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横浜発のベンチャー創出を支援「YOXO BOX」オープニングイベント開催

横浜らしいビジネスエコシステムとはなにか徹底討論

2019年12月20日 11時00分更新

横浜らしいビジネスエコシステムの形とは?

 パネルディスカッション第2部は、有識者から見た、横浜でのビジネスエコシステムの在り方、拠点の活動/コミュニティーの方向性について議論が展開された。

 登壇者は、横浜国立大学大学院国際社会科学研究員 教授/先端科学高等研究院 共創革新ダイナミクス研究ユニット主任研究者 真鍋 誠司氏、株式会社村田製作所 新規事業推進部 新規事業推進5課 オープンイノベーション推進チーム エキスパート 牛尾 隆一氏、株式会社アペルザ代表取締役 石原 誠氏、NOSIGNER代表 デザインストラテジスト 慶応技術大学特別招聘准教授 太刀川 英輔氏の4名。モデレーターはASCII STARTUPの鈴木が務めた。

 最初のトピックは、「横浜らしいビジネスエコシステムの形とは?」

真鍋氏(以下、敬称略):地域性としての「横浜らしさ」というのは正直、今の段階では難しい。エコシステムには、まずそのコアになるビジネスがなくてはいけない。ビジネス自体がまだ生まれていないなかでエコシステムについて語るのは時期尚早かな、という気がします。まずは横浜が目指すビジョンを定めて、民・公を合わせたコミュニティー形成からスタートして、エコシステムの構築を徐々に進めていくのがいいでしょう。大学側としては、将来の社会を担う大学生に、こうしたイベントで企業やスタートアップの方々と関わるように参加を促していきたいです。

牛尾氏(以下、敬称略):東京は丸の内や渋谷などにイノベーション拠点が多数あるが、拠点同士がつながっていない。横浜であれば、つながることができそうな気がしています。横浜拠点の大企業とベンチャーがひとつにつながれば、それが横浜らしさになるのでは。

石原氏(以下、敬称略):エコシステムは循環だと考えています。シリコンバレーでは成功者が次の世代を支援して循環が起こっています。我々スタートアップが普通では出会いにくい大企業や先輩起業家の方々と知り合える機会をいただけるとありがたいな、と思います。

太刀川氏(以下、敬称略):150年程前の横浜開港当時は、世界中から見たことのない荷物が届き、日本でもあたるかもしれない、と新しい文化や商品が生まれた時代があった。しかし、こうしたカッコよくて新しいコンテンツが最近の横浜では見られなくなっている。横浜らしさを取り戻すには、新しいこと、ヒップなことをやることが大事ではないでしょうか。

横浜国立大学大学院国際社会科学研究員 教授/先端科学高等研究院 共創革新ダイナミクス研究ユニット主任研究者 真鍋 誠司氏

YOXO BOX(関内)のコミュニティーはどう築いていくか?

真鍋:そもそもコミュニティは地縁や血縁などがスタートであり、よほどの目的志向がないと集まりにくいので、何か枠組みをつくる必要があります。YOXO BOXには明確なプログラムが用意されているので、放っておいてもコミュニティーはできると思っています。近隣のコワーキングスペースとも連携し、キーパーソンを結ぶだけでもコミュニティーは広がっていきます。

牛尾:どんな人が集まるかですべて決まると思います。来たいと思ってくれる仕掛けをつくる、積極的に呼んでくるなど、面白い人を集めていくと、自然にコミュニティーができるのではないでしょうか。

石原:ベンチャー界隈ではよく勉強会がありますが、会場はたいてい東京で、正直参加するのが大変です。横浜で勉強会を開催して東京の人を呼べるようになれば、コミュニティーの厚みが出ると思います。

太刀川:私たちは横浜DeNAベイスターズのブランディングをご一緒しているとき、「このプロジェクトはベイスターズのブランディングじゃない。ベイスターズが横浜をブランディングするんだ」と合言葉のようによく言っています。これは重要な視点で、大きなパーパスを掴むとコミュニティになる。パーパスに挑んでいる人を「カッコいい」と褒め合う環境をつくることが大事じゃないかな。

鈴木:牛尾さんにお聞きしたい。関西のオープンイノベーション・コミュニティーは、かなり早い段階で形成されていますが、どのように成長していったでしょうか。

牛尾:早くから大企業の中でオープンイノベーションを推進するキーマンとのネットワーキングは始まりましたが、活発に活動できているかというとまだまだだと感じています。関西、横浜と地域にこだわらず、コミュニティーがつながれるようになればいいと思います。

株式会社村田製作所 新規事業推進部 新規事業推進5課 オープンイノベーション推進チーム エキスパート 牛尾 隆一氏

横浜では何と何を掛け合わせたらイノベーションが生まれるか?

牛尾:遠いところにあるものほど、くっついたときに大きくなる可能性があるとよく言われます。何が自社の技術と合うのかはわからないからこそ、探すことが大事。そのために、この場所があるのだと思います。

真鍋:離れていれば離れているほど、多様性を基に試行錯誤しないと、イノベーションは生まれない。他方で、お金と時間を無限に使えるわけではないので、効率性も考えながらマネジメントしていく必要がある。そのバランスをいかにとるか、という非常に難しい問題です。

太刀川:答えがない以上は、ランダムにたくさんの数、種類で試すしかない。組み合わせ方については判断しないこと。試すスピードが落ちないように、まずはどんどん掛け合わせてみる。ふるいにかけるのはあとからでもいいと思います。

真鍋:組み合わせでは必ず失敗が生まれるので、いかにそれを許容するか。まずは、失敗を許容する文化を押し上げていかないと、チャレンジはできないですよね。

株式会社アペルザ代表取締役 石原 誠氏

YOXO BOXで、こんなイベントをやってほしい!

真鍋:起業前の学生向けに、ビジネスプランコンテストなど、学生主体の発表する場を設けてもらいたい。企業の皆さんにも何かいいフィードバックが得られるのではないでしょうか。

牛尾:大企業の面白い人を呼んで、イベントをやりたいです。いくつかアイデアがあるので、来年1月あたりにぜひやりましょう。

石原:私は愛知県の生まれで横浜にゆかりはないのですが、横浜にはいいイメージがあります。インターネットのスタートアップはほとんどが東京。横浜での起業はハンデでしかないのに、あえて横浜を選びました。僕にとって、横浜で働くことがブランドだと思っています。そこでぜひやってほしいのが採用のイベントです。ひとつの企業ではなく、「横浜で働くってどういうこと?」「横浜で働くとこんなイイ事がある」というのを他の地域の方に伝えられたらと思います。

太刀川:デザインコンサルティングの会社をやっていると「お高いんでしょ」と言われたりしますが、弊社の収益の3割程度は、成功報酬型に変わってきています。デザインを投資として考えることが重要だと考えています。スタートアップの段階で、コンセプトや表現を磨くとすごく成長の力につながります。コミュニケーションやプロダクトをもっと伝わりやすい形にしていくために、デザインがツールとして使える。そして、最初期のほうがデザインの全体戦略は立てやすいのです。せっかく横浜が続けてきた創造都市政策や街中フェス「関内外OPEN!」などの取り組みともつながり、横浜にスタートアップのエコシステムを一緒に育てていけるといいと思います。

デザインストラテジスト 慶応技術大学特別招聘准教授 太刀川 英輔氏

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