MacBook Airに迫る高速起動!
OSの起動、スリープや休止からの復帰、シャットダウンまでの時間は、モバイルパソコンにとって重要なポイント。インタビュー記事でもお伝えしたとおり、新VAIO Zはこの点について高いプライオリティーで開発されており、旧VAIO Zと比べると約半分の時間で起動や復帰が可能だ。
なお、OSは異なるが高速起動性に定評のある『MacBook Air』のOS起動速度が実測12秒94だったが、新VAIO Zも高速起動のオプションを有効に設定すれば、最速で約13秒でOSが起動する。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
OS起動 | 16秒30 | 16秒 | 30秒78 | 20秒51 |
OS起動(Power Media Dock装着時) | 20秒29 | 21秒87 | - | - |
スリープからの復帰 | 2秒24 | 2秒30 | 4秒12 | 2秒40 |
休止からの復帰 | 18秒90 | 15秒47 | 27秒13 | 18秒41 |
シャットダウン | 15秒22 | 14秒12 | 12秒24 | 17秒22 |
下に掲載したのは新VAIO Z、VAIO SA、そして旧VAIO ZのOSが起動するまでを撮影した映像だ。新VAIO Z、VAIO SAのBIOS起動が明らかに高速になっている点など、細かな挙動がよくわかる興味深い映像となっている。
新VAIO Z&SA&旧ZシリーズでOS起動時間を比較!
機材協力●マウスコンピューター『MDV-ADS7400S-WS』
店頭モデルは長時間動作したものの……
まず最初にお断りしておくが、今回のベンチマークは試作機を用いて計測を行なっている。それを前提に現段階での結果としては、店頭モデルでは7時間27分とスペックに近いスコアが出たが、なぜか直販モデルではスペックをかなり下回る値となった。
そのため今回のバッテリー連続駆動時間は、現時点ではあくまでも暫定値とし、再度ベンチマークを行なったうえで、本記事に追記および修正を行なう予定だ。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA |
7時間27分 | 5時間50分※暫定値 | 4時間59分 | 6時間58分 |
薄型化とのトレードオフか本体底面は熱め
薄型化=高集積化を追求したためか、新VAIO Zは底面が熱めだ。とくに最もハイパフォーマンスな『Core i7-2620M(2.7GHz)』を搭載した直販モデルでその傾向が顕著な結果となった。
もっとも今回の結果は、負荷の高い『MHFベンチマーク【絆】』を実行しているときの温度で、ドキュメント作成やウェブブラウジング時には、膝上で使用しても不快な温度にはならなかったことを付け加えておく。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
手前左 | 41度 | 45度 | 37度 | 31度 |
手前中央 | 38度 | 45度 | 34度 | 38度 |
手前右 | 35度 | 40度 | 30度 | 45度 |
奥左 | 43度 | 47度 | 43度 | 32度 |
奥中央 | 42度 | 45度 | 34度 | 53度 |
奥右 | 33度 | 37度 | 29度 | 49度 |
本体+ACアダプターなら軽快に携帯!
本体+ACアダプターという最小構成なら新VAIO Zは圧倒的に軽い。旧VAIO Zより264グラム、VAIO SAより549グラムも軽量だ。
しかし、Power Media DockとそのACアダプターも一緒に持ち運ぶなると、約2.5キロとヘビー級ノートパソコンのウエイトになる。Power Media Dockは自宅や職場に据え置きし、本体+ACアダプターで軽快に持ち運んでこそ、新VAIO Zのモビリティーが活きる。
新VAIO Z(店頭) | 新VAIO Z(直販) | 旧VAIO Z | VAIO SA | |
本体 | 1168グラム | 1168グラム | 1350グラム | 1614グラム |
本体用ACアダプター | 254グラム | 254グラム | 336グラム | 357グラム |
小計 | 1422グラム | 1422グラム | 1686グラム | 1971グラム |
Power Media Dock | 676グラム | 676グラム | - | - |
PMD用ACアダプター | 432グラム | 432グラム | - | - |
合計 | 2530グラム | 2530グラム | 1686グラム | 1971グラム |
(7月12日16:39追記)新VAIO Z本体は、Power Media Dock用ACアダプターで給電可能で、本体、Power Media Dock、PMD用ACアダプターの合計重量は2276グラムとなります。
どんな構成で買うべきか?
全部で9項目について検証したうえでの素直な感想は、新VAIO Zは実測1168グラムのモバイルノートパソコンとしては群を抜いたパフォーマンスとモビリティーを備えていること。本体だけで『モンスターハンター フロンティア オンライン』を快適に遊べるという一点だけでも、そのポテンシャルを十分に実感できるはずだ。
一方、Power Media Dock接続後のパフォーマンス向上には若干の物足りなさを感じた。もっと大型な筐体となってもいいので、よりハイエンドクラスのGPUを搭載したPower Media Dockが用意されてもよかったように思える。
とは言え、それだけのパフォーマンスが必要なのは、ごく一部のFPSゲームを最高解像度&特殊効果すべて有効でプレーするときぐらいで、動画編集やエンコードには十分すぎる処理能力を新VAIO Zは備えている。
ソニーストアでは7月21日10時からエントリー販売を開始する予定だ。Power Media Dockの存在、SSDの容量ごとの速度特性、そしてi5とi7の発熱量の差など、あまりにも悩ましい要素の多い価格シミュレーションを、エントリー登録したうえで楽しんでみてはいかがだろうか?
VAIO Zシリーズ
●ソニー
●予想実売価格 約25万円(店頭モデル『VPCZ219FJ/B』の場合、直販モデルの最小構成価格は14万4800円)
●発売日 7月30日
VAIO公式サイト
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