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GPU&光学ドライブを別ユニットにして超軽量化したサンディーブリッジ搭載モバイル“新VAIO Z”

2011年07月05日 10時00分更新

究極の“Z”がさらなる進化を遂げた!
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー

 VAIOのZシリーズは、その時点で最高のCPU・GPU・ストレージを採用し、専用開発のパーツをふんだんに盛り込んだ、まさにフラッグシップモデル。しかし本日発表された新Zシリーズは、GPU・光学ドライブを別ユニットにするという、まったく新しいコンセプトで開発され、“Ultimate Mobile PC”と位置づけられた新機軸のモデルだ。

 実は本製品は、4月26日に開催されたSony IT Mobile Meetingで登場が予告されており、多くのモバイラーがその発表を待ち焦がれていた。

厚さ16.65ミリ/重量1.165キロの薄型・軽量ボディー
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
Standard voltageだからこそのハイパフォーマンス
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
Power Media Dockと合体しデスクトップPCを超える!
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー

 新Zシリーズは、旧Zシリーズよりも、薄型・軽量化を極限まで追求したVAIO Xシリーズと、イメージが強く重なる。実際、13.1インチワイド液晶搭載ノートとしては1.165キロと規格外の軽量さで、13インチ版『MacBook Air』の1.32キロに、大幅に差をつけている。

 薄型・軽量化の一方、そのパフォーマンスに妥協はほとんど見受けられない。CPUには標準電圧(Standard voltage)版のCore i7/i5が採用されており、メモリーのクロック周波数は旧Zシリーズの1066MHzを上回る1333MHzとなっている。GPUのパフォーマンスも、新Zシリーズがチップセット内蔵GPUで駆動していたとしても、外付けGPUで駆動する旧Zシリーズとほぼ同じ性能を発揮できる。

 またSSDは転送速度6Gbpsの第3世代が採用されており、3Gbpsの第1世代が使われている旧Zシリーズに比べ、約3倍の読み書き速度を実現している(ソニーが『Crystal Disk Mark』により計測した公表値)。

 これらの総合的なスピードアップとともに、OS起動プロセスの最適化が図られており、Windows7の起動時間はVAIO史上最速となる約13秒を達成した(旧Zシリーズは約35秒)。

上面
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底面
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↑バッテリーを8本のネジで固定することで、筐体全体の剛性アップを実現している。
キーボード面
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
↑キーボード面は吸気の役目も果たすため、“キーボードウェア”などは装着できない。
前面
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↑薄さを追求するために、あえてカードスロットはメモリースティックとSDカードの2スロット構成。
背面
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左側面
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
↑従来のプロジェクターをそのまま利用できるように、D-Sub15ピンが残されている。
右側面
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↑右側面にはHDMI、USB2.0、Power Media Dock接続端子、ACアダプター端子などを用意。USB2.0端子はパワーオフ時も電源を供給できる。

 インターフェースは右側面にそのほとんどが集中している。HDMI端子とともに、D-Sub15ピンのアナログ外部ディスプレー出力が残されているところに、現時点でのビジネスシーンを考慮し、不便がないように妥協なく設計した開発者の良心が感じられる。

 USB2.0端子とはべつにPower Media Dock接続端子が用意されており、Power Media Dockとの接続は、ACアダプター端子と一体化した専用コネクターで電源供給も含めてワンタッチで行なう。この端子はPower Media Dockを接続しないときは、単独でUSB3.0対応機器を接続できる。

 薄型・軽量化設計は剛性と反比例しがちだが、新Zシリーズは上下のカーボン素材でアルミのキーボード&パームレスト部をがっちり包み込む“ヘキサシェルデザイン”という構造を用いることと、さらにバッテリーを8本のネジで固定し、バッテリー自体を筐体全体の構造物として利用することで、高い剛性を確保している。

リチャージャブルバッテリーパック(拡張用)
リチャージャブルバッテリーパック(拡張用)

 なお、標準バッテリーと同時に利用可能な『リチャージャブルバッテリーパック(拡張用)』が用意されている(実売1万9800円)。標準バッテリー単独では約9時間、標準バッテリーと『リチャージャブルバッテリーパック(拡張用)』併用時は約17.5時間の連続駆動が可能だ(公称値)。

ブラック
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カーボンブラック
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ゴールド
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ブルー
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー

 店頭モデルの本体カラーはブラックのみ。直販モデルでは、このブラックにカーボンブラック、ゴールド、ブルーを加えた全4色から選べる。旧Zシリーズではあまり女性をターゲットにしたカラーが用意されなかったが、今回はゴールドで女性ユーザーの掘り起こしが狙われている。

取り付け部が見えないコンシールドヒンジ
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
コインで回せる高剛性ゴム製ネジ
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Power Media Dockとの接続はケーブル1本
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文字だけが光るバックライト仕様キーボード
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専用デザインのタッチパッド
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー

 デザイン上の大きなアクセントとなっているのが、取り付け部が見えないコンシールドヒンジ。正面や背面からはヒンジが見えないため、全体的に装飾を排したデザインとあいまって、スマートな印象を与える。

 Power Media Dockとの接続がケーブル1本で済む点も、抜き挿しの利便性はもちろんのこと、ケーブルで机の上が煩雑に見えないのがうれしいところだ。

 キーボードのバックライトは、ボタン周囲は光らず、文字部分だけが光る高級感のある仕様。もともとVAIOシリーズは高級感の演出に定評があるが、新Zシリーズはワンランク上の仕上げが施されている。

『AMD RADEON HD6650M』を搭載
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
ハブとして各種端子を集中管理
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
GPUを冷やすための排気口を装備
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー

 Power Media Dockには『AMD RADEON HD6650M』(1GB)が内蔵されており、本体を接続することで、旧Zシリーズの約2倍にGPU性能が向上する。

 光学ドライブは店頭モデルではDVDスーパーマルチドライブのみだが、直販モデルではブルーレイドライブを選択可能だ。ちなみに直販モデルでは、Power Media Dockを購入しないという選択も可能。あとから単体で購入することもできる(実売4万9800円)が、ブラックしか用意されておらず、カーボンブラック、ゴールド、ブルーは選べない。

 Power Media Dockには、USB2.0、USB3.0、LAN、HDMI、D-Sub15ピンが用意されている。本体を接続したときには、Power Media Dockから本体駆動用の電源が供給されるので、本体にケーブル1本を挿し込むだけで自宅・勤務先ですぐに新Zシリーズを使い始められるわけだ。

本体用ACアダプターは実測で254グラム
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Power Media Dock用はやや重めの実測432グラム
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー

 ACアダプターは本体用が実測254グラム、Power Media Dock用が実測432グラム。本体も駆動できるだけの電力供給量を備えているため、Power Media Dock用ACアダプターは本体用ACアダプターの2倍弱の重量となっている。

高剛性を実現するための“Hexa-shell”
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
標準電圧CPUを搭載したマザーボード
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第3世代のハイスピードSSD RAID
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薄型化のため端子を専用設計
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光ケーブルでスペース節約
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Power Media Dock内はまるでもうひとつのPC
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安定駆動を保証するデュアルファン
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー
“素数羽根”採用でうなり音を低減
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー

 内部パーツを見てみると、新Zシリーズの作り込みのほどがよくわかる。通常は汎用品を使う端子類にいたるまで、薄型化のため専用に開発されている。本体とPower Media Dockを接続するケーブル内にも、PCI Express信号を通すための光ケーブルが採用されている徹底ぶりだ。

 また薄型ボディーにCore i7を搭載可能にするため、デュアルファンが採用されている。旧Zシリーズはファンがひとつだったが、同等の静粛性と冷却効率を達成するため、ファンを2つにしたうえで、それぞれの羽根を枚数の異なる素数羽根にすることで、羽根枚数によって生じるうなり音を低減している。

外出先・職場・自宅それぞれで最高のマシンに!
究極をさらに極めた“新VAIO Zシリーズ”最速レビュー

 外出先でハイエンドGPUを必要とするような重い処理はしない……という割り切りから開発が始まったであろう新Zシリーズ。しかし、この思い切った割り切りから、本体の薄型・軽量化、バッテリーでの長時間駆動などモバイルPCの重要ポイントを、さらに強化することができた。

 そして、自宅・職場ではケーブル1本でPower Media Dockと接続し、最大4台のマルチディスプレー環境で、ありあまるGPUパワーを必要とするアプリケーションを存分に駆使することができる。モバイルPCとして実に理にかなった利用スタイルだ。

 うれしい悩みが、本製品の内蔵GPUが、旧Zシリーズと同等とほとんどのユーザーを満足させるパフォーマンスを備えていること。本体のみで運用するか、Power Media Dockを一緒に購入するか、じっくり検討してほしい。続報として、6日、7日には開発者インタビュー、8日にはベンチマークテスト記事をお届けする。

(7月6日03:22)6~7日の記事予定を変更いたしました

    

SPEC(店頭モデル『VPCZ219FJ/B』の場合)
CPU Core i5-2410M(2.3GHz)
メモリー 4GB(増設不可)
ストレージ SSD 128GB(64GB×2、RAID 0構成)
ディスプレー 13.1インチワイド(1600×900ドット)
インターフェース USB3.0(Power Media Dockと排他利用)、USB2.0、HDMI、D-Sub15ピン、SDカードスロットほか
通信環境 802.11a/b/g/n無線LAN、WiMAX、Bluetoothほか
バッテリー駆動時間 約9時間(公称値)
OS Windows 7 Home Premium SP1(64ビット)
サイズ/重量 約330(W)×210(D)×16.65(H)mm/約1.165kg
その他 Power Media Dock同梱、Office Home & Business 2010プリインストール

 

SPEC(店頭モデル同梱『Power Media Dock』)
光学ドライブ DVDスーパーマルチ
グラフィック RADEON HD6650M(1GB)
インターフェース USB3.0、USB2.0×2、HDMI、D-Sub15ピン、LAN
サイズ/重量 148(W)×220(D)×16.65(H)mm/約685g

 

VAIO Zシリーズ
●ソニー
●予想実売価格 約25万円(店頭モデル『VPCZ219FJ/B』の場合、直販モデルの最小構成価格は14万4800円)
●発売日 7月30日
VAIO公式サイト

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