これほど何ひとつとして具体的なことを言わずに、ウェブに激震を走らせることができる会社はアップルとGoogleぐらいのものでしょう。
本日突然発表された、いわゆるGoogle OSの公表。その正式名称は『Google Chrome OS』でした。
Google Japan Blog掲載の記事にちりばめられている断片情報をベースに、Google Chrome OSの姿について、推測してみましょう。
まずGoogle Chrome OSの元記事はこちら(Google Japan Blogのエントリーに飛びます)
●注目ポイント1
ベースになっているのはLinux
“このソフトウェアのアーキテクチャーは、「Linux カーネル上で動作する新しいウィンドウシステム内で動作する Google Chrome」というシンプルなものです。”
“Linuxカーネル上で動作する”と名言してますから、Linuxベースなのは確実。 さらに、“そのウィンドウシステム内で動作するGoogle Chrome”とあるので、Google ChromeがOSレベルで融合したような状態になっていると推測。
もっとも、Internet Explorerも、ある意味OSと融合しているようなものです。試しにURL入力欄にC:¥と入力してみればわかりますが、IEがそのままExplorerのようにシームレスにファイルシステムを表示します。
●注目ポイント2
開発はウェブベース?
このOSではどういった言語でソフトウェアを構築するのか。そのヒントはこのあたりにありそう。
“アプリケーション開発者にとって、ウェブはプラットフォームです。ウェブベースのアプリケーションはすべて自動的に機能し、自分のお気に入りのウェブテクノロジーを使って新しいアプリケーションを書くことも可能です。そしてもちろん、これらのアプリケーションは Google Chrome OS だけでなく、Windows、Mac、Linux などで動作するいずれの標準規格ブラウザでも動作しますので、”
ウェブベースのアプリが自動的に機能するだけでなく、WindowsやMacとの互換性にも言及しています。ブラウザーで動くJavaで記述するようになっているのかも知れません。
●注目ポイント3
CPUはx86系だけじゃなくARMでも動く?
動作環境の一端にも言及しています。曰く、x86とARMの両方動作させる予定とのこと。
“Google Chrome OS は x86 とARM 両方のチップで作動する予定で、私たちは来年多くのネットブックを提供すために複数の OEM と協力中です。”
いまのところARMはPDAなどのモバイル(というかスマートフォン)、x86はいわゆるPCという棲み分けになってるわけですが、それをまたぐOSとして構想しているという。後から「ARM(もしくはx86)でも動きますよ」というのと、最初からARMでの動作を考慮して設計しているのでは、その初動の動作環境構築のスピードが違って来る。たとえば、その正式リリース当初から、x86採用マシン(ネットブックとか)とARM採用マシン(より小型のPCコンパニオンとか)が同時に出てくるということが想定できます
また、完全に憶測レベルですが、ネットワーク接続が前提のシステムになっているのであれば、ストレージからCPUパワーを使う処理までをサーバーサイドで行なうことも、原理的には可能でしょう。
Googleドキュメントのように、アプリケーションを記述し、動作環境として提供するならば、やりようによってはx86とARMでさほど違わない操作感を実現できる可能性はあります。
●注目ポイント4
ネットワークと融合したOSになる
ユビキタス志向のOSであることは、原文の最後でも明確に言及されています。
“コンピューターがいつも最初に買ったときと同じ速さで動いてくれればいいと思っています。どこにいても自分のデータを入手できて、コンピューターを失くし たりファイルのバックアップを忘れる心配から解放されたいと願っていて、ハードウェアを新しくするたびに何時間もかけてコンピューターの環境設定をした り、ソフトウェアの更新を常に気にしたりしたくないと思っています。”
ここに出て来る重要なキーワードは3つ。
(1)“どこにいても自分のデータを入手でき”るということ
(2)デバイスの紛失やバックアップから開放されること
(3)デバイスを買い換えた際に一発で環境復元ができること
これらが示している方向から想像できるのは、Google Chrome OSにおけるデスクトップ画面は、“クラウドデスクトップ”とでも言うべきものになるということです。
書類や音楽ファイルや設定ファイルまで、すべてのデータがクラウド上に存在、あるいは同期されており、Googleの定義によれば、デバイスはクラウド上のデータを表示するビューアー、あるいは“一時的に手元に置いておく”ためのインターフェースに過ぎない、と。
なんとも刺激的だし、いかにもGoogle的な発想。7月に入って始まったばかりの2009年後半戦、これは面白くなってきましたね。
(イトー)
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