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海外スマホを日本で合法的に使っちゃうよ

2010年12月01日 12時00分更新

 日本でも続々とスマートフォンが出てくる最近の状況は、スマホ好きにとってはうれしい状況でしょう。なにせ今までは海外で最新機種が出ても、日本じゃ無関係の話だったんですから。端末単体が自由には発売されないものの、海外とほぼ同時期に日本でも新製品が買えるようになるなんて、本当、いい時代になったものです。

HTC Desire Zは日本で出してくれないの?
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 とはいえ、海外じゃスマートフォンは毎月毎週のように新製品が登場しており、HTCのDesire Z、Sony EricssonのX8、はたまたNokiaのN8、C7など、日本では出そうに無い機種もたくさん。でもこれらのスマホを日本で使おう! と思っても端末に技適マークがついてないと使ってはいけないんですよね。うーんダメなのか……。

 でもあきらめてはいけません。実は技適マークが無い海外スマートフォンだって、合法的に日本で使える方法があるのです。ただし料金を考えると常用にはちときびしいのですが、数日程度の利用やテストユースなら結構イケルかも?

香港から日本に持ち込んだ端末。みんな電波拾ってるけど合法とはいかに?
海外スマホを日本で合法的に使っちゃうよ

 その方法とは、海外のSIMカードを入れて日本でローミングすればよいのです。不思議なことに海外で売っているスマートフォンを日本に持ち込んで日本のSIMを入れるとダメ、でも日本で海外のSIMを入れた場合はOK、という歪んだ状況になっているのが今の日本なのです。キャリアが端末を販売し、日本独自の技術の元で利用するという制限が“技適マーク”として残っちゃっているんですね。てなことで理論的には海外スマホには海外SIMカード。この組み合わせですべて解決! なんですが……。

電池開けたら、みんな海外のSIMが入っている
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 使えるからといって実用的かというと、それはまた別のお話。海外SIMを日本で使う=海外からみれば海外ローミング=料金高い(ガーン)。でもたとえば香港のプリペイドSIMカードの場合、ローミングデータ料金は世界共通で0.11香港ドル/KB=約1.2円/KB=約0.14円/パケット。日本のパケット割引をつけない料金と比較したら同じ程度なのですね。もちろんこのまま使ったら、あっという間にパケ死しちゃいます。

じゃーん! これが日本でも1日データ定額できちゃうプリペイドSIMカード
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 結局、海外SIMカードの利用は現実的ではないの? 実は香港のプリペイドSIMカードは、海外でも1日データ定額利用プランが使えちゃうんですよ。NTTドコモやソフトバンクモバイルがやっている“海外ローミング中のパケット1日定額”と同類のもので、しかも契約回線だけではなくプリペイドSIMカードでも利用可能なのが香港のいいところ。

 気になる料金は168香港ドル/日=約1800円/日。うーん、これを毎日使うのはちときついですが、月に数日くらいだったらなんとか許容できる? そもそもが日本で常用するための料金設定じゃなく、“日本旅行数日用”なので、これくらいになっちゃうわけです。まあドコモやソフトバンクの海外パケ放題も同じくらいの値段だから、この手のサービスとしては妥当な料金レベルなんでしょうね。ちなみにちょこっとだけ使う場合は、1日定額にせずにそのまま使えばいいでしょう。168/0.11=1527KB=1.5MB以上使うなら1日定額がお徳となります。

SIMカードを海外版Galaxy Tabに入れます
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 ローミング1日データ定額が利用できるこのプリペイドSIMカードは、香港Hutchison(ハチソン)が販売するもので、商品名は『HSDPA Broadband Access Rechargeable SIM Card』。香港では金額別に数タイプ売っています。今回は68香港ドルのものを購入。このままでは1日定額使うだけの残高が入っていませんから、あらかじめ残高追加カードも一緒に買って残高を追加しておきます。海外利用するなら500香港ドルなど、多めに残高を追加しておくといいでしょう。なお残高追加はカードを買っておけば日本でも可能ですし、オンライン上からクレジットカードの利用もできます。

ドコモの電波を拾い、ローミングマークも出た
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 ということで、日本でこのSIMカードを海外スマートフォンに入れて電源をONにします。しばらくするとアンテナマークが立って電波を拾ってくれます。NTT DOCOMOの右の“3”の表示はHutchisonのサービス名称。そしてアンテナマーク部分には“R”と、ローミング中の表示も出ますね。次に海外ローミング1日データ定額の申し込みです。スマートフォン/携帯電話から……

*127*31#

に発信でOK。しばらくするとSMSが届いて、ローミング1日定額がONになったことを通知してくれます。

 そして重要なのがデータ通信(APN)設定。

APN ipc.three.com.hk

 ユーザー名とパスワードはありません。そして端末の設定画面でローミング中のデータ通信もONにしておきましょう。あとは思う存分その日1日、海外スマホを使いまくることができるわけです。

ウェブ見たりストリーミングしたり使い放題!
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 なお注意点としては、まずローミング1日定額はデータ通信を開始後に1日分の168香港ドルが残高から一度に引かれます。ですので、残高が168香港ドル以上ある必要があります。また、たとえ1KBしか使わなくても168香港ドルが最初にマイナスされるので、定額で使わない日は念のため#127*31#に発信して、ローミング1日定額サービスを取り消しておいたほうがいいでしょう。そして“1日”の区切りは香港時間。日本と香港の時差はマイナス1時間、すなわち日本で使う場合は、当日深夜1時~翌日の深夜0時59分までが1日となるのです。あとは定額対象はドコモ回線。他の電波を掴んでいたら手動で切り替えましょう。

 一方利点は使いすぎの心配がないことです。残高がゼロになったら利用は停止。「定額になっていなくて、もしかして何万円もあとから請求されないだろうか」なんて心配もありません。そして利用制限も一切なし。YouTube見たりUstreamしたり、あるいはパソコンとつないでテザリングで通信したりと、何にでも使えるのです。

中国なら1日1000円、17ヵ国で使える
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 料金を考えると常用はちとつらいですが、このSIMカードは日本に加え、中国、マカオ、台湾、韓国、タイ、シンガポール、イギリスなど、17ヵ国でも1日定額が使えます。ですから海外で1日使い放題する用途にこのSIMカードを使うのもいいかもしれません。なお中国とマカオのみ98香港ドル/日=約1050円/日で定額利用可能。ドコモやソフトバンクの海外定額より安いですよね。中国出張が多い人は“中国で1日1000円でパケ放題用に使うSIM”として常にキープしておくのもいいかもしれません。

香港国際空港のHutchisonのお店でも買える
海外スマホを日本で合法的に使っちゃうよ

 日本でも海外プリペイドSIMカードを売っている店が増えましたし、海外から通販で販売しているところもあります。もちろん香港では現地のHutchisonのお店でも買えます。香港国際空港の出発ロビーにもお店があるので、香港土産に買うのもいいですね。でもスマホ使いに使い勝手がいいのだから、ぜひ日本のスマホ関係のお店でもこのSIMカードを売って欲しいものです。


山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局

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