唐突ですが、米アップルiPod担当スタン・ング氏のインタビューをお届けします!(ACCN)
9月に発売開始した第2世代iPod touchのキャッチフレーズは“最高に遊べるiPod”。スピーカーを内蔵するなど、初代機よりゲーム機として使いやすくなっている。
米アップルのスティーブ・ジョブズCEOも「今年のホリデーシーズンに、iPhoneとiPod touchはモバイルゲーム市場で本当に使えるデバイスとして急浮上するでしょう」と、米ウォールストリートジャーナルで語っている。
そんな折、米アップルのiPod担当シニアディレクターであるスタン・ング(Stan Ng)氏が来日し、iPod touchのポータブルゲーム機としての可能性について熱く語ってくれた(2008年11月11日)。
ング氏:まずiPod touchがほかの携帯ゲーム機に比べて圧倒的に優位な点は、持ち運びやすいところです。PSPとDS lite、iPod touchを並べて見ると、iPod touchがいかに薄くてコンパクトであるか一目瞭然でしょう。
コンパクトなだけではありません。高精細で見やすい大画面液晶、マルチタッチ対応や本体を傾けることで操作できるアクセラロメーターなど、インターフェースも今までのゲーム機とはひと味違います。家庭用ゲーム機で体感コントローラーを始めて標準搭載したのはWiiですが、ポータブル機ではiPod touchおよびiPhoneが初めてです。
また、アプリはApp Storeからオンラインで直接購入するため、24時間いつでも自分の好きなゲームをダウンロードできます。さらにアプリがバージョンアップしたらiPod touch/iPhoneの画面にお知らせが表示され、簡単に更新できる。ゲーム自体が進化し続けることができるのです。開発者にとっては、少ない手間でアプリを世界62ヵ国で売れるのも魅力でしょう。
──3月にiPhone SDKを発表し、7月にApp Storeのサービスを開始してわずか4ヶ月ですが、短期間でこれほどの数のアプリが登場すると予想していましたか?
ング氏:私たちも驚いています。App Storeが7月にオープンして以来、100日で2億本以上のアプリがダウンロードされました。現在App Storeには6000本ほどのアプリが公開されており、そのうちの1500本以上がゲームです。ハドソン、ナムコ、セガ、エレクトロニック・アーツ(EA)といった大手ゲームメーカーが次々にiPhone/iPod touch用ゲームをリリースしています。一方、ひとりかふたりしかいない小さな会社でも、良質なゲームを作り出して人気を得ています。
──これだけアプリの数が増えると、選択肢が多すぎてユーザーが自分の欲しいアプリを見つけ出すのが難しいと思うのですが、何か対策は考えていますか? 以前はiPhone/iPod touchからApp Storeを見ると、App Storeで売られている全アプリがジャンルごとに一覧できたのですが、最近では各ジャンル最大100個しか見られなくなり、困ります。
ング氏:iTunes Storeの楽曲のように、検索機能をうまく活用してもらうしかないですね。また、ニュースサイトやブログなどのメディアを使って、知名度を上げるとか。
途中でまだ開発中の未発売ゲームを3つ見せてもらった。ひとつは米NGmoko社の『Roland』というアクションゲームで、ステージにあるさまざまな仕掛けを指で操作し、丸い玉のようなRolandたちをゴールまで導くもの。あとのふたつは、EAの人気タイトル『シムシティ』と『Need for Speed』のiPhone/iPod touch版だ。
Roland
──開発途中のゲームをこの場で見せてもらえるということは、これらのゲームを開発しているサードパーティーと個別に連絡を取り合っているということですか?
ング氏:はい。有力なメーカーとは、開発段階から連絡を取り合っています。
──以前に比べると、アプリの審査にかかる時間が劇的に早くなっているように思えます(アップルに提出してから約1週間でApp Storeに公開されるくらい)。アプリの審査は何人体制で行なっていますか?
ング氏:開発者から提出されたアプリを、なるべく早くApp Storeで公開できるように、私たちは努力を重ねています。その際、ウイルスチェックや、システム・ユーザーデータへの不正アクセスをしていないかなどのチェックも当然行っています。何人体制でやっているかはお答えできません。
──ゲームアプリには、暴力性が含まれているかどうかで年齢別のレーティングがされていますが、電子書籍のジャンルではそのようなレートがありません。そのため、過激な暴力描写が含まれている漫画がApp Storeの審査を通らなかった事例があると聞いています。電子書籍コーナーにも年齢別レーティングを導入する予定はないのですか?
ング氏:それは考えてみます。
──私もiPhone/iPod touch用のアプリをApp Storeで売っているのですが、一番売れているのがアメリカと日本で、ヨーロッパ諸国やそのほかの国々ではほとんど数が出ません。アメリカは初代iPhoneも入れると所有者が多いので当然として、初代iPhoneを売っていたヨーロッパ諸国でアプリがあまり売れてないように思えるのですか? 日本はアメリカに次ぐ第2のアプリ購入国ですか?
ング氏:アプリがどの国でどれだけ売れているかの国別集計は公開していません。
──iPhone開発プログラム(有料版)は1年で契約が切れますが、更新しなかった場合、すでに公開されたアプリはどうなるのでしょうか?
ング氏:有料プログラムはその名のとおり、“開発”に必要なものですから、有料登録を更新しなかった場合でも、すでに公開されたアプリに関してはそのままApp Storeで売り続けるか、引っ込めるかを開発者が選ぶことができます。更新しなかった場合でも、売り続けることはできます。ただしアップデートなどは当然できません。
──iPhoneのホーム画面は最大9画面あり、1画面に12個のアプリを登録できるので合計108個までアプリを置けます。でも、たくさんアプリをインストールすると、それでも足りないです。今後ホーム画面に置けるアプリの数を増やす予定はありますか?
ング氏:えっ、あれでも足りないですか!? そんなことを言われたのは初めてです(笑)。今のところ増やす予定はありません。
(取材・文 宮本朱美)
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