12月7日、東京大学安田講堂にて『第1回ウェブ学会シンポジウム』が開催されました。驚かれる方も多そうですが、これまでこうしたウェブそのものを研究テーマとした学会は日本に存在しなかったのが実際のところです。そのため、週刊アスキー(12月15日発売)でもニュースページで報じたとおり大きく注目されました。
当日、開会のあいさつを務めたのは発起人のひとり東京大学松尾 豊准教授。「研究者が皆若く力をもっていなかったため、これまで正統な学問として認められにくかった」と、Webの歴史が浅いことを改めて感じさせるコメントで幕を開けました。Ustreamによるライブ中継が実施されたり、シンポジウム中の登壇者への質問はツイッター経由に限定するなど、まさしく“ウェブ学会”らしい試みばかり。
セッションの密度はとにかく“濃い”の一言。登壇者はウェブ業界に籍を置く者ならば一度は名前を見聞きしたことがある面々です。学会後の各メディア報道では、セッション2『ウェブと政治』で展開されたダイナミックな討論にフォーカスしたもの(Ustreamのアーカイブは必見)が多いのですが、このブログでは基調講演に注目したいと思います。
国会図書館の長尾真館長による基調講演では、Googleのキーワード検索に代わるものとして文章による検索(自然言語検索)の必要性を挙げたほか、電子出版と図書館の機能など、さまざまな分野について縦横に語られました。
なかでもGoogleブック検索の和解案(日本の著作物は検索対象外)を踏まえた以下のコメントは、本学会と今後日本でウェブを研究していくことの意味を示唆しているように思われました。
権利をもっている著作者にとっては良いことかもしれないが、世界の人々がGoogleブック検索を使ったときに、日本の書物は一切出てこない。日本にはそういうものはないんだな、と世界中からスルーされてしまう。
日本は独自に書物をスキャンしてアーカイブにし、世界に発信していくというような努力が必要になるだろう。
そうしなければ、世界中から永久に無視されてしまう危険性があるのだ。
ウェブ学会は、まだそのあり方から模索中の新しい学会です。革新的な仕組みを積極的に取り入れ、登壇者も参加者もすべての人々が意見を出し合い発展させていこうという取り組み方は、まるでアジャイルなウェブ開発そのものを象徴しているようにも見えます。
シンポジウムの模様はウェブ上にwikiページでまとめられています。講演者のプレゼンテーション資料をはじめ、Ustreamのアーカイブやツイッターのログなどが参照できるので、当日参加できなかった方はこちらをチェック。
第一回ウェブ学会 - 2009/12/7(月)に東大安田講堂で開催された第1回ウェブ学会シンポジウムまとめWikiページ(暫定版)
個人的にはセッション1『ウェブとコラボレーション』はさらに深く聞きたくなりました。一方で、テーマや発表内容の規模に比べて全体的に時間が足りなかったのでは、と感じたのも正直なところ。セッション別に日程をわけて開催するのもありかも……というわけで、さっそくアンケートで学会にフィードバックしたいと思います。
当日来場参加された方、中継を見ていた方でアンケート未回答な方はこちらからどうぞ。あなたの意見やアイデアが新しい時代を築く礎になるやもしれませんよ。
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