バルセロナで開催されるモバイルの祭典Mobile World Congressを最速レポ
週アスPLUS:MWC 2011 最強特集
2月14日からスペイン・バルセロナで始まったMobile World Congressも、あっと言う間に4日間の会期を終えてしまった。巨大なAndroidブースが登場し、場内では各ブースで配られたAndroidピンバッチのコレクションを見せ合う人たちが人気の的になっていた。
MWC会場でのWindowsPhone7は、どちらかと言えば影の薄い存在だった。マイクロソフトブースではWindowsPhone7を大々的に紹介しているものの、すべての機種がすでに発表、発売されてしまっているもの。メディアの人間からすれば、ほとんどニュース価値のないものばかりだった。ただ、まだWindowsPhone7を触ったことのない人達も当然多く、ブースはそれなりに賑わっていたよに思う。特にタッチパネルに加えてQWERTYキーボードを搭載した『Venue Pro』は、発売時期がほかよりも遅れていたこともあって、注目度は高かったようだ。
実際、会場でもWindowsPhone7を触った人の多くが、「これは面白い」と評価を下す。スティーブ・バルマーCEOが「WindowsPhone7の購入者の93パーセントが満足して使っている」というのも納得できる。Androidはどちらかと言えばiPhoneを追っかけている印象があるが、WindowsPhone7はまったく違う切り口でスマートフォン市場に殴りこみをかけているように感じる。その新鮮さに誰もが前のめりになっていく。会場で実機に触れた日本のゲーム会社関係者もWindowsPhone7に向けた開発を決断したところもあるぐらいだ。
だが、やはり、どうしても気になるのが「マイクロソフトの動きが鈍い」という点だ。
3月前半にも行なわれるというアップデートにより、コピー・アンド・ペースト機能が実装される予定で、さらに2011年中にはIE9を搭載し、クラウドストレージサービス“SkyDrive”にも対応、TwitterともOSレベルで連携可能になる。日本語対応も今年の夏ごろに行なわれ、日本でもWindowsPhone7搭載端末は買えそうだ。しかし、ひんぱんにアップデートを繰り返し、そのたび話題になっているAndoridには、遅れをとっている感がある。
アプリに関しても、ほかのプラットフォームと比べて魅力はまだ低いと言わざるを得ない。ラインナップ数は現状、まだ8000程度しかないという。開発者登録をしている企業や個人は30000件というが、やはり端末が普及しないことにはアプリの数も増えていかないだろう。iPhone向けが30万以上を誇るだけに、ここでの巻き返しはかなり困難な状況だ。
今後の期待として面白そうなのがXbox360との連携。バルマーCEOでの基調講演ではkinectインターフェースで遊ぶユーザーと、WindowsPhone7をコントローラーにして対戦するというシーンが紹介された。PCやXbox360といったマイクロソフトの強いジャンルとの連携が本当に実現できるようになると、他のプラットフォームとは違った勝負ができるのではないか。
また、ノキアとマイクロソフトとの提携を聞いた日本のある端末メーカー幹部は「今回、(ノキアとMeeGOプラットフォームを共同で推進していた)インテルは、2社から仲間はずれにされてしまった感がある。しかし、ノキア・マイクロソフト連合にインテルが加われば、スマートフォンの世界でWintelができあがる。この関係が実現すれば、アップルやグーグルに対抗出来るのではないか」と語る。
実際はWindowsphone7はARMベース、インテルはx86ということもあり、くっついたからといってすぐに変化があるわけではない。だが、スマートフォン向けチップはクアルコムを筆頭にTexas Instruments、NVIDIAといった競合がひしめき合っている。インテルとしても彼らに遅れは取りたくないはずだ。
もし、プラットフォームをマイクロソフト、チップをインテル、そしてノキアが端末開発と世界のキャリアとの強い関係からなる販売網を活かせば、アップルとグーグルに対抗出来る存在になることも十分にあり得るだろう。
スマートフォンブームが本格化する中、第3勢力であるマイクロソフトの動き方によっては、来年の2月27日から開催されるMWCで、業界を揺さぶる話が聞けるかも知れない。
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