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インベーダーゲーム開発秘話!

2009年03月31日 00時32分更新

タカラトミーの『スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク』発表会の会場で、インベーダーゲームの生みの親である西角友宏氏とサウンドを担当した亀井道行氏に、当時のお話をいろいろと聞いてみました。本誌4月14日号の『トイ通信』とあわせてご覧ください。

会場となった喫茶ジャパン
スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク 発表会場
入り口の看板の赤丸の中に、こっそりとインベーダーが。もちろんいつもこうなわけじゃなくて、この日だけのスペシャルバージョンです。

スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク 発表会場
喫茶ジャパンは昭和テイストな喫茶店。インベーダーのイメージに合うレトロなお店を探して、ここを会場に選んだそうです。突き当たり一番奥に、テーブル筐体のスペースインベーダーを発見。

スペースインベーダー実機
スペースインベーダーゲーム テーブル筐体
筐体にはいろいろなタイプがあって、これは天板が白いもの。黒いほうがソレっぽいけど、残念ながら海外に貸し出し中らしいです。

開発者のお二人
スペースインベーダーゲーム 開発者
インベーダー30周年のケーキを前にする開発者のお二人。向かって左が生みの親の西角友宏氏。お隣はサウンド担当の亀井道行氏。

ノート登場!
スペースインベーダーゲーム開発ノート
西角氏がおもむろに取り出したのが、当時の開発ノート(赤字訂正の入った、スペースインベーダーIIのものらしいです)。表紙がぼろぼろになっているとはいえ、きちんと残っていることに驚きました。

ゲーム画面の設計図
スペースインベーダーゲーム 画面設計
指差している絵はスペースインベーダーの画面。横向きに描かれていて、右が画面上になります。左下には部分的な処理の流れを図にしたフローチャート、その右にちらっと見える英字はアセンブラによるプログラムです。 どちらもとても短く、ほんの一部の動きについて書かれたもののようです。

スペースインベーダーゲーム 宇宙人ドット絵
今回、ある意味一番衝撃的だったのがこの絵。当時は今のように分業ではなく、ゲームのルール作りからキャラクターデザイン、設計、プログラム作成など、ひとりで何でもやっていたとのこと。スペースインベーダーのキャラクターは西角氏がイメージを考え、自分でドット絵に変換していたらしいです。
開発のためのハードウェアもなく、自分たちで手作りしていたとのこと。開発時間の6割はそういった機材作りにかかった時間らしいです。またソフトウェア面でも、アセンブラ言語を16進の機械語に変換するアセンブラがなく、マニュアルどおりに手で変換(ハンドアセンブル)していたそうです。ジャンプのように頻繁に出てくる命令は、16進数を覚えてしまっていたとのこと。すごいですね。

スペースインベーダーゲーム デモ画面フローチャート
こちらはデモンストレーション画面のフローチャート。×印が多いのは苦労の跡でしょうか。デモ画面にストーリー性をもたせたのは、このスペースインベーダーが世界初だったそうです。"PLAY SPACE INVADERS"の"Y"の文字がひっくり返っていて、インベーダーが直しに来るのを思い出しました。
本格的なサウンドを付けたのもインベーダーゲームが最初。入社1年ちょっとだった亀井氏が担当したのですが、これがまた大変だったとのこと。今なら音のファイルを加工して作るところですが、当時はすべてがアナログ。OPアンプ(オペアンプ)という部品を使って、ハンダ付けをして作った回路で音を出していたそうです。回路であるため、音を変えようと思ったらハンダゴテを握り締めて電子部品を付けたり外したりする必要があったそうです。
開発者の西角氏は最後まで発射音が耳障りで気に入らなかったらしいのですが、亀井氏は頑として変更を断り続け、結局折れることがなかったそうです。確かに高周波の入ったような耳障りな音ではありますが、今となってはあの音じゃないとインベーダーじゃないっていう気がしますよね。

スペースインベーダーゲーム プログラム
実際のプログラムの一番最初の部分です。インベーダーの処理のすべてがここから始まると思うと、ちょっと感激です。 出だしにNOPという命令が3つ続いています。これは「何もしない」という、一見何も意味のないように見える命令です。なぜスタートしていきなり何もしない命令が並んでいるかというと、開発中にここにテストルーチンにジャンプする命令を入れておいてテストをしていたためだそうです。テストが終わったらジャンプ命令を何もしない命令に変えれば、それ以外の部分はいじらなくてもいいというわけです。NOPでつぶした瞬間はうれしかったでしょうね(笑)
スペースインベーダーゲームのCPUはインテルの8080。メモリーはたったの8KBしかなく、プログラムを詰め込むのが大変だったとのこと。まもなく完成というころになって、SPACE INVADERじゃなくてSPACE INVADER"S"じゃないかと突っ込まれ、最後にSを付け足したが、その一文字を入れるにも苦労したみたいです。

スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク
(c)TAITO CORP.1978,2008
(c)TOMY
スペースインベーダー ゲーム筐体型バンクは、実物の1/6サイズ。プレイするたびに100円玉が必要になるので、意外とお金が貯まります。画面横のインストラクションシートや、モノクロ画面を擬似的にカラーに見せるために画面に貼るカラーフィルムなど、再現性を重視した作りもポイントのひとつ。
遊べてお金が貯まるスペースインベーダー ゲーム筐体型バンクは5775円(税込)で好評発売中! タカラトミーさんには、これからもぜひシリーズでいろいろなゲームを出していただきたいところです。(ナカムラ)

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