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横浜発のベンチャー創出を支援「YOXO BOX」オープニングイベント開催

横浜らしいビジネスエコシステムとはなにか徹底討論

2019年12月20日 11時00分更新

10月31日、横浜市は関内にベンチャー企業の成長支援事業の拠点として「YOXO BOX」を設立し、開所式とオープニングイベントを開催。オープニングイベントでは、横浜市経済局から本施策についての講演とパネルディスカッションを2部構成で実施。第1部は、本事業を推進するコンソーシアム各社による事業説明、第2部では、横浜らしいエコシステム、コミュニティーについての議論が交わされた。

 横浜市経済局による講演では、横浜市経済局 成長戦略推進部 新産業創造課長の高木 秀昭氏が横浜市における「YOXO BOX」の政策的な位置付けについて説明した。

横浜市経済局 成長戦略推進部 新産業創造課長の高木 秀昭氏

 みなとみらい地区には、10年前から日産の本社ビルや富士ゼロックスの研究拠点があり、2019年には資生堂、京セラなど多数の企業の研究開発拠点が開設。2020年にはコーエーテクモゲームス本社、清水建設の大規模オフィスビル「横浜グランゲート」などの竣工が予定される。特徴的なのは、いずれの企業もオープンイノベーションのR&D拠点と位置付けていることだ。

 一方でみなとみらいに隣接する関内エリアは、クリエーター活動が盛んで、スタートアップ企業の誘致を積極的にしている。みなとみらいの企業と関内のスタートアップをつなぎ、オープンイノベーションを促進するため、イノベーターの交流の場としてYOXO BOXが設置された。

 YOXO BOXの施設では、ベンチャー企業等を対象にした「YOXOアクセラレータープログラム」、ベンチャー支援の専門家に個別相談できる窓口の設置、イノベーション創出のためのビジネスイベントの開催などに活用していく予定だ。

YOXO BOXの機能を担う5社が事業の詳細を説明

 YOXO BOXの運営は、三菱地所株式会社、株式会社アドライト、株式会社角川アスキー総合研究所、株式会社plan-Aが共同企業体として事業を進めている。パネルディスカッションの第1部では、コンソーシアム5社から役割分担と事業が説明された。

YOXO BOX内にベンチャー支援オフィス12室を設置

三菱地所株式会社 横浜支店 安本 武史氏

 事業全体を統括する三菱地所の安本 武史氏は、YOXO BOX内のベンチャー支援オフィスについて紹介。ベンチャー支援オフィスは1階に3室、3階に9室の計12室があり、各部屋の定員は5名~8名。入居者には、国内外のベンチャー企業、大企業のイノベーション部門、ベンチャーを支援するVCやコンサルティングファームを想定しており、市外からの企業誘致も積極的に行なう。オフィスの入居者は、同施設内のラウンジやミーティングルームの利用、専門家が常駐する相談窓口を活用できるのがメリット。

 三菱地所は、1983年からみなとみらい21地区の開発事業を進めており、近年はR&D系企業やエンターテインメント施設が増えているという。2019年よりエリアの複数の企業と連携して事業創出を目指す「MINATO MIRAI 21 Activation Program」のパートナー事業者としても参加し、イノベーションに取り組んでいる。

コミュニティー熟成のため月4回の公式イベントを実施

株式会社角川アスキー総合研究所 鈴木 亮久

 角川アスキー総合研究所の鈴木は、ASCII STARTUPの事業内容とYOXO BOXで開催する交流イベントについて紹介した。

 ASCII STARTUPは、IT系サイト「ASCII.jp」とデジタル情報誌「週刊アスキー」を中心としたメディアによる情報発信のほか、IoTとハードウェアベンチャーの展示会「IoT H/W BIZ DAY」や各種セミナーの開催、ビジネスコンテストの運営などを手掛けている。

 ASCII STARTUPは、YOXO BOXでの交流イベントの企画と情報発信を担当しており、週1回のペースでコミュニティーイベントを実施していく予定だ。イベント内容は、スタートアップのイノベーションのエコシステム構築するヒントとなるテーマを中心に準備を進めている。そのひとつとして、横浜市内のスタートアップを可視化するため、トークイベント形式で横浜の地図を作る「横浜ベンチャーマップ作成イベント」を定期開催していくとのこと。

 最新のイベント情報やコンテンツをウェブサイト「ヨコハマ・イノベーターズ・ハブ」にて随時発信しているので、ぜひチェックしてほしい。

関内から横浜市内外へ企業や人材のネットワーキングを促進

株式会社plan-A 相澤 毅氏

 plan-Aの相澤 毅氏は、YOXO BOXの施設整備と、同社の今後の役割について説明した。YOXO BOXの施工・内装では、plan-Aがプロジェクト全体をマネジメントし、横浜市内の工務店ROOVICEが設計・施工、関内のデザインファームNOSIGNERがロゴデザイン、サイン、内装デザインの監修を手掛けている。施設内の設備は、YOXOのロゴと同じ青を基調に統一しているそうだ。

 plan-Aは、複数の企業や人をつなぎ、まちづくりやイノベーションのプロジェクトを実現するためのネットワーク形成を支援する会社だ。今後は、YOXO BOXをスタートアップの拠点として活用するため、まずは関内エリアに点在するコワーキングスペースやシェアオフィスと連携して交流を進め、徐々に横浜市内、市外へとネットワークを広げていきたい、と語った。

専門家や大企業、VCと連携した相談窓口体制

有限責任監査法人トーマツ 村田 茂雄氏

 有限責任監査法人トーマツの村田 茂雄氏からは、YOXOの窓口相談体制について紹介された。

 デロイトトーマツグループは、ベンチャーの起業から上場後までを支援するコンサルティングファーム。日本全国に23拠点を設け、各地域でピッチイベントや、官公庁や自治体主催のアクセラレーションプログラムを実施するなど、国内外の企業をつなぐオープンイノベーションのハブとして活動している。このデロイトトーマツのネットワークを活用し、YOXOの窓口相談では、士業の専門家、大企業、VCが常時常駐し、ビジネスや法律について、いつでも相談できる体制となっている。

横浜発の事業創造を目指す「YOXOアクセラレータープログラム」

株式会社アドライト 木村 忠昭氏

 アドライトの木村 忠昭氏からは、「YOXOアクセラレータープログラム」についての説明がなされた。YOXOアクセラレータープログラムでは、横浜市に拠点をもつベンチャーを育成し、横浜発の事業を創出することを目指して実施される。創業3年以内のスタートアップを募集し、審査を得て5~10社を選出、YOXO BOXの施設を利用して3、4ヵ月の育成プログラムを実施する。特に分野は限定せず、幅広いテーマのスタートアップを募集しているとのこと。すでに第1期は動き出しているが、今後も継続的に募集をしていく予定だ。

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